↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
S級転生チケットを盗まれたので、アメーバからやり直します!  作者: しゃじなっぽ
第1章 アメーバになった老人

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
7/15

6話 じいさん、決める

いよいよ耳が遠くなったのかと思った。


生前、ばあさんにも娘にも

「そろそろ補聴器買いに行きなさいよ」

なんて言われていた。

あの時は

「冗談いうなよ。」

なんて思っていたが、まさか、死後になってまで自分の老いを実感するとは。

そんな事を考えてると


「海部さーん!海部陸太さーん!聞こえてますかー?」


そう呼ぶBさんの声にハッとした。

良かった。耳はしっかり聞こえていたようだ!


「あぁ。はいはい!」

「だから、本当に申し上げにくいんですけど。Sランク転生チケットを発行するのに、既に陸太さんの魂魄に刻まれた徳ポイントは使い切っているんですね。だから、陸太さんは今の時点でポイント0なんです」

「はぁ。」

「なので、陸太さんの転生先は『石ころ』か『アメーバ』なんです。」

そう説明してくれるBさんに僕はさっきから

「はあ。」

と言った気の抜けた返事しかしていない。


そもそも、転生先が『石ころ』か『アメーバ』ってどんな選択肢なんだよ。

と思いつつも、選択肢がないのなら仕方ない。

そこはすぐに切り替えて質問した。

昔から切り替えは早い方だ。

数少ない長所の1つだろう。


「はぁ…とりあえずなんでこの2つなんですか?石ころに関しては生物でもないでしょ?」

その問いに対して

「はい。確かに一見なにも共通点がないように見えますが、どちらも基本的には無害な事と半永久的な存在といった共通点があります。」


確かに…

石ころなら、そもそも寿命がないな。

不老不死といえばそうか。

飢える事もないし、だれかと争うこともない。

ただそこにいるだけの存在かあ…平和だなぁ。

風化なんかしたらどうなるのだろうか?


と石ころ生活に思いを馳せてみた。

それはそれで意外とありか?などと考える…

いやいやいや、ばあさんとの約束もあるんだ。

それは無い。

石ころは無い。

一応は生物という事で、アメーバ一択ではないか?

と石ころに少しだけ魅力を感じた自分を制した。


「選ばれる方は半々ですよ」

と、Bさん。

おっ?やっぱり結構ありなのか?という気持ちをグッと抑えた。


結局、僕はアメーバを選択して転生する事にした。

石ころだと、いくら死なないと言っても、ばあさんに会える可能性は極端に低くなるだろう。


「それじゃあ、アメーバでお願いします。」

「え?意外です!陸太さんなら、石ころいっちゃうかと思ってました。アメーバで手続きしますが本当にいいですか?」

そう言われると少し石ころ転生も捨て難くなるが…心を決める。

「はい。アメーバで。」

急に力強い口調で言ったので、Bさんは苦笑いしながら

「アメーバですね。すぐできますのでそのままお待ちください。」


Bさんの後ろで機械の音がする。

聞き慣れた音。

コピー機だ。

そこから紙が出てくる。

それを取るBさん。

カウンターの自分の席に座った。

長手方向が半分になるように折る。

もう一度、折る。

引き出しからハサミを取り出した。

折り目に沿って切った。

切った紙切れを手に持ち僕の顔を見た。

愛嬌のある笑顔で

「はい。これが転生チケットです。無くなったらすぐに発行できますのでお声がけください。転生陣へはチャーリーさんお願いしますね。」

「はいはい。わかってるわよ。」

…A4だったな。しかもこれ再生紙だろ。

Sランク転生チケットを見ているので、あまりの落差に言葉も出なかった。


そんなこんなでシー子さんに案内され、第2庁舎の転生陣の上に進んだ。

第1庁舎のような神社仏閣のような荘厳さはない。

ただ、こちらも家庭用のしめ縄のようなもので転生陣が囲まれている。

「それでは陸太さん!これから転生を始めますよー!」

元気なBさんの声がしたので、そちらを向き会釈を送った。


すると白い光が足元から僕を包み始めた。

「シー子さん!色々迷惑かけたね。でも本当に助かったよ!ありがとう。また転生する時はお願いするね。」

この数日間のドタバタを共にしたシー子さんへ感謝を述べた。

「だから…はあ、もういいわ。これからの人生、大変だろうけど頑張ってね。もう会うことはないでしょうけど。」

こんな時にも相変わらずの塩対応だ。

「まあまあ、そう言わずによろしくね」

念を押す僕にシー子さんは

「あら?言ってなかったかしら?転生先では、今までの記憶は全て消えるわよ?前世のことはもちろん。この転生省のこともね」

「えっ?」

「当然でしょ、前世の記憶を持っている人間が、どれだけ稀少か考えればわかるでしょ?アレもポイントの使用によるものよ。」

「え?じゃあ、ばあさんとの記憶は?」

「消えるわね。」

「…え?」

そんな会話の最中、あっけなく光は収束し、天へと霧散した。


なにも見えない暗闇。

意識がぼーっとする…

そうか、ばあさんの事も忘れてしまうのか…寂しいな。

なんて考えていると、聞き慣れない声が微かにした。


『転生に成功しました。固有スキル【折れない心】に加え、種族スキル【変身】を獲得しました』


「ん?スキル?獲得?」

そんな事を思った瞬間、モゾっとした感覚に包まれた。


……ぷつん……


『死亡しました。1回目の転生を行います。』


頭の中で声が聞こえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。