第15話 大和タケル(6)
この作品はラブコメなんだということをすぐ忘れそうになる……(笑)
巫の神社の方から何かが破壊されるような、どでかい音がして、俺はミサキちゃんを急かすようにして神社へと向かった。
直前、ミサキちゃんが何か言いかけたような気もしたけど、その音に掻き消されて聞き取れなかった。
でも聞こえなくて良かったかも。
もしかしたら「大和君、嫌い!」って言おうとしたのかも……っ!
だってその直前のあの反応……あれってどう見ても拒絶だもんなぁ……
まぁ、あれは確かに俺が悪かったんだけど……
ミサキちゃんの様子がおかしかったから、つい覗き込むように顔を近づけてしまった。
そりゃ、逃げるように顔を伏せるよな。
その前だって、ミサキちゃんの腕を強引に掴んで走り出しちゃったし。
俺は少女漫画に出てくるイケメンかっての!
あぁ……今思い出すとかなり恥ずかしい!
いくらこの非現実的な状況で頭が混乱していたからって、あんな図々しいことしちゃうなんて!
さっきの音でミサキちゃんの記憶も飛んでくれないかなぁ……
でも今はそんなこと考えてる場合じゃなかった。
ミサキちゃんのためにも、先を急がないと!
「ベル! ミカエラ!」
神社に辿り着き、石段を駆け上がった先で俺達はベルとミカエラを発見した。
「タケル……!」
「タケル様、良いところに!」
何だ、様子がおかしいぞ。
2人とも凄く焦ったような表情をしてるのに、特に何をするでもなく突っ立ったままでいる。
「さっきの音は!?」
「この建物の中からだ!」
俺の問いにベルが目の前の拝殿を指さして叫ぶように答えた。
だったら、さっさと中の様子を……!
「結界が張ってあって近寄れないのですわ」
結界……?
よく見ると建物は注連縄でぐるっと囲まれている。
これが結界ってやつなのか?
だとしても、悪魔のベルはともかく天使のミカエラまで弾くとは……
やっぱり宗教の違いなんだろうか。
「タケル! お前なら行けるはずだ!」
えっ?
「ええ、この結界は人間には効きません。タケルさまなら、この結界を破れます」
そうなの?
まぁ、確かに今まで注連縄に阻まれる人間なんて見たことないもんな。
「わ、分かった!」
とりあえず拝殿の戸に手をかけて、力いっぱい横に引いてみる。
が、びくともしない。
結界とか関係なく、鍵掛かってんじゃねーか!
「すいませーん! 大丈夫ですかぁ!?」
戸をドンドンと叩きながら中に向かって大声で呼びかけた。。
さっきのとんでもない物音がこの中からしたのなら、きっと誰かいるはずなのだが、返事はない。
「くそっ……どうしよう」
いっそのこと蹴破ってみるか。
いやいや、さすがにそれはマズいだろ……
「タケル! この縄を外してくれ!」
拝殿を囲ってる注連縄を?
そうすりゃ結界とやらは解けるんだろうけど、一体どうする気だ?
「蹴破る!」
「蹴破りますわ!」
蹴破るのかよ!?
しかもミカエラまで!
「いや、ちょっと……それはさすがに……」
そこまでやったら犯罪になってしまう。
俺はミサキちゃんのためにもキレイな体でいたいんだ!
「イチコのことが心配じゃねーのかよ!?」
「この中にいるのは間違いなく邪悪な存在です。急がないと手遅れになりますわ」
ああ、もう!
分かったよ!
やればいいんだろ、やれば!
さっきから妙に息が合っている2人に詰め寄られ、俺も覚悟を決めた。




