第9話 作戦を前にして
「よし、みんな揃ったな。これより今回実行する作戦の詳細を説明する」
力強いクライドの声が部屋いっぱいに響きわたる。
「目標はハーシオン駐屯軍中央武器弾薬庫。襲撃後は可能な限り集められている武器、弾薬を奪取する!作戦決行時刻は本日深夜2時だ」
一息おき、クライドは話を続ける。
「まず、部隊を3つに分ける。Aチームはこの作戦の主力を担ってもらう。役割は正面からの攻撃及び武器、弾薬の奪取だ。幸いにもこの武器弾薬庫には最新鋭の武器が運び込まれている。この武器を手に入れることができれば我が組織は勢力を盛り返すことができるだろう。そして、このチームは私自らが陣頭指揮をとる!」
「おぉ!!リーダーの陣頭指揮かぁ。この作戦は成功だな!」
メンバーの歓喜の声が聴こえる。
どうやらクライドという人物はかなりの実力と皆を惹き付けるだけの人望があるらしい。
「次にBチームだが、このチームには騒ぎを聞きつけて駆け付けて来るであろう敵の援軍の抑えに入ってもらう。指揮はバルガスにとってもらう」
「おう!任せといてくれ!リーダー達には指一本触れさせやしねぇぜ!」
バルガスが気勢をあげた。
「よろしく頼むぞ。最後にCチームだが、このチームには陽動及び狙撃を担当してもらう。武器弾薬庫での騒ぎを聞きつけて、急いで駆け付けてくるであろう敵兵を狙撃し主力部隊の援護をしてくれ。指揮はリサ君にとってもらう。よろしく頼むぞ」
「はい、任せてください。役目を果たします」
リサは冷静にそう言った。
「なお、本作戦終了後は一時的にこの町を撤退し城壁外にあるカフェ、カサブランカ内にある臨時本部に再集結する。参謀と副リーダーはそちらで撤退してくるメンバーの収容や後方支援を頼む。これで本作戦の説明を終了する。諸君らの健闘を期待している!」
「おぉ!!」
メンバーの士気が最高潮に達する。
「よし、やるぞ!」
「あぁ、俺達の底力を執政府の奴等に見せてやる!」
作戦に参加するメンバー達が口々にそう言っている。
その後、攻撃に参加する者達はしばしの休息に入った。
「ナナシ君ちょっといいかな?」
「あっはい、なんでしょう」
俺はクライドに呼ばれた。
「初めての戦闘だろうけど無理はしないでくれ。絶対に死ぬな。狙撃班はどうしても最後まで踏みとどまり、味方の撤退の援護をしなければならない。つまり危険が多いわけだ。指揮をとるリサ君は経験豊富な同志だ。彼女の指示にしたがっていれば大丈夫だろう。よろしく頼むぞ」
「はい、ありがとうございます。リサさんの指示にしたがい、今自分がやれることをやってみます」
俺は覚悟を決めた。
この時、俺はまだ知らなかった。
この襲撃作戦自体が執政府が仕組んだ巧妙な罠であったということを…。




