表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
細川ガラシャになる前の明智玉でした。父の謀反を止めないと私が燃えるので必死です  作者: れんれん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
182/221

第百八十二話 「安土の側近」

安土。


信長は静かに地図を見ていた。

西では毛利。

四国では長宗我部。

東では八丈島。

織田は確実に広がっている。


その広がりを支えるため、安土には大量の文と報告が集まっていた。

「殿」

声をかけたのは丹羽長秀である。

信長の古参重臣。

派手さはない。

だが。

織田家中でも屈指の実務能力を持つ男だった。

「滝川殿から追加の文にございます」


信長は受け取り、静かに目を通す。

八丈島周辺の不自然な動き。

東国商人の流れ。

海上での妙な視線。

やはり。

何かある。

だが正体は見えない。

信長は文を机へ置く。

「長秀」

「はっ」

「どう見る」


丹羽は少し考え込む。

「敵と断定するには早いかと」

「ほう」

「関東は今も乱れております」

「故に、こちらの大規模な動きへ自然と目が集まるのは不思議ではありませぬ」

信長は黙って聞く。

「ですが」

丹羽は続けた。

「滝川殿ほどの御方が違和感を覚える以上、何も無いとも思えませぬ」

慎重な言い回しだった。

決めつけない。

だが軽視もしない。

それが丹羽長秀という男だった。


信長は笑う。

「貴様らしいな」

「恐れ入ります」

丹羽は頭を下げた。

信長は再び地図へ目を向ける。

「東はまだ遠い」

「ですが、いずれ向き合うことになりまする」


丹羽が静かに答える。

その声に迷いはない。

織田は止まらない。

ならば。

いつか必ず関東ともぶつかる。

今はその前段階。

探り合い。

空気の読み合い。

そういう段階だった。

信長はふと口元を歪めた。

「面白い」

「東の者共も怯えておるのであろう」

「織田が海へ出てきたのだからな」

それは事実だった。

今までの織田は“陸の覇者”。

だが今は違う。

大船。

海路。

商人。

貨幣。

海そのものへ手を伸ばし始めている。

それは東国勢力にとって未知の脅威だった。


丹羽は静かに言う。

「故に、様子を見ているのでしょう」

「こちらの出方を」

信長は頷く。

「ならばこちらも見る」

焦る必要はない。

今の織田には余裕がある。

西では毛利を圧迫。

四国では長宗我部が動く。

堺も掌握した。

だからこそ。

東では急がず流れを見る。

その判断ができていた。


その頃。

岐阜城。

信忠は届いた安土からの文を読んでいた。

丹羽が信長の側近として東国対応へ入ったこと。

滝川への指示。

そして。

「敵と断ずるにはまだ早い」

という内容。


信忠は静かに頷く。

「長秀殿らしいな」

その横で光秀も笑った。

「殿も安心して任せられるのでしょう」

光秀も丹羽を高く評価していた。

冷静。

慎重。

そして視野が広い。

今の安土には必要な男だった。

織田は広がっている。

だからこそ。

支える者たちもまた変わり始めていた。


本能寺まであと三百三十一日

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ