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異世界英雄譚  作者: テト
8/18

狭間

「人形はこんなもんでいいな。贋作者、一回外回りしてきてくれ。私の工房に入るものは一人残らず殺して構わない。」

「わかりました、富城様。」

外には人形で作られた軍隊があった。贋作者と呼ばれていた男はその間を抜けて外回りに向かった。そしてとある集落に辿り着いた。

「お前、通るでない。お前が最近噂の強盗なんだろ!集落を襲っては金を奪っていく。発展した村ではなく発展していない村を襲う。それをさせないためにここでお前を殺す。」

「何を言ってるんだ。転生者を殺すなんて。」

贋作者が指を鳴らしたとき、後ろから人形が現れた。そしてその人形は先ほど話しかけてきた集落の警備員を貪った。

「やめろ!てめぇ!死ぬほど後悔することになるぞ!この集落の呪いに苦しむことに、」

ブチッ

人形が首を引きちぎる音と共にその男は言葉を発しなくなった。

「人形の元となる身体はこれでいいか。………呪い、か。もうすでに一度死んでいる体に呪いなんてかかんないだろ。」

その後、人形を連れて集落を襲っては人形に必要な人間の体と紐、そしてその材料をより効率的に集められる金品を奪い去った。中には泣け叫び、怯える人もいた。が、容赦せず、全員殺していった。

「これだけあれば、富城様もお許しになられる。」

そう言った贋作者は血溜まりに立ちながら涙を流していた。だが、殺人犯のこの男に寄り添う人などは1人もいなく、ただ孤独な時間だけが流れた。

「涙、か。こんなものいらない。富城様に無くしてもらおう。心を消してもらった時のように。」

帰り道、雨が振り注いだ。贋作者の血を洗い流すためなのか、燃やした集落の鎮火のためなのか。だが、どちらであろうと関係ない。やること自体は変わらないから。

2つ目の集落に足ついた。

「このような小さな集落に、俺を呼ぶとは!大英雄をなんだと思っている!」

村長に怒鳴り声を上げていたのはギガルシだった。どうやら魔王軍が攻めてきて壊れてしまった集落を直すために大英雄であるギガルシ・ウィズエレンドを呼んだのだろうが、彼は大英雄何かではなく、ゲームに参加している現実帰還希望者だ。

「お前は、邪魔だ。」

贋作者は指を鳴らし、人形を召喚した。

「何か言ったか?貴様は贋作者。あぁすまない。貴様は贋作者でもない、ハリボテしか作れぬ男だったな。」

しかし、贋作者はそのような挑発に乗ることなくギガルシに一歩ずつ近づいていった。そして、ギガルシとの距離が1メートルほどになったとき、飛び付いた。一瞬で振り払われたが、彼の能力が発動してしまった。

「冥界よ、開け。」

「ふっ、やはり貴様は人の能力をコピーし、それをハリボテ並みのクオリティでしか再現が出来ない。やはり貴様は大英雄である俺とは程遠いな。」

事実だった。贋作者、そう呼ばれるに値しない人材だ。贋作ではなく、見掛け倒しでしかない。しかし、彼は見掛け倒しでも相手の能力をある程度は再現可能だった。

「しっかし、どうする。冥界を開いたところで貴様に攻撃手段があるのか?」

「ゲートオープン。」

「クローズ。」

贋作者が開いたゲートはギガルシによって閉ざされた。

「元よりこの結界は俺のものだ。貴様がゲートオープンしようとこの世界の権限は俺にある。さっさと諦めるがいい。」

贋作者はもう一度展開することなく人形を出した。そして周囲の人々を襲わせた。

「お前は邪魔だ、どこかに行け。それが嫌なら目の前でお前が救おうとした集落の人々が死ぬのを見ろ。」

ギガルシは固まっていた。が、その数秒後、眉間にシワを寄せ、言った。

「もはやここまで落ちたか、贋作者。貴様が転生したころはこんなのではなかったのにな。まさか、富城に心を売り、大いなる力を手に入れたというのか。」

「情なんて邪魔でしかない。だから売った。心が無くなってから生きやすくもなった。」

「ふっ、そこまだしてもなお俺に勝てぬか。やはり、今ここで貴様は死ぬべきだ。結界、展開!」

「閉じよ。」

冥界はギガルシが開く間もなく閉じた。

「っち、勝手にしろ。だがいつか後悔することになるぞ、贋作者。」

先程降っていた雨は止むことを知らないのか、だんだんと強くなっていった。そんな中、この集落では滴るものは、水ではなく、赤黒い血であった。殺して、目撃者を追いかけ、また殺す。それを繰り返しているだけ。そうして、また新たな集落が滅んだ。

「これで、20件目。人形の母体確保数は合計で538体。これだけあれば十分だろう。」


「富城様、戻りました。母体は今回は50体集まりました。」

「よくやった。しかし、母体に傷をつけるなと何度言ったら分かる!母体確保のときは仕方ないとして、持ち帰るときに傷をつけるでない!もう一度心を植え付けられたいのか?」

「すみません、次からは気をつけます。」

「もう一度、外回りをして来い。今度は集落を襲うな。敵を探せ。」

富城は部屋で人形作成に取りかかっていた。中には何体もの母体が落ちていた。

「今日は50体作るか。えーと、まずは能力で心臓を作り出してと。次に、脳を取り出して、人工の脳を入れる。これで人の形をした人形が出来るはずだが、失敗か。捨てだ」

失敗した母体は焼却炉に入れられ、燃やされた。人工の心臓と脳だけがそこに残っていた。

「これは、次の母体にいれるか。どうせ人形なんて中身が前回の失敗と同じでも問題ないか。」

「富城様、いきなりすみません。涙腺を取り外してもらってもいいですか。」

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