8話 アメーバ、試す
どうやら転生が終わったみたいだ。
さっき聞こえたスキルを思い出してみる
【折れない心】
【変身】
【状態異常攻撃】
状態異常攻撃というのは攻撃スキルなのだろうけど、そもそも相手が見えない状況でどう使うんだ?
そんなことは置いといて、とりあえず使ってみるか?
いけ!
毒噴射!
…
毒霧!
…
毒の粉!
…
パラライズ!
…
ポイズンショット!
…
…
ラノベ知識を総動員した。
状態異常を起こせそうな技をいくつも念じてみたが何も起きない。
よし!
次ぃ!
【変身】だ!
とりあえずこれも念じてみるか
「変…身……とぅっ!!」
…何も起こらない。
…ダメだ恥ずかしい。
誰もいなくてよかった。
そもそも種族スキルって言ってたな。
アメーバ特有のスキルって事?
身体のカタチを変えれるってこと??
え?
そうだとしたら、それってスキルなの?
…いらないな。
とりあえず動くのには必要だから仕方ないけど…
なんともいえない、残念な気持ちになった。
さて、お待ちかね。
これが謎だ!
固有スキル【折れない心】
これは何なんだろう?心?
そもそもアメーバに心なんてあるのか??
うーん、
まあいいや!とりあえず
【折れない心】発動!!
・
・
・
だめだ、これも反応が無い。
一体何なんだスキルって…
そんなことを考えていると急に頭の中で声がした
『乾燥を確認。スキル【変身】を発動し、シスト化します』
え??
スキル発動?
シスト化?
何それ??
そう考えていると、あっという間に、感覚が変わったことに気づいた。
これは…動けないな。
体の境界が今までとは違い、ハッキリしている。
完全な球体だ。
だけど、この状態では動くことができないな。
そんな風に自分を分析しながら思い出した。
たしか、スキル発動って言ってたよな。
乾燥したから、スキルが発動して今の球体。
シスト?って状態になっているのか?
確かにこうなる前は、少し喉か乾いたような感覚があった。
でも、今は落ち着いているな。
防御モード的なやつなのかな?
そんなことを考え続けた。
何日も、何日も、そんな状態が続いた。
初めは、動けない時間を数えようとした。
12600秒まで数えた時だ。
「あ!これでサブ3.5だ!92歳にして偉業を達成したぞ!」
なんて妄想フルマラソンで自己ベストを更新してみた。
虚しくなった。
とにかく暇つぶしをしていたが、動けないことに流石に焦りを感じ始めた時だった。
『環境の変化を確認。シスト化を解除します』
ん?やっと動けるようになるのか?
そこへ続けざまに、物騒な言葉が聞こえた。
『標的を捕捉。【状態異常攻撃】を開始します』
状態異常攻撃??標的??
急にどうしたんだ?何と戦ってるんだよ!?
あたりの気配を感じようとするが全く分からない。
あ、これはアメーバだからこんな感じだ、しょうがない。
だけど、だんだんと異変に気付き始めた。
なんか、苦しいぞ?
明確な感覚はないが、少し動きが鈍くなっている気がする。
風邪の初期症状のような感覚だ。
「冷えピタが欲しい。」
そんな事を思いながら、ダルさが数時間続いた。
突然、強烈な違和感が襲ってきた。
何かが僕の中に入り込んできたのだ。
気持ち悪い。
その瞬間、体の内側から僕は壊されていった。
『死亡しました。18回目の転生を行います。』
…頭がくらくらするような感覚を感じた。
ひどい目にあった。
少し状況を整理しよう
シスト化した。
あの声が正しければ乾燥によるものだろう。
その後、乾燥状態が解消されたからシスト化が解除された。
何かしらの要因で環境が変わったんだろう。
水分のある場所へ移動したか、雨が降ったとかだろうか?
そして、何かに対して攻撃した。
攻撃した後は、風邪のようなダルさ。
時間が経過したら突然、何かが体内に侵入してきて、内側から消滅。
これだけじゃ判断できないな。
他に情報はなかったか?
…たしか前回は赤痢アメーバとか言っていたな…
…赤痢?
赤痢って病気あったよな?
…あれ?もしかして人間に食べられて病気を起こさせた?
そのせいで発熱。
病院に行って薬をもらった。
その薬によって原因である僕が破壊された。
それなら、つじつまが合うぞ!
僕が死んだってことは薬が効いたってことだよな…
良かった。
知らないうちに誰か殺しちゃうとこだった。
当分、状態異常攻撃は封印してほしいものだな。
しかし、アレだね。
スキル発動したね。
スキルがあることはこれで証明された訳だ。
という事はアレがあるはずだ。
なぜ今まで気づかなかったんだろう?
わからなければ確認すればいい。
そう。転生にはお決まりの、ステータス画面を見ればいいじゃないか!
考えるや否や僕は念じた。
「ステータスオープン!」
…
「オープン ザ ウインドウ!」
…
「ひらけーごまっ!」
…
どれも反応は無し。
「なんなんだよ、ほんとに!」
少しだけこの状況に憤慨した。
それでも、めげずに念じてみる
「すてーたーーーす!」
そう言いかけた瞬間だった。
『死亡しました。19回目の転生を行います。』
アナウンスが聞こえ、意識が一瞬消えそうになった。
しかし、もう誰も僕を止められない。
「おーーぷーーん!!」
《ブゥウン》
ブラウン管テレビが付くような音がした。
その刹那、真っ暗な世界にオレンジ色に光る文字が現れた。




