第14話 天宮ミサキ(3)
一体何が起こっているの!?
私はただ、学校を休んだイッチャンのお見舞いに来ただけなのに。
それがどういうわけか、真っ黒な雲を見上げながらイッチャンの家に向かって走っている。
それも、大和君に手を引かれながら!
何が何だか分からない。
色んな感情が沸いてきて頭が大混乱だ。
イッチャンのことが心配で、でも物凄く怖くて……
それでも大和君に手を引かれて走っているこの状況に、どこか浮かれている自分もいる。
こんな時だっていうのに、私ったら何考えてるんだろ。
「大丈夫か、天宮?」
不意に大和君が立ち止まって、心配そうに顔を覗き込んできた。
気付かない内に走るペースが落ちていたようだ。
でもそんなことより……か、顔が近い……っ!
たいして走ってないのに、心臓が大変なことになってる!
顔も火を噴きそうなほど熱い!
「あっ、ごめん!」
思わず顔を伏せてしまった私の反応を見て、大和君が慌てて離れる。
私の腕を掴んでいた手も放してしまった。
「う、ううん! 大丈夫……」
もう、私の馬鹿!
絶対誤解されちゃったよぉ……
「い、急ごう! あの2人のことだから、何かとんでもないことやらかしそうで心配だ」
むっ……!
心配なのはイッチャンじゃなくて2人の方なの……!?
やっぱり大和君は2人(っていうか主にミカエラさん)のこと……
「あ、天野……?」
何だろう……胸がちりちりする。
これってやっぱり嫉妬だよね。
こんな汚い感情が私の中にもあったなんて、ちょっとショックだな。
でも私、やっぱり大和君を獲られたくない……
「ねぇ、大和君……その……私……」
何やってんだろ、私。
今はこんなことしてる場合じゃないってのに……
でも、今なら言えそうな気がする。
きっと、この非現実的な状況のせいよね。
「わ、私……実はずっと前から大和――」
――ドッガシャーーーン!!!
「ひゃっ!」
「うわっ! 何だ!?」
今まさに積もりに積もった想いを打ち明けようとした時、イッチャンの神社の方から大きな音が聞こえてきて、思わず飛び上がってしまった。
「巫ん家の方からだ! 急ごう、天宮!」
「えっ……あ、その……!」
「天宮っ!」
「う、うんっ!」
最高潮にまで盛り上がった気持ちが一気にしぼんでいく。
っていうか、勝手に1人で盛り上がってただけだけど。
そうだよね、今はやっぱりイッチャンの方が先決だよね。
でも、私なりに一世一代の大決心だったんだけどなぁ……
こんな勇気、次はいつ湧いてくるんだろう。




