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異世界英雄譚  作者: テト
9/18

空間

「協力しろって?僕が君なんかと?」

「時と空間、それが交われば化学反応が起きる。そう思わないか、エスパス。」

「けど目的がわかんねぇし、お前みたいなやつ弱そうだから嫌だね。渚を取り戻してきたら考えてやってもいいけどね。時相くん。」

時相テンプスはずっと協力者を探していた。しかし、見つかることがなく進行していく。

「ねぇ、何も言わずに離れていく気?僕の大事な時間を奪ったんだから言う事あるよね。」

「悪い、帰らせてもらう。」

「違うだろ!謝れよ!人の時間を奪ってんだぞ!時間を奪ったヤツがそんな態度だなんて、親もみっともないんだろうな。」

「すまない、時間を奪ってしまって。」

「癇に障る。いいや、死ねよ。ここで!」

空間を操る者、エスパスは空間を捻じ曲げ始めた。しかし、テンプスは時間操作で自分の速度を極限まで速めたため逃げられた。

「逃げられたか。イライラする。誰か殺しにいけば収まるかな。殺すなら、渚がいいよなぁ。」

エスパスは空間を戻し、拠点から外に出た。外に出たとき、目の前に黒い衣服で覆われた人が現れた。

「あーお前か。収穫はあったか、渚は取り戻せたか。」

「それが何も…」

ペチンッ

「使えない!役立たず、なんで言ったことを出来ない!殺されたいのか!?」

目の前の人は覆われたマスクの下からエスパスを覗いていた。その目には殺意が一切なく、恐怖のみがあった。

「お前さ、何がしたいの?渚を取り戻すために渚を奪った奴ら殺せって言ったよね。誰のおかげで今生きてられると思ってるの?僕だよね!その恩を返して貰わないと困るんだよ!」

「でも、人を殺すなんて、出来ません。あなたと私とでは価値観が違うんです!」

「僕の奴隷がなんで口答えしてるの。お前が気配遮断を使いこなせてないときにワープ使いのやつから助けてやったじゃん。そのお礼として仕えますって約束したじゃん!」

「それは無理やり…」

「あぁもういいや。ついてこい、来ないなら殺す。」

エスパスは黒い衣服で覆われた人、ハザンの手を握って無理やり連れ出した。そして向かった先は富城の工房だった。

「富城、お前にこいつの心やるよ。心てっいい奴なんだろ?」

「なぜお前がここに来た。生前の仲をここでも戻そうってことか?前回も言ったが馴れ合いっ子するつもりはない。」

「そんなんじゃない、こいつの心が邪魔だから消せってこと。よろしく、金はいくらでも積むよ。」

「はぁ、まぁいい。今人の心が在庫不足だったから丁度いい。」

富城は工房にハザンを連れ出した。工房には贋作者が集めた母体が転がっていた。その奥に置いてあるベッドにハザンを寝かせ、麻酔をかけた。そして、心の摘出手術を開始した。ロボトミー手術に似ているが少し違う。どちらかというと催眠術に近い。脳をいじり、感情を消去する。その後命令を聞くように変換させる。手術自体は15分程度で終わった。

「これで、新たな本物の人形が完成する。これなら少しはそこらの転生者も騙せるだろ。」

先ほど摘出した脳を母体に移植した。ハザンの脳には脳のかわりに人形として機能するための人工脳を入れた。

「あいつが来るまで人形を作るか。」


その頃、エスパスは家で受け取りの時間まで待っていた。そんなところに一人の白髪の少女が近付いていた。

「暇?なら遊ぼ」

「は?なんでお前がここにいる!どっか行け!お前に関わってから僕はこの世界で不幸な目に遭ってばっかりだ!」

「まぁね〜。アタシの能力で精神に異常起こしちゃうからね〜。」

「フェルジュエリー、僕の前から消えろ!」

「せっかく会えたのに、無理だよ。それより、何でアタシに任せなかったの?アタシならあの子くらい簡単に壊せたのに。」

「信用してないんだよお前のことは!さっさとどっかに行ってくれ!」

「仕方ないな。じゃあね〜。」

「はぁ、はぁ、何なんだあいつは。僕を、馬鹿にしてるのか。うっ、」

エスパスは目眩がして気絶をした。そして、目覚めたときには腹が血で染まっていた。目の前にはナイフを持ったハザンがいた。ハザンの目は輝いていた。まるで苦しみから解放された人のように。

「あなたを殺せてよかった。これであなたから解放される。」

「やだ、まだ死にたくない。生きてたい、僕が悪かった。な、1回助けてやったしいいだろ?なぁ!」

「さようなら、エスパス。」

そう告げたハザンは胸に手を入れ、心臓を取り出した。心臓には能力コアが輝いていた。それだけをハザンは取り出し、心臓は近くにいた富城に渡した。その後、エスパスは意識が薄れていく中、富城に死体を回収された。


ハザン回収の時間になってもエスパスは来なかった。ずっとハザンの身体があっても邪魔なだけなのだろう。富城はハザンの身体を持ち、エスパスのもとに向かった。エスパスは部屋で白目をむいて泡を吐いて倒れていた。不思議に思った富城はエスパスに近づき、心臓に触れた。鼓動は止まっていなかった。

「ただ気絶してるだけか。さっさと起きろエスパス。」

その言葉でエスパスは目覚めた。

「はぁ、はぁ、今のは、夢か。」

「目覚めたか、何寝てる。ハザンを殺すところだったぞ。人形としてかなり良い素質がある。」

「あげるわけないだろ?僕が見つけたんだ。」

「そうか、あとはそいつを勝手にしろ。帰るからな。」


「要件は済んだ?」

「まだいたのか、フェルジュエリー。消えろって言っただろ!それとも殺されたいの?いいぜ、望み通り殺してやるよ。」

「いや、アタシはさっき君が見た夢がアタシが見せたやつって言いに来ただけ。精神異常、すごいでしょ?」

「僕に、悪夢を見せた。殺す。君はとんでもないことをやってくれたね。取り返しはつかない。さぁ空間にのまれて死んでもらおうかな!」

そういったときにはもうフェルジュエリーは消えていた。

「ッチ、まぁいい。おいハザン、さっさと起きろ」

「すみません主殿、今回はどのような任務を遂行すれば良いですか?」

「渚にかかわるやつらを全員殺せ。もちろん渚本人を殺してしまってもいいさ。」

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