2/129 古之 嫗尓為而也 如此許
題詞:大<津>皇子宮 侍 石川女郎 贈 大伴宿祢宿奈麻呂 歌一首 [女郎 字曰 山田郎女也 宿奈麻呂宿祢 者 大納言兼大将軍卿 之第三子 也]
原文:古之 嫗尓為而也 如此許 戀尓将沈 如手童兒 [戀乎<大>尓忍金手武多和良波乃如]
校異:伴→津 [元][古][紀] / 大 [紀][温][矢] 太
原文:古也之 嫗尓為而 如此許 戀尓将沈 童兒如手
訓読:古りなりし おうなにしても かくばかり 恋に沈まむ 童子如くて
仮名:ふりなりし おうなにしても かくばかり こひにしずまむ わらはごとくて
古りなりし 嫗に(在ら)しても かくばかり 恋に沈まむ 童子如く(在り)て
いい歳した女になったと思っていたけど恋に落ちそうで怖いよ。
[一云]
原文:古之 嫗尓為而也 戀乎<大>尓 忍金手武 多和良波乃如
訓読:古りなりし おみなにしても 恋だにを 忍びかねてむ わらは為る如
仮名:ふりなりし おみなにしても こひだにを しのびかねてむ わらはたるごと
わらは(妾、童):前者は女性がへりくだって使う一人称。後者は子供。
嫗:老女。読み方が「おみな」「おむな」「おうな」「おんな」と様々ある。⇔翁
この歳になっても恋ができると思ってなかったよ。
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原文:於保吉宇美能 美奈曽己布可久 於毛比都々 毛婢伎奈良之思 須我波良能佐刀
左注:右一首 藤原宿奈麻呂朝臣 之妻 石川女郎 薄愛離別悲恨 作歌也 [年月未詳]
訓読:大き海の[大君の] 水底深く 思ひつつ 裳引き平しし 菅原の里
仮名:おほきうみの みなぞこふかく おもひつつ もびきならしし すがはらのさと
も(裳→藻/雲):天武天皇を暗示。
菅:天智天皇を暗示(1/52の「耳高之 青菅山」)。
原:藤原鎌足(=中臣鎌足)を暗示。
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題詞:長皇子 与 皇弟 御歌一首
原文:丹生乃河 瀬者不渡而 由久遊久登 戀痛吾弟 乞通来祢
訓読:丹生の川 瀬は渡らずて ゆくゆくと 恋痛し吾が弟 通ひ来乞ひね
仮名:にふのかは せはわたらにて ゆくゆくと こひぃたしあがせ かよひきこひね
丹生の川:吉野川の支流とされる。
皇弟:弓削の皇子の事と思われる。(2/119に対する返歌か)
丹生の川の横を歩いていくと、弟が恋心を募らせているのが見えた。




