第十四話:海
アシスト&スリッパークラッチの具合を確かめようと峠に行くつもりだったのだが、掃除をしたりゴミをかたずけてるうちに、2時半くらいになってしまった。
天気もそんなによくないので、やっぱり海でいいや。
家を出る。R245から「久慈浜」に曲がる。
二、三日前に吹いた強風のせいか、駐車場が砂の山になってた。
それはそれで面白そうなので、ちょっと走ってみることにした。
グリップの悪い路面では、バイクを傾けない事が第一だ。
砂の上は勝手に轍ができるので、バイクを傾けない限り意外に安定している。
アシスト&スリッパークラッチの手ごたえを確かめる為に、少し山になっている砂の上でわざと停止してみる。
深い砂では止まるより発進の方が難しいものだ。
しかし、アシスト&スリッパークラッチを入れた俺の相棒は、ほとんど半クラッチを使わなくても「スルスル」と前に出ていく。
ノーマルで砂浜は試していないので、アシスト&スリッパークラッチがどのくらい効いているかはわからないが、それがあるだけで安心感が段違いだ。
さすがに砂浜に降りてしまうとスタックしたときに地獄なので、駐車場の縁の砂浜ギリギリまででやめておいた。
久慈浜の灯台のある崖の上に上がってみる。
砂浜の崖の上からの景色は、夏も終わりのせいか寒そうに見えるが、潮の香りの中にはまだ暖かい空気が漂っている。
下で見たときには、そこそこ多くの人が歩いていたのだが、上から見ると砂浜から遠いのであまり人が見えない感じがした。
崖の上の灯台は公園になっていて、家族連れで混んでいた。人があまり見えない角度で缶コーヒーを飲みながら海を眺める。
砂を巻き上げた台風は太平洋の遠くを過ぎたはずだが、多分、その影響で海も荒れてる。
そこから、そう遠くないところに「泉が森」という所があるので、寄ってみた。
ここは森の中に泉神社がある。参道にのぼりが長く続いていて、茨城っぽくない感じがする。
社殿はあまり大きくないが、由緒正しい感じがする本殿だ。
後ろに回ると、湧き水でできた池がある。
周りも木で囲まれていて「泉が森」って言うのは多分、ここの池を中心とした森の事を言うのだろうと思われる。
空気の温度が周りより少し下がったような気がした。
この池の水は、かなり澄んだ湧水で、小銭を投げ込む人が後を絶たないそうだ。
どうせなら、長くこの超自然を保って行けるといいのになぁ。
なんとなく、ただの散歩って感じになってしまったが、07で、ゆっくり散歩ができるのは、とても心地よい特別な時間だ。
ちょい乗りでもいいので、もっと07で遊びたいものだ。
秋も近いて来た。夕日も赤さを増しているようだ。まぶしさが少し減った太陽は大きさが増したようだった。




