表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/27

第26話

 カズキは目の前で起きていることに理解が及ばなかった。クラウドが二人、目の前にいる。おかげで先程の快感など吹き飛んでしまった。


 どちらが本者?


 どちらが偽者?


 後から現れたクラウドが、こちらへ剣先を向けてきた。煌めく瞳の碧はクラウドと全く同じだ。


「カズキから離れろ」


「渡すか。カズキ、大丈夫だよ。君は俺が護るから」


「う、うん……」


 カズキはクラウドの袖を掴む。自分を抱き包む腕は、大好きなもの。セックスも彼は自分が感じる場所を知っていた。


 もう一人のクラウドは?


「ねぇ、そっちのクラウドにも聞くね。何で白夜(びゃくや)にキスしたの?」


 先程と同じ質問を投げかけると、彼は驚いたような表情を浮かべた。


「何の話だ。白夜(びゃくや)と? ありえない」


 それを知らないならば、真偽を見定めるに十分な答えだ。


「じゃぁ、あんたが偽者だ!」


「カズキ!? 待て! 話を……」


「する必要ある? だって、ボク聖獣で見たんだもん。悔しいけど、クラウドが白夜(びゃくや)にキスしてるとこ。それ見て暴走しそうになったけど、クラウドが白夜(びゃくや)で助けてくれた。だから、キスしたことも知らない、ボクを助けてもくれなかったあんたが偽者だ!」


「……っ」


 図星を指されたのか彼は言葉を失った。騒ぎを聞きつけたソギたちが合流し、やはり驚きを隠せなかったのか眉を寄せる。


「クラウドさんが二人……?」


「びっくらこいた」


「二人共、それクラウドの偽者。なんで現れたのか分かんないけど」


 聖獣の結界内に敵意ある魔族が入り込むとは考えにくい。聖獣の試練か何かだろうが、全くもって悪趣味である。


「ねぇ、あんたはさ、ボクとクラウド相手に戦う気?」


 男はしばらくこちらに剣を向けていたが、小さく肩を落として剣を鞘に収めた。


「……出直そう」


 落胆したかと思ったが、彼は素早い動きでソギたちの前に立つ。


「悪いがソギ達は連れて行く」


 クラウドが制止をするが、男は膝を着いて左の人差し指を地面に当てた。そこから左右に緑色の光が走り、大きく風が巻き上がる。目も開けられないほどの強風が二人を襲い、風が収まる頃には、ソギたちの姿が消え失せていた。


「…………」


 カズキは皆を連れて行かれたことに焦りを感じながらも、これで確信をした。クラウドに風を操る力はない。それを操った彼は、やはり本当のクラウドではないのだろうと思う。


「もうっ、砂漠に入ってから変なことばっかりだよ」


「変なこと?」


「うん。ナシュマは逃げるし、叉胤(ざいん)は元彼に殺されかけるし、クラウドの偽者は現れるし、ソギも白夜(びゃくや)も連れて行かれちゃったし。でもクラウドが帰って来てくれたことは良かったぁ」


 そう言って笑うとクラウドが頬にキスをしてくれた。


「ああ、カズキに触れていると安心するね。離れている時間が長く感じたよ。さて、皆を捜しに行かないとね。神殿を歩き回ったから多少地理勘はあるよ」


「うん、お任せだよ。えへへ、笑ってられる状況じゃないけど嬉しいなぁ。クラウドが無事で良かった」


「……カズキ、可愛い顔をしてあまり煽るな。止められなくなってしまうよ」


「うん、全部終わってから、だよね」


 カズキは元気良く頷いた。クラウドに会えたことは本当に嬉しかった。


「ねぇ、クラウド。あれから何があったの?」


「神殿の奥に風の聖獣が奉られている祭壇があってね、そこまで運ばれて風は消えた。ただ、何も起こらなかったんだよ、不思議とね。カズキ達は追ってきてくれるだろうと思ったから、どうにか合流できないかと方法を探していた。そこで白夜(びゃくや)に会って、そしてカズキにも会えた」


「そっか。クラウドにそっくりなアイツ何なんだろう」


「召喚士と守人の絆を確かめるためのまやかしかな。カズキは俺を選んでくれたわけだ」


「うん。だって、さっきのクラウドとのえっち、ボクが大好きなところばかり攻めてくれたもん。本当のクラウドじゃなきゃ知らないでしょ」


「ふふっ、いやらしい子だ」


 右腕でカズキの体を支えたクラウドが、空いた左手で服を脱がせてくる。


「ゃんっ、クラウドっ?」


「自分の弱さに笑ってしまうな。お前が欲しいよ、カズキ」


「クラウド……」


 全てを脱がされ、裸体に触れる空気は少し寒い。


「さっきは声を我慢していただろう? 今度は、たくさんカズキの声を聞かせてくれ」


「もう、クラウドってば」


 カズキは笑う。それから何度身を絡ませただろう。体は知っている。クラウドとの快感を。カズキは彼の体温を感じながら長い眠りについた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ