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私的解釈で詠む万葉集  作者: あ
2巻
48/117

2/147 天原 振放見者 大王乃 御壽者長久 天足有

2/147

題詞:近江大津宮 御宇天皇代 [天命開別天皇 謚曰 天智天皇] / 天皇聖躬不豫之時 太后奉御歌一首


原文:天原 振放見者 大王乃 御壽者長久 天足有


訓読:天の原 振り放け見れば 大君の みことは永く 天満たしたり

仮名:あまのはら ふりさけみれば おほきみの みことはながく あめみたしたり


貴方の御言葉は永久に天下を満たすでしょう。


~~~~~~


2/148

題詞:一書曰 近江天皇 聖躰 不豫 御病急時 <太>后 奉獻 御歌一首

原文:青旗乃 木旗能上乎 賀欲布跡羽 目尓者雖視 直尓不相香裳


訓読:青()の 小旗の上を 通ふとは 目には見れども 直に会はぬかも

仮名:あをはたの こはたのうへを かよふとは めにはみれども ただにあはぬかも


木幡:京都府宇治市。こはた


私よりも周りにいる子供たちの方が気になるみたいね…。あの人と心を交わせる日はもう来ないかもしれませんね。


~~~~~~


2/149

題詞:天皇崩後 之時 倭太后御作歌一首

原文:人者縦 念息登母 玉蘰 影尓所見乍 不所忘鴨


訓読:人は縦し 生くると思は(むも) 玉かづら 影に見えつつ 忘らえぬかも

仮名:ひとはよし いくるともはも たまかづら かげにみえつつ わすらえぬかも


人は仕方なしに生きていくと思うけれども、玉かずらに貴方の面影を見て忘れられないでしょう。


~~~~~~


2/150

題詞:天皇崩時 婦人作 歌一首 [姓氏未詳]

原文:空蝉師 神尓不勝者 離居而 朝嘆君 放居而 吾戀君 玉有者 手尓巻持而 衣有者 脱時毛無 吾戀 君曽伎賊乃夜 夢所見鶴


訓読:現世(うつせ)見し 神に勝てねば 離きをりて 明日嘆く君 放けをりて 吾が恋ふる君 玉にあらば 手に捲き持ちて 絹にあらば 脱ぐ時もなき 吾が恋ふる 君()にし夜の 夢見えつるぞ


仮名:うつせみし かみにかてねば さきをりて あすなげくきみ さけをりて あがこふるきみ たまならば てにまきもちて きぬならば ぬぐときもなき あがこふる きみきにしよの ゆめみえつるぞ


現世見し神:天武天皇=大海人皇子。

賊:にしもの、にし。


恋愛で大海人皇子に負けた事で彼から距離を置き、その後もずっと嘆いていたら見放された貴方。そんな貴方が宝石だったら手に捲いて持っていたい、服だったらずっと着ていたい。貴方と初めて一夜を共にしたあの日を今も夢に見ます。


~~~~~~


2/151

題詞:天皇 大殯之時 歌二首

原文:如是有乃 豫知勢婆 大御船 泊之登萬里人 標結麻思乎 [額田王]

校異:豫 [金][類][古] 懐 / 人 [古][紀] 尓


漢文:婆勢 豫知 乃有 如是 矣 麻思 結 標 人 之泊 登萬里 大御船

訓読:斯くあると ()ねて知りせば 大み船 泊まり泊てしに 標結はましを

仮名:かくなると かなひしりせば おほみふね とまりはてしに しめゆはましを


豫知=予知

標:紐や草などの印となる物。結婚を暗示。


こんな事になると兼ねがね知っていたなら、貴方と結婚してもよかったのかなあ。


~~~~~~


2/152

原文:八隅知之 吾期大王乃 大御船 待可将戀 四賀乃辛埼 [舎人吉年]


訓読:八隅知し 吾ご大王の 大み船 恋ひ待ちなむか 滋賀の唐崎

仮名:やすみしし あごおほきみの おほみふね こひまちなむか しがのからさき


貴女の船は唐崎で待っているでしょう?


~~~~~~


2/153

題詞:<太>后 御歌一首

原文:鯨魚取 淡海乃海乎 奥放而 榜来船 邊附而 榜来船 奥津加伊 痛勿波祢曽 邊津加伊 痛莫波祢曽 若草乃 嬬之 念鳥立


訓読:鯨獲る 淡海の海の 沖放けて 漕ぎ来る船の 沖つ櫂 痛く跳ぬるな 辺に着けて 漕ぎ来る船の 辺つ櫂も 痛く跳ぬるな 若草の 妻想ひつる 鳥発たらしぬ


仮名:くぢらとる あはみのうみの おきさけて こぎくるふねの おきつかい いたくはぬるな へにつけて こぎくるふねの へつかいも いたくはぬるな わかくさの つまおもひつる とりたたらしぬ


船よ、波を立てるでない。若草のような妻を想ってくれる鳥(天智天皇)が飛び立つから。


~~~~~~


2/154

題詞:石川夫人歌一首

原文:神樂浪乃 大山守者 為誰<可> 山尓標結 君毛不有國

校異:<>→可 [金][類][古]


訓読:楽浪の 大山守りは 誰が為に 山に標結ふ 君も在らぬ国[公も在らなくに]

仮名:ささなみの おほやまもりは たがために やまにしめゆふ きみもあらぬくに


楽浪:滋賀県の地名。

さざめく:賑やかに騒ぐ。さんざめく。


~~~~~~


2/155

題詞:従 山科御陵 退散 之時 額田王 作歌一首

原文:八隅知之 和期大王之 恐也 御陵奉仕流 山科乃 鏡山尓 夜者毛 夜之盡 晝者母 日之盡 哭耳<呼> 泣乍在而哉 百礒城乃 大宮人者 去別南

校異:乎→呼 [金][類][紀]


訓読:八隅知し 我ご大王の 畏しや みささぎ祀る 山科の 鏡の山に 夜にはも ()のことごとく 昼にはも 日のことごとく ()上げつつ 泣くのみにあらす 百敷きの 大宮人は 別かれゆきなむ


仮名:やすみしし わごおほきみの かしこしや みささぎまつる やましなの かがみのやまに よるにはもう よのことごとく ひるにはもう ひのことごとく ねあげつつ なくのみならす ももしきの おほみやびとは わかれゆきなむ


こっきゅう(哭泣):泣き叫ぶ。

おらぶ:叫ぶ。

滋賀の唐崎、淡海の海、楽浪の大山守は全て天武天皇を暗示?

淡海の海から来る船は額田王を暗示?

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