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細川ガラシャになる前の明智玉でした。父の謀反を止めないと私が燃えるので必死です  作者: れんれん


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第二百ニ十四話 「帰郷」

岐阜城。

一団が城門をくぐる。

先頭にいたのは、明智光秀であった。


関東での大役を終え、滝川一益へ全てを引き継ぎ、ようやく帰還したのである。

「光秀様、ご帰還!」

家臣たちが一斉に頭を下げる。

その報はすぐに城内へ伝わった。

「義父上がお戻りになられました!」

知らせを受けた信忠は、執務を中断して城門へ向かう。


そこには旅装束のままの光秀が立っていた。

「義父上、ご無事で何よりです。」

「ははっ、お気遣いありがとうございます。」

二人は固く手を取り合った。

関東での働きは、信忠も書状で何度も読んでいた。


小田攻略。

宇都宮の臣従。

蘆名との交渉。

そして関東総奉行という新たな制度。

どれも信長が高く評価する成果ばかりであった。

「殿も大変お喜びでした。」

「滝川殿なら安心して任せられます。」

光秀も安堵したように笑う。

「ようやく肩の荷が下りました。」

「これでしばらくは家族と過ごせそうでございます。」

その言葉を聞き、信忠も微笑んだ。

「玉も毎日のように義父上のことを案じておりました。」

「早く会わせてあげてください。」

光秀は静かに頷いた。

「そういたしましょう。」

その頃。

部屋で刺繍をしていた玉は、侍女から知らせを受ける。

「お方様!」

「光秀様がお戻りになられました!」

その瞬間。

玉の顔がぱっと明るくなる。

「父上が……。」

思わず立ち上がろうとして、お腹に手を添えた。

もう妊娠六か月。

お腹も大きくなり、胎動も日に日に力強くなっている。

「慌ててはいけませぬ。」

侍女に支えられながら、玉はゆっくりと廊下へ向かった。


やがて。

父と娘は久しぶりの再会を果たす。

「父上……。」

「玉。」

光秀は娘の姿を見るなり、目を細めた。

その視線は自然と大きくなったお腹へ向く。

「大きくなったな。」

玉は照れくさそうに笑う。

「毎日、この子が元気に動いております。」

「そうか。」

光秀はそっと娘の頭を撫でた。

「よく頑張った。」

その何気ない一言に、玉の目には涙が浮かぶ。

「父上がご無事で、本当に良かった……。」

光秀もまた胸をなで下ろした。

関東にいる間、最も気掛かりだったのは娘のことだった。

こうして元気な姿を見ることができただけで十分だった。


その夜。

久しぶりに明智家の家族がそろい、穏やかな夕餉が開かれた。

関東での出来事を語る光秀。

興味深そうに耳を傾ける信忠。

嬉しそうに笑う玉。

戦国の世であることを忘れてしまうほど、静かで温かな時間が流れていた。

だが、その頃──。

遠く小田原では、北条家が関東で急速に広がる織田の新たな秩序を前に、次なる一手を模索し始めていた。

本能寺まであと百六十日。

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