道端での顔合わせ
幼き私はその日、祖父に連れられ散歩に出た。
まだよちよちと歩く私に祖父はとても厳しかった。
いつしか辺りは日本家屋が並び、その庭の手入れの良さが分かる家もあり、いつもは通らない道のでこぼことした砂利道に苦戦して歩いていたら、祖父が立ち止まった。
だから私も同じように立ち止まると向こうから私と同じ年頃の男の子と手を繋いだ彼の祖父がやって来た。
それは運命ではなく、家同士が勝手に決めた事だった。
「お待たせしたな、阿左美の」
「いえいえ、今来た所ですよ。岡見様」
そうして私は彼に紹介されたのだ。
「これが阿左美花暖です。本当によろしいのですか? これは本当に力が強すぎて神力を上手く使えないままですが」
「ああ、良いのだ、良いのだ! 少しでもあればそれで良い」
二人の大人の話はこれくらいなもので、私の婚約者となられた岡見尽人は私の顔を見るなり、じっとそのまま動かなくなった。
怖いものでも見たようではなく呆けている。
何故だろう? そしてその彼の祖父である白髭の長さがとても怖くて、私は身動きできずに固まった。
泣かなかっただけえらいと褒めてくれて良いのに、私の祖父はこう言った。
「何と恥ずかしい!」
「いや、まあ、物珍しいのでしょう。こういう者は他におらんか?」
はい! と言うこともできずに黙ったままだったせいでこの後私はまた祖父に叱られ泣いたのだが、その記憶はもう今となってはどうでも良い。
それから何年後か。
彼の家から私は突如婚約破棄され、自分の家からも見放された。
母はこの時すでに行方不明になっていたし、私の拠り所は自分で出せる霊力を頼りに呼び出した鬼の式神だけだった。
それからまた時が経ち、私はやっと高校生になった。
そして、希望もないままその日をのらりくらりとやり過ごしていた。




