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無限スキル【スパチャ】でダンジョン無双~ガチ攻略勢オタクとギャル配信者の同棲ダンジョン配信生活~  作者: はむばね


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第15話 オタク、招集される

 ウチは、今日も今日とてオタくんとダンジョンに潜る。


 それは、オタくんに助けてもらった翌日からずっと変わらない(オタくんの無茶振りによって日々死にかけてるって点も含めて)。


 ただ、こないだストーンブルと戦った日から少しだけ変わったこともあった。


 それは──


「おーほっほっほ!」


 ダンジョンに潜ると、かなりの高確率でそんな高笑いに遭遇するということ。


「こんなところで奇遇ですわね、お二方っ」


 今となっては、『奇遇』だなんて思っちゃいない。


 なんせアカウント名『エレガンスドラゴン』さんは、ほぼ確実にオタくんの配信に現れる。

 それはオタくんのダンジョン探索リズムを把握しているということであり、つまりダンジョン内で遭遇することも意図して可能ってことだもんね。


 もちろん、同じ階層に潜れるだけの実力があればっていう前提ではあるけど……その前提も満たしているのが、龍造寺雅ちんだった。


「こんちわー、雅ちん。昨日ぶりー」


 二回目三回目くらいは半笑いで迎えてたウチも、今となっては普通に学校で友達に会うような感覚で挨拶するようになっている。


「えぇ、度々偶然が重なるものですわね」


 雅ちんの方は、あくまでそのスタンスみたいだけど。


 ただ、雅ちんの方にも少しだけ変化はあって。


「ごきげんよう、煌梨さん」


 この通り、ウチのことは下の名前で呼んでくれるようになっていた。


 最初にそう呼んでくれた時は、思わず二度見しちゃったけど。

 澄まし顔なのにほっぺは真っ赤なのが、めっちゃ可愛かった~。


 あくまで雅ちんは素知らぬ顔を貫きたそうな雰囲気だったし、流石にスルーしておくことにしたけどね。

 その後もこうして呼んでくれてるのはそのおかげだと思うので、当時のウチはグッジョブだったと思う。


「さて、それじゃ今日はルナティックバットを相手にしてみようか」


 オタくんの方も、もう慣れっこって感じで雅ちんが来たこと自体はスルーしている。


 ……ていうか、オタくんも雅ちんがエレガンスドラゴンさんってことは知ってたわけで。

 雅ちんが合流するのも、たぶんストーンブルの時が初めてではなかったっぽい。


 ……あ、なんかそんなことを考えるとまたちょっとモヤッとしてきた。

 雅ちんは可愛いし良いお友達だと思ってるけど、それと『ライバル』の件はまた別問題っていうか両方成り立つ話だもんね……。


 ……うし、こういう時は身体を動かすに限る!


「よーし、やってやるんだから!」


 実際、雅ちんの件を抜きにしてもウチのモチベーションは高かった。

 最近、なんていうかこう……自分が強くなってるのを感じる、っていうか?


 今なら、どんなモンスターだって相手に出来る気分だもんね!


「……ところで、ルナティックバットってどんなモンスターなの?」


「知らないでおっしゃってたんですの?」


 首を傾けると、雅ちんが呆れ気味な目を向けてくる。


「第140階層のフロアボスですわよ」


「へー?」


 ……んんっ!?


 そうなんだー、って適当に返事しちゃったけど……なんかおかしくない……?


 ここ、130階だよね……?


 なんで急に、10階も先のボスと戦おうって話になってんの……?




   ♠   ♠   ♠




 ズシンとモンスターが倒れ伏し、光の粒子となって消えていく。


「っしゃオラぁ! 倒したどー!」


「し、死ぬかと思いましたわ……ていうか、三回くらい死んだと思いましたわ……よりにもよって一番攻撃が激しいローテ中に、許容誤差0.1秒以内の同時攻撃が必須は鬼畜すぎましてよ……」


「ウチらのコンビネーションの勝利、だったよねっ」


「ぶっちゃけ偶然の産物だった気もしますけれど……」


 卯月さんは血みどろになりながら──全て返り血である──両手を挙げて雄叫びを上げ、同じく血みどろの龍造寺さんは肩を大きく上下させながら安堵の息を吐いていた。


 第140階層のボスであるルナティックバット、見事に撃破である。

 これまでに二人がメインで活動していた階層から考えれば、ジャイアントキングと言っていい成果だと思う。


 けど、俺としては当然の結果だと思っていた。

 それはルナティックバットが上手く弱点さえ突けば比較的簡単に倒せるボスで、場合によっては低い階層のボスより倒しやすいということもあるけれど。


 それ以上に、二人の成長が目覚ましいからだ。

 卯月さんと龍造寺さんはここ最近競い合う形で切磋琢磨していて、その急激な成長は異常とも言えるくらいだった。


 というか、異常だと言われていた。


〈 は? マジで倒したん? 〉


〈 ピンチになってからのダンオタ登場っていう、いつもの流れーwww って思ってたのに……二人だけて倒しちゃったの……? 〉


〈 ついこの間まで130階で苦戦してた探索者の姿か? これが…… 〉


〈 ま、まぁ最近130は割と余裕気味だったし……(震え 〉


〈 余裕が出てきたからって10層も上のボスに挑むこと、通常それを自殺と呼びます 〉


〈 二人の成長具合は異常だよな…… 〉


〈 まぁ、ダンオタが直接指導してるわけだしな…… 〉


〈 異常者の弟子もまた異常者になっていく運命なのか…… 〉


〈 ダンオタの指示をそれなりに実行出来る時点で、二人はもう…… 〉


 主に、俺の配信のコメント欄でだけど。


 今でも多くが固定客で占められる視聴者層なので、彼女たちの成長を最初から見守っていた面々が多い。

 龍造寺さんに関しては結構前からちょいちょいウチの動画にも映ってたので、尚更ここ最近の成長は著しく見えるだろう。


 やっぱ、競い合う相手がいるっていうのは大きいんだろうな。


 なお、なんか俺まで異常扱いされている気がするの見なかったこととする。


「いよう、タカ坊じゃねぇか」


 感慨深い気持ちでコメントと共に二人の喜ぶ姿を眺めていたところ、次の階層へと続く階段の方からそんな声が掛けられた。


武司(たけし)さん」


 俺を『タカ坊』なんて呼ぶ存在は一人しかおらず、振り返るまでもなく誰だかわかる。


 牛尾(うしお)武司さん。

 俺の両親の友人で、両親と共にトップ探索者として活躍していた人である。


 ……活躍していたというか、S級探索者として今も大概ダンジョンに潜ってるけど。


 今やダンジョン管理協会理事の一人にも拘らずバリバリ現役を続けてるってのは、異常……というわけでもなく、理事の半数は現役らしい。

 あの組織の現場大好き感、何なんだろうな……。


「がははっ、俺も含めて一部のアホ共は生涯現役を掲げてるからな!」


 ……この人には、小さい頃からお世話になっている。

 そのせいか、今でも思考が読まれがちなところがあった。


 これだから、両親の友人たちは厄介なんだよな……。


「おっ、そっちの嬢ちゃんたちが例の二人か」


「知ってるんです?」


「そりゃ、今の若手の中じゃ最注目株だしな」


 尋ねると、武司さんはさも当然とばかりにそう返してくる。


 まぁ卯月さんも龍造寺さんも、自分の存在を隠してるわけじゃない……というか二人とも、配信って形で自ら積極的に発信してるんだしな。

 再生数も日々伸びてるみたいだし、話題になって当然か。


「お前ら三人は(・・・)よ」


 ……ん?


「三人って、俺も?」


「あ? そりゃそうだろ」


 いや、そんな「何当たり前のこと言ってんだ?」みたいな顔で見られましても……。


「つーか、こん中でもお前がぶっちぎりだろうがよ」


「は……? 俺の配信の視聴者数なんて、たかが知れてるけど……」


「まぁ、一般の視聴層ならそうだろうが……え? お前、まだそんなこと言ってんの?」


 何がだよ……と思っていると、武司さんはなぜか俺を指差しながら卯月さんと龍造寺さんの方に顔を向ける。


 なぜ二人も「そうなんですよー」みたいな微苦笑で頷いているのか。


「まぁ最近は一般層からも、あの二人の師匠っぽい少年は何者なんだ? 的な問い合わせは結構来てたりするが……あぁいや、そんなことよりも」


「いや、『そんなこと』じゃなくて割と気になる話題なんですけど」


「お前ら三人に、ダンジョン管理協会から招集をかける。近々、本部まで来てくれ」


 俺的には話を促したつもりだったんだけど、武司さんはさっさと話題を変えてしまった。


 この人、昔から自分のペースでしか話さないとこあるからな……。


「そういうのは、協会経由で正式に連絡してくださいよ。何たまたま会った時に雑談がてら振ってんですか」


「いいだろうがよ、用件が伝われば」


 良くないんだよ、エビデンスが残らないとトラブルの原因になりかねないんだから。


 ……というのが一般的な意見だけど、まぁ武司さんなら言った言わないの話とかにはならないだろうから別にいいんだけどさ。


「それで、招集っていつ行けばいいんです?」


「別にいつでも構わねぇから、都合の良いタイミングで来てくれや」


「そっすか」


 わざわざ本部に招集なんて厄介事かと思ったけど、この緩さなんだったら大した用件でもないのか……?

 ……いや、武司さんの場合は深刻度に拘らずこのテンションか。


「んじゃそういうことで、頼まぁな」


「はぁ、それじゃあ気が向いた時に伺います」


 そう返しはしたけれど、一応早めに行っとくに越したことはないだろう。


 俺がそんなことを考えている間に、武司さんは踵を返して行ってしまった。


「今の人は、どこのどちら様……? なんか、偉い人な雰囲気っぽかったけど……」


「ダンジョン管理協会の理事の一人、牛尾武司さんでしてよ」


 卯月さんの疑問には、龍造寺さんが答えてくれる。


 しかしダンジョン管理協会の理事なんて普通の人はあんまり興味もないだろうに、なんで知ってるんだろう……?

 と一瞬思ったけど、そういや龍造寺さんのお父さん・龍造寺剛一郎さんも理事の一人だったっけ。


「けど、管理協会がウチらに用事って何なんだろう……?」


「そうですわね。戌亥様お一人ならともかくとして」


「だよねー?」


 なんで、俺一人なら納得のラインみたいな話なんだよ……。


 ……えっ、俺ってもしかしてそんな問題児だと思われてんの?


 これで結構、真面目にやってるつもりなんだけど……。

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