始動
前回の続きです。気になる方は前回からお読みください。
四天王ギガ討伐から数時間後、俺は別のダンジョンにたどり着いた。ここが、2人目か。あの手紙にほかの四天王の場所書くとか優しすぎるだろ。まぁええわ、俺がこいつを一人で倒して魔王討伐までの駒を進めるだけだ。
「さて、入るか。さっきは炎だったし炎以外だろうな。」
案の定入ったら雷鳴が鳴り響き、辺りは雷が走っていた。雷元素に有利取れるのなんだっけ、草だっけ?雷は金と水だと伝導を起こすし、草だけが今のところ有効カードだな。お、歩いてるだけでボスの間についた。てかさっきの塔といい、敵を配置してないだけなのか他の騎士団が四天王以外を倒したのかわかんねぇが敵が少ない。
「転生者様がてめぇの侵略を終わらせに来た!国の民のためにもここで止める!」
ブォンッ
は!?何も言わずに…しかも雷で動きが速い。草元素バリアを張りながらじゃないとダメそうだな。
「元素セット、草。対象腕。てめぇの攻撃無効化してあとからじっくりやらせてもらう」
無効化しながら奴の隙を探るしか…
バチッ、パンッ
は!?まずい、雷から炎を出して草に引火させるか!
「元素セット、岩。対象腕。こうなったら物理的に硬くして耐久しかない。仲間がいればもう少し楽だったかもな。」
くよくよしてたって状況は変わらない。今は目の前の敵の行動を見極めるしか無い。見極めろ。どんなに速くても、どんなに見えなくても!
「見えた!岩ノ砦!」
地面に尖った岩を転がす技。浮いている敵じゃなければ相手の足に岩が刺さりスリップダメージが入る。今の耐久での最適解。のはずが、相手にはまったく入っていない。浮いているとでも言うのか。
「ぐぁっ、速いせいで攻撃を受けてばかりだ。反撃が出来ない。見極めろ、見極めるんだ!」
相手の動きのクセ、後隙、何でもいいから見るんだ!はっ、まさか!
「試すしかねぇよな。お前、さっきから直線移動の攻撃しかしてないよな。それ、直線移動しか出来ないからじゃねぇのか?どうりで部屋が丸いわけか。中心からの距離が常に等しいから!」
直線しか出来ないなら、真ん中に立って!
「元素セット、岩。対象、装備!固・岩石城!」
真ん中なら避けることは出来る。だが、こいつはおそらく真ん中を何回かに1回通らなければたまった勢いを逃がせない。そのまま壁にぶつかって自滅するんだろう。
「英雄、とは言えない戦い方かもだがこれでいいよな!四天王!」
俺の体はまだまだ持つはずだ。相手が削れるまで、耐えてくれ。俺の体!
十分間俺は奴の攻撃を受け続けた。相手の動きは遅くなってきたが止まることはない。このままだと俺の体が先にイカれる。は?こいつにもギガのような紐があるだと!まさか四天王全員紐があるとかか?なら、
「このタイミング!」
スパッ
相手の速さを利用して俺は紐を全て切った。紐が切れた途端あいつの体は力が抜けた。そのままダランと倒れ、消滅した。ドロップ品は相変わらず手紙のみだ。
【四天王ナズ 雷の四天王】
「今回も順調にいけてる。俺が、救うんだ。国、を。」
あれ、視界が、歪んで。現実のときみたいに死ぬのか?今ここで、俺はまだやらなきゃいけないことがある、の、に。
「くっ、頭痛え。あれ、ここは、そうだ四天王ナズを倒して倒れたんだっけ。てことはさっきまで寝てたのか。」
俺は外に出た。外は暗い夜だった。てかこの世界一日が長過ぎる。現実の感覚だともう2日は経ってる。さて、どこか休める宿を探すか。お、あったあった。
「すみませーん、泊まらせてください。」
「ここは今満員。ごめんだけど別のところにお願いしたいね。君が噂の転生者でも無理なもんは無理なんだ」
「そうです、か。じゃ、他探します!安心してください自分最強なんで。」
そう言って俺はこの宿を後にした。今の状態でモンスターに襲われたらおそらく一発KOだろう。けど、あの人を心配させないためには仕方ないよな。強がりかもだけど、俺はいける。生前もそうやって乗り越えてきたじゃねぇか。誰かのために自分の身を削ってたじゃねぇか俺。やべ、なんか涙出てきた。やっぱ、すぐ元の世界に戻りたいんだろうな。けど、帰るためにはこの涙も堪えなくちゃな。よし、俺は行ける。こんなところで生前に執着してちゃ魔王討伐なんて無理だ。魔王討伐は目標、そう。そうだ!
数分歩いたら目の前にデカめの建物が見えてきた。きっと宿も近くにあるはず。あ、人だ。この辺のこと聞くか。
「すみません、宿ってどこにあるかわかります?」
「宿ねぇ、あるにはあるんだけど古臭い。それでもいいなら案内するよ。」
「ありがとうございます!」
よし、これで体を少し休めれる。少し休んだらまた魔王討伐に向かわないとな。現実に戻ったら大学受験か。推薦の日程は多分過ぎてるし一般で受けるか。
「で、あんた。あんなボロっちいのでいいの?」
気だるそうに目の前の爺さんは聞いてきた。
「そこしかないならそこで構わないっすよ。」
「あんなところにいたら休まらねぇよ。全くなんでまだ倉庫みたいなのが残ってるんだか…ブツブツ」
あれ、一人で文句言い出した。気まず、、、まぁええか。街並みでも見てるか。
それから宿に着くまで目の前の爺さんは宿の文句ばかり言っていた。
「着いたよ。ゴキブリにだけは気おつけておけよ!自分の髪が落ちてると思ってつまんだらあいつは動くからな。」
「大丈夫です。」
「すっごい顔引きつってるな。大丈夫か?今からわしの家入れてやるぞ。」
「大丈夫、っす。迷惑かけらんないんで。」
「そうか、じゃおやすみな。」
ひぇ、最後の最後に怖いもん聞いちまったよ。あぁ背筋が凍る。まぁ仕方ない。受付済ませて休もう。
それから俺は受付を終えて部屋に入って休んだ。8時間くらい寝たあと俺は宿を後にした。率直な感想を言おう。汚いしホコリが落ちてきた。くしゃみ、鼻水は終始止まらなかったけど不思議と寝れた。疲れてたからかな。とりあえず、近くの四天王の場所行くか。
向かう途中、やっぱり魔物がいない。遠くまで来ると痕跡もでかくなったりしてる。けど不思議といない。まさか魔物同士で縄張り争いとか?弱い魔物がやってるの見たことあるしおそらく縄張り争いだな。あれ、待って旅人だ!話しかけよう!
「すみませーん!一緒に冒険してる人っていますか?よければ一緒に冒険を!」
良かった、これで1人は免れる!そう思った刹那、
「アガッ、ゲホッ。いきなり、人の、首を掴んで、どうする、つもりだ!ゲホッ」
わけがわからない。こいつは敵エネミーだったってことか?けど立ち振る舞いは人だった。じゃあなぜ!
「能力コアを渡すかここで死ぬか。選べ」
首をつかんだ男はそう言った。
「なんで、こんな事をするんだ!」
「帰るために必要な事をしてるまでさ。どうする、渡さないなら殺すけど。」
渡せば助かる。けど、あの民が、俺が望む魔王討伐のためには渡せない。
「渡さねぇしここで死にもしねぇよ!ゲホッ」
そういったら目の前の男は苛立ちを見せた。
「そうか、なら空間に押しつぶされるがいい!」
空間が歪んだ。俺ごと空間を曲げようとしてるのだろう。腕があり得ない方向に曲がり、体は捻じられてるように感じた。痛え、さっきのとは比にならないくらい痛い。このまま、死んじゃうのでは無いか。意識が遠のいていく。生前も体験したな。最後は結局こうなるのか。
「テレポート!対象優斗!」
バタッ
テレポートのあと俺は強く地面に打ち付けられた。た、助かった。生きてる、腕も元通りだ。空間の歪みで曲がってるように見えただけなのか?まぁいい、助けてくれた人に礼を言わないと。
「無事でよかった。優斗、私を覚えてるよね。」
声がした方を振り向くと、そこには昔一緒に遊んでたお姉さん的な人。愛理がいた。
「なんでここにいるんだよ。」
「死んだからだよ。私、生前転移実験で体を巻き込んで死んだの。まだ実験は完了してないから帰りたいわけだけど。」
そういえば壁画に愛理の名前は書いてあった。けど苗字が違ったから違う人だと思ってた。もしかして本名で登録されてるのは俺だけなのか?
「なんでお前の壁画の苗字違うんだ?」
「あれ、君に届いてなかったか。私結婚して苗字変わったのよ。忘れてたかしら?」
忘れてた。そうだ、三年前結婚してたっけ。あー恥ずか死しそう。
「それより、なんであの男があんたを襲ったか知りたくないの?あんたの顔を見るになぜ襲ったのか知らなそうじゃん。」
「確かに、教えてくれ!」
「すごい食い気味ね、いいわ。この世界、13人の転生者が居るわ。あなた含めて13人ね。その13人で戦って能力コアを全て集めた人だけが現実に戻れる。そんなゲームに巻き込まれたのよ私達は。」
言葉が詰まって出てこなかった。俺は確実に王から魔王討伐を命じられたはずだ。なのに、なんで…おかしい。
「そう驚くのも無理はないわ。私も神に言われたときはびっくりしたもの。けど、この世界で生き残るには人を殺す覚悟がなきゃなってわかったから、覚悟はもう決めてるわ。他に聞きたいことあるかしら。」
「待って、じゃあ俺も殺さなきゃダメなのか!」
「目的は心臓部分にあるコアを集めること。つまり心臓を集めるってことになるわ。」
嫌だ、そんなの嫌だ。ここにいる人たちがもともとは現実世界で幸せに暮らしてた人間だ。そんなの、殺せない。
「けど、俺は殺したくない。わかった、やってやる。殺さないでこのゲームを生き抜く!」
「そんな理想はさっさと捨てなさい。私も最初はそんなこと掲げてたけど本気で殺しに来るやつに殺さないようになんて居たらすぐに死ぬわ。」
「それでも、俺は絶対に果たさなきゃダメなんだ。例えそれが届かぬ理想でも、甘えた事でも、やってみせる。」
「そう、なら勝手に死んでなさい。で、話したいことは終わり?ならこの助け合いは今日でおしまいよ。殺さないなんて理想掲げる人は邪魔でしかないからあなたとの協力関係を切るわ。」
「それでもいいよ。けど、俺は絶対果たしてみせる。」
やらなきゃ、いけないんだ。やらなきゃ俺が俺でいられない気がするから。
その頃の王宮では
「ついに始まったか!いいよ!これが見たかった!なぁ王、一緒に愉しもうぜ!オレが与えた第二の人生をかけた戦いを!あ、死んでたか。悪い悪い、じゃ、一人で楽しむとするか!」
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