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細川ガラシャになる前の明智玉でした。父の謀反を止めないと私が燃えるので必死です  作者: れんれん


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第百八十一話 「違和感の正体」

安土。



信長のもとへ滝川一益からの書状が届いていた。


八丈島の進行。


砦の拡張。


補給路。


そして関東の不自然な動き。


信長は静かに文を読み終える。


「……妙だな」


側近たちは顔を見合わせた。



信長は地図へ視線を落とす。


関東は割れている。


北条。


里見。


関東諸侯。


上杉残党。


まとまりなどない。


本来ならば、織田の動きへ即座に対応できるはずがなかった。


だが滝川は“反応が早い”と記している。


しかも確証はない。


そこが逆に信長の興味を引いた。


「光秀を呼べ」


岐阜から日にちを跨いで

明智光秀が姿を現す。


信長は文を放るように渡した。


光秀は静かに読み進める。


そして。


僅かに目を細めた。


「……なるほど」


「どう見る」


信長が問う。


光秀は少し考え込む。


「二つございます」


「申せ」


「一つは、本当に情報が漏れている場合」


「もう一つは」


光秀は地図へ目を向けた。


「見られている場合にございます」


「見られている?」


「はい」


「八丈島への船団は大規模」


「完全に隠し通すのは難しゅうございます」


「つまり、間者ではなく海そのものを見張られている可能性」


信長は鼻で笑う。


「海の見張りか」


「北条ならやりかねませぬ」


光秀は続ける。


「ですが問題はそこではございませぬ」


「……何だ」


「滝川殿が“違和感”を覚えるほど自然に動いている点です」


信長は黙る。


確かにそうだった。


露骨ではない。


だが早い。


まるで最初からこちらを警戒していたかのような動き。


それは偶然とも言える。



だが。


今の織田は違和感を軽視しない。


信長はゆっくり口を開く。


「滝川にはそのまま進ませよ」


「はい」


「ただし」


信長の目が鋭くなる。


「気づいておらぬふりをしろ」


光秀が静かに頭を下げた。


「御意」


敵がいるなら泳がせる。


誰が見ているのか。


何を探っているのか。


焦って動けば逆に隠れる。


ならば。


こちらも静かに見る。


それが今の織田だった。



一方。


岐阜城。


信忠もまた報告を受けていた。


光秀から送られてきた簡潔な文。


――東に小さな違和感あり。


――未だ断定は不要。


――静観されたし。


信忠は文を読み終える。


そして静かに息を吐いた。


「父上らしい」


即断せず。


だが放置もしない。


それが今の織田の強さだった。




以前なら。


力で押していたかもしれない。


だが今は違う。


情報。


流れ。


空気。


そういったものまで見始めている。


信忠は窓の外を見る。


天下は広い。


西では毛利。


四国では長宗我部。


東では関東。


織田は確実に広がっている。


だからこそ。


見えぬ綻びが最も恐ろしい。


その感覚を、信忠も少しずつ理解し始めていた。


本能寺まであと三百三十五日

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