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最強スキル【スパチャ】でダンジョン無双 ~攻略全振りオタクと世話好きギャルのダンジョン配信、たまに同棲生活配信~  作者: はむばね
第2章

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第31話 お嬢様、秘匿する

 ダンジョン協会から帰った後に話し合った──というか、やはり卯月さんと龍造寺さんにとっては既に決定事項なのを確認した──結果、CM出演依頼を承諾することとなり。


 いつもの活動に寄せるってことで、ダンジョン内で撮影を開始。

 予想外の流れにはなったものの、撮り直しもないままいつの間にかそれが正式採用されていたらしく。


 今日TVで流れるってお知らせを貰い、我が家にて自分たちが出演するCMを見届けて……現在。


「ま、まー、何にせよ!」


 俺たちの間に流れる微妙な空気を吹き飛ばすように、卯月さんは明るい声と共にパンと手を打ち鳴らす。


「これでウチらも、地上波デビュー! もう、有名人って言っていいんじゃないっ?」


〈 それは実際そう 〉


〈 ダンオタも、随分遠くに行っちまったもんだな…… 〉


〈 遠くに行っちまった(いつもの配信枠で) 〉


〈 ねぇ今、テレビでダンオタたち出てなかった!? 俺の見間違い!? 〉


〈 お前は、まずこの配信のタイトルを見ろ 〉


 なお、『CMデビュー同時視聴配信』として生配信も並行している。


「え~? やっぱりやっぱり? このままウチ、女優デビューまでしちゃったりして~?」


「ほほほほほほほほ! 皆さん、わたくしをもっと褒めた称えなさい!」


 卯月さんと龍造寺さんも、それぞれ自分のとこの視聴者と話しているみたいだ。


 卯月さんは何やら照れ照れと身を捩っており、龍造寺さんは口元に手を当て高笑いを上げている。

 こうして見ると、やっぱそれぞれの視聴者の違いって結構あるよな。


〈 しかし、あのCM見て「そうだ、探索者になろう!」って奴なんているのか……? 〉


〈 そういう異常者じゃないと、どうせ探索者なんて続けられないから…… 〉


〈 下手に安全アピールするよりは誠実かもね 〉


〈 ちな、アレって台本通りだったん? 〉


〈 第一階層にわざとグラトニーラット引っ張ってくるような奴が協会にいたら、一発で免職だろ 〉


〈 ダンオタがいなかったら、マジで放送事故でしたね…… 〉


〈 言うて、ダンジョン内で撮影するんならS級相当の護衛くらい付いてただろ……付いてたんだよね??? 〉


「はは……あまり詳細は言えないので、ご想像にお任せします」


 ちなみに、当日は酉抜さんも同行してくれていた。


 とはいえダンジョン用の装備じゃなく今回もパンツスーツ姿だったし、卯月さんの『ガチャ』結果の後も笑ってるだけで特に動く気配もなかったけど……流石に、俺たちの手に負えない事態に陥ったら助けてくれる心積もりだったんだろう……たぶん。


「それじゃCMも終わったことだし、今日はここまでにしますか。皆さん、お付き合いいただきありがとうございました~」


 コメントも一旦途切れたところを見計らって、配信を終了する。


「そんじゃ皆、おつおつ~!」


「皆様、御機嫌よう」


 ちょうど、二人も同じタイミングで配信を終えたみたいだ。


「っと……二人共、飲み物なくなってんね」


 視聴者向けの笑顔から素の顔に戻った卯月さんが、テーブルの上を見て片眉を上げる。


 特に意識してなかったけど、気恥ずかしさやら何やらで気付かないうちに俺のコップも空になっていた。


「おかわり、持ってくるね~」


「……ありがとうございます」


「そのくらい、俺が行くよ」


「や、いいっていいって」


 腰を浮かせかけた俺を押し留め、卯月さんはサッと立ち上がる。


 それから冷蔵庫の方へと足を向け……かと思えば、ふと何かを思い出したかのようにこっちを振り返ってきた。


「あ、てかオタくんさ。さっきジャスミンティーだったよね? ごめん、同じのはもうないわ。次、何にする~?」


「あー……何があったっけ?」


「んとねー。麦茶とー、コーラとー、オレンジジュースとー、ジンジャーエールとー……あっ、今朝作ったスムージーもまだ残ってるよ~」


「じゃあ、せっかくだしスムージー貰おうかな」


「おけおけ~」


 そんなやり取りを交わしていると、何やら横合いから視線を感じて……そちらに顔を向けると、ジト目の龍造寺さんと視線がぶつかり合った。


「一応、念のための確認なのですけれど……ここって、戌亥様のお宅ですわよね?」


「もちろん、そうだけど」


「戌亥様のお宅の冷蔵庫内なのに、なぜ戌亥様より煌梨さんの方が詳しいんですの……?」


「それは……もう、そういうもんだとしか……」


 思わず苦笑が浮かぶ。


 そもそも俺はここ数年、自宅の冷蔵庫にドーピングアイテムとポーション類以外のものを入れた記憶がない。


「お待た~。昨日焼いて冷やしといた、ブラウニーもあるよ~」


 そんな中、お菓子をお盆に載せた卯月さんが戻ってきた。


 もちろん、そのお菓子は俺の記憶にはないものだ。


「勝手知ったる我が家、といった顔ですわね……」


 今度は、卯月さんへとジト目を向ける龍造寺さん。


 ……それはそうと。

 さっきから龍造寺さん、なんかちょっとソワソワした感じでウチの中を見回してる気がするけど……なんだ?


 浅草ダンジョンの件での打ち上げ的なので来た時も、似たような感じだったんだよな……最近の我が家は、(卯月さんの手によって)以前に比べれば人の住む空間として問題ない程度には片付いてるはずなんだけど……。


「……? ……あっ」


 俺と同じ疑問を持っているのか、卯月さんも龍造寺さんを眺めながら首を傾け……かと思えば、何かに思い至ったかのような声を上げた。


「さては雅ちん、何度来ても推しのお宅にお邪魔するのはドキドキして……」


「ちょっ……!」


「もがっ!?」


 ニマニマ笑って指差す卯月さんの口を、龍造寺さんが慌てた様子で塞ぐ。


「それは秘密……というか煌梨さん、なぜ貴女がそれをご存知ですの……!?」


「嘘ん……まだそんなこと言ってる段階だったの……?」


 ヒソヒソ声で話……そうとはしているらしいけど、まぁまぁの声量なので普通にこっちまで丸聞こえだった。


 そして、その内容も……うん、まぁ、うん……。


 龍造寺雅さんこと、HN:エレガンスドラゴンさん。

 彼女が以前から俺の熱心な視聴者であり、有数のスパチャ常連であることは以前からとっくに知れ渡っていることだった。


 俺自身はもちろんのこと、視聴者の皆さんの間でも。


「とにかく、わたくしはエレ……その、高貴なお名前の方とは無関係ですので……! よろしくて……!?」


「あぁはいはい、ウチは何もバラす気はないですよー……ウチは、ね……」


 何しろ本人が……なんというかこう、ガバだからな……。

ここまで読んでいただきまして、誠にありがとうございます。

書籍版、HJ文庫より本日10/30(金)発売です。

https://firecross.jp/hjbunko/product/2273

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書籍版1巻、10/30(金)発売!
スパチャダンジョン1
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