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細川ガラシャになる前の明智玉でした。父の謀反を止めないと私が燃えるので必死です  作者: れんれん


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二百十話 「佐竹の決断」

常陸国・太田城。

評定は続いていた。

安土より戻った和田昭為と佐竹義久。

そして佐竹家の重臣たち。

誰もが結論を待っていた。


当主・佐竹義重の言葉を。

静寂が続く。

義重は目を閉じていた。

考えている。

いや。

すでに答えは出ているのかもしれない。

だが当主として。

佐竹家の未来を左右する決断だからこそ。

最後まで考え抜いていた。


やがて。

ゆっくりと目を開く。

「皆の意見は聞いた」

重臣たちの背筋が伸びる。

義重は続けた。

「里見は先に動いた」

誰も否定しない。

事実だった。

里見は決断した。

港を開く。

織田船を受け入れる。

兵の駐留も認める。

その覚悟を示した。

「では佐竹はどうする」

義重は自ら問いかける。


そして。

答えもまた自ら口にした。

「決まっておろう」

静かな声だった。

しかし。

評定の間にいる全員へ伝わった。

義重は立ち上がる。

「我らも織田へ臣従する」

部屋が静まり返る。

反対の声はない。

むしろ。

皆どこか納得していた。

そうなるだろうと思っていた。


義重は家臣たちを見回す。

「誇りはある」

「坂東武者としての意地もある」

その言葉に重臣たちも頷く。

長い歴史。

佐竹家は関東の名門である。

簡単に頭を下げる家ではない。

だが。

義重は続ける。

「意地で国は守れぬ」

誰も反論できない。

「誇りで兵は養えぬ」

それもまた事実だった。

「家が滅びてから誇りを語っても意味はない」

評定の間は静まり返る。

義重の言葉は重かった。

戦国の現実そのものだった。


生き残る。

それこそが全て。

家を残す。

領民を守る。

そのための決断である。

義重は地図へ視線を向けた。

北条。

里見。

上杉。

関東には敵が多い。

北条だけではない。

大小様々な勢力が存在する。

もし。

織田という巨大な力が背後にあれば。

状況は大きく変わる。


交易も増える。

鉄砲も手に入る。

商人も集まる。

何より。

誰も佐竹を軽く見なくなる。

義重は深く息を吐いた。

「信長は分かっていたのであろうな」

誰かが頷く。

安土での信長の言葉。

答えを持って来い。

それは決断を促す言葉だった。

佐竹がどう考えるか。

信長は最初から見抜いていたのだろう。


和田昭為が頭を下げる。

「では書状を」

義重は頷いた。

「用意せよ」

「臣従の意を示す」

重臣たちが動き始める。

評定は終わった。

だが。

ここからが始まりだった。

数日後。

臣従を示す書状が完成する。

さらに贈り物も選ばれた。

名馬。

名刀。

黄金。


そして。

佐竹家の誠意。

義久が静かに言った。

「これで関東も変わりますな」

和田は小さく笑う。

「変わるのではない」

「すでに変わり始めている」

里見が動いた。

佐竹も動く。

その報せはやがて北条へ届く。

そして。

関東全体を揺らすことになる。


その頃。

安土城。

信長は関東の地図を眺めていた。

光秀が静かに報告する。

「そろそろ決断いたしましょうな」

信長は口元を緩める。

「うむ」

その目は楽しそうだった。

まるで次の一手が見えているかのように。

本能寺まであと二百六十二日。

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