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第3話 ハーシオンの武器屋の日常

「あ~あ!銅のつるぎ売れねぇなぁ!」


昼下がりの午後、俺はそう叫んだ。

こうなったのもつい最近、近くに新しい武器屋ができたせいだ。そのせいで流行に敏感な客がみんな向こうに流れやがった。


「くそ~!新しい武器屋の何がいいんだよ!」


俺は二度目の叫び声をあげた。

まぁ、バカな俺でも客が向こうに流れた理由くらいわかってる。新しい武器屋にははがねの剣が売ってるからだ。


「ったく…。どいつもこいつも銅の剣の良さをわかっちゃいねぇな!剣っていうのはなぁ切れ味じゃねぇ。心だ!」


客のいない店内で俺はそう叫んだ。


「トリトンさん、今日も客いないねぇ。冷やかしに来たよ」


久しぶりに客が来たかと思うと飲み友達のユキオスがやって来た。


「なんだ、客かと思えばお前かユキオス。冷やかしだったらいらねぇ。なんでもいいから武器を買ってくれ」


「なんで、ワシが武器を買わないといけないのじゃ。ワシは今年で65歳じゃぞ。武器より酒が欲しいわい」


ユキオスはやれやれといった表情で俺にそう言った。


「ほんとっお前さんは武器より酒だよなぁ…。しっかし最近は反政府組織の奴らのせいで治安が悪いんだ。護身用にナイフぐらい買っといたらどうだい?」


俺は店内で販売しているナイフを指差ゆびさしながらそう言った。


「ナイフねぇ…。でもお前さんのところのナイフは銅のナイフじゃろ?わしゃ買うなら新しい武器屋で売ってるはがねのナイフを買うぞい。まぁ、執政府の軍隊は負けんよ。なんたって執政府にはあおの巫女がついておるからの」


ユキオスは笑いながらそう言った。


「あの時間が操れるという噂の蒼の巫女ねぇ。しっかし本当に時間を操ることなんてできるのかね」


「新聞にはそう書いておったぞ。まぁ、ワシらには関係のないことじゃ。反政府組織の奴らもじき殲滅せんめつされるじゃろうて」


「殲滅ねぇ。しっかし平和になったらなったで俺達武器屋は商売あがったりだよ。少々物騒な方がいいのさ」


トリトンは銅の剣を見ながらそう言った。


おいおい、下手にそういうことを言うもんじゃない。どこで秘密警察が聴いているかわからんぞ…。まぁ、ワシは酒の続きといこうかの。トリトンよ、行き付けの酒屋におるから時間があったら来いよ」


ユキオスはそう言い残すとフラフラしながら帰って行った。


「ったく。本当に窮屈きゅうくつな世の中になったもんだ。こっちは武器を売らないと暮らしていけないんだ。あ~あ!大金が手に入る良い方々なんかないかな~!」


だれもいない店内でトリトンはそう叫んだ。



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