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月花蜜水夜 ペリドティ・アルーア  作者: タカル・ファ・グライス
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十三章 ダントエル


 ある日のこと、仲良くなったタカルたちは、雑談をしていました。


 ベッドの金具が飛び出て、指をケガした者を心配した奇特なタカル。


 その指を見て、そうだ、と叫びます。


「これでみんな助かるかもしれないっ」


 タカルは格子を掴んで、看守を大声で呼びます。


 看守が看守室からやって来ました。


「どうしたの?」


「母印です。僕、アロという街で献血をした際、母印を押しました。サインもした」


「なるほど、証言があれば・・・あるいは・・・うんうん、確認しよう」



「きっとアロのアベンデールのことだ。女の子たちに、実の父親か聞いて下さい。


 タカルという名前が、実の父親なのか。


 それから、その女の子たちの子供たちに、この動きはふせてあげて下さい。


 医師から聞いたことがあるけど、必要なら血液検査で親子だって分かるやつをしてっ」



「分かったよ、確認をとろうね」



 母印の照合確認が済み、奇特なタカルの無罪が確定しました。


 アロの医者が、シュガーホールをこれから名乗ると言っていたと証言してくれたから。


 それから、


 契約書のサインに、『タカル・ファ・グライス』と書いてあったからです。



 それから、看守たちはアロという街に今まで心当たりがありませんでした。


 どこにいるのかは知らないが、十五歳未満なのに子供を作った、という情報。


 関所の番人も、仮務所の看守も、それくらいしか知らなかったのです。


 

 ハルシオン王国では、十五歳未満が子供を作ることを禁じています。


 その代わり、男女共に十五歳から、結婚ができる法律がある国です。


 

 アロの売春宿に話を聞いたところ、アベンデール他五人が、別に父親がいると証言。


 タカルという名前に父親がいるか聞いたところ、少女たちいわく「違う」とのこと。


 なので苗字タカルたち全員も、


 生まれてきた子供たちにに協力してもらって血液検査をして、


 奇特なタカルに遅れましたが、釈放されることになったのです。



 タカルはダントエルにしばらく滞在しました。


 苗字タカルたちの釈放を、わざわざ待っていてくれたのです。


 その数か月の間に、奇特なタカルは苗字タカルたちに差し入れを持っていきました。


 それから関所の周りにいる難民たちのために炊き出しを実費でしました。


 花売りから花を買い、難民のまだ幼い女の子にプレゼントをしたりしました。


 さらに色鉛筆を買ってあげて、絵の描き方まで教えてあげたのです。


 文字を習いたい、と言った者達に読み書きを教え、お礼状をもらいました。


 【ありがとう】


 ダントエルの看守たちはそのことを市長に報告。


 タカルは『シュガーホールことタカル・ファ・グライス』として、名誉表彰されました。


 金のインクの表彰状を丸め、専用の筒に入れて荷物の中に入れるタカル。



「お礼状と表彰状と、どっちが大切かって・・・どっちもだ」



 その時、タカルはノートを思い出しました。


 二つ目にメモをしてあるお話の題名は、滝を昇る鯉、です。



 =====


 鯉は空を駆ける龍に、恋をしました。


 きっと想いを伝えるんだ、と。


 シュッセという名前の鯉は、滝を昇りきったご褒美に龍になりました。


 やがて結婚をしたシュッセの、その努力のさまを、絵師たちは描いているのだとさ。


 その絵のことを、シュッセゴイ、と呼ぶのだそうだ。


 =====



 金の鯉がシンボルであるダントエルでは、このお話が好まれました。


 表彰状のフチドリも、金の鯉が描かれています。



「そう言えば、新しい話を紡ぐ時間なんてなかったなぁ・・・」



 タカルは密かにダントエルという街を出て、旅を続けるのでした。




 一方、アルミリオン城では姫の側近が不思議がっています。


「タカル・ファグライス・タミュ?」


「はい」


「どういうことです?」



 姫の側近に、とある血液検査官が言います。



「うちの息子が将来城に仕えたいからと、何か勘違いをしているような気がするんです」


「息子さんのお名前は?」


「ウリズン」


「前に話していたね、姿の決まりで、おそらくだまされやすい、と」


「はい」



 ううん、とうなる側近が、こちらではまだ何も判断できない、と言います。



「息子にタカル・ファ・グライスの真実を今伝えてもいいのでしょうか?」



 その問いに、ならん、と姫の側近は言いました。


 いくら君が義理の幼馴染でも、私は姫の平穏をお守りいたすことを選んだんだ、と。



 城の臣下たちで話し合いがなされました。


 ウリズンは何か重要なことに関わってるかもしれないから、泳がせてみよう。


 そう、城の臣下たちは判断したのでした。


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