2話 じいさん、浮かれる
年甲斐もなく興奮していたーーー
(ライオンと三毛猫が順番守って並んでるな…)
(あっちには、ゴブリンっぽいのと…ドワーフにエルフか!?)
(あの耳としっぽ!孫の颯太が推してるあのキャラそっくりだ!)
(あれ?あの黄緑の着物の人は落語家の…)
そんな事を思いながらあたりを眺めているとーー
「海部様!海部陸太様!」
そう呼ばれてハッと振り向いた
さきほどから、Cさんが僕の事を呼んでいたらしい。
「あ、すみません!少しこの光景に圧倒されてしまって」
そう謝ると
「皆さんそうなってしまいますね」
「やっぱりそうですよね!何せ動物園の檻の中でしか見たことないような猛獣も、ファンタジーな方たちもいるんですから!僕が読んでた小説みたいで年甲斐もなく興奮してしまって…ところで、ここが以前説明してもらった転生省というところですか?」
「そうですね。ここが転生省の第2庁舎です。海部様のような一般の方が転生の手続きをされる場所です。」
息を引き取ってから葬儀までの間に[徳ポイント]というシステムについて説明を受けていた。
どうやらここは0〜99ポイントの転生者を対象にした庁舎のようだ。
続けてこう説明された
「行こうと思っても無駄ですが左手の第1庁舎は100ポイントを超えている方。例えば私財を投げ打って国家予算規模の寄付などの慈善活動をされた方。またそれ以上でいえば、土地神様などがさらに上位の神へと転生する手続きをする建物になります。」
それを聞いた瞬間ーー
(のぞいて見たい!)
と強い好奇心が湧いた。
「ダメですからね!くれぐれものぞいたり失礼な態度を取らないでくださいね」
ーー釘を刺されてしまった。
(こ、コイツ心が読めるのか?)
ついつい、そんなことを考えてしまった。
死んだばかりだというのに、この状況を楽しんでしまっている!
「それと、右手の第3庁舎ですが、あちらはポイントがマイナス。つまり輪廻転生の輪から外され地獄での更生が必要な方が手続きする建物『第3庁舎』になります。トイレは神々に失礼のないように第3庁舎へ抜ける通路の手前にありますが…間違えてあちらの庁舎へ行かないでくださいね、責任取れませんので…」
そう説明してくれた彼女に
「あ、はい。わかりました。そういえば説明にあった転生チケットはどこに行けば貰えるんですか?」
と聞くと
「こちらです」
と、事務的に淡々と案内してくれた。
案内された先で番号札を機械から取った。
(なんだか、子供の結婚式にばあさんと定期預金をおろしに行った、農協の受付のようだなと少し懐かしさを感じた。)
ーー呼ばれるまで30分程度待ったのか?
時間の感覚がもうすでになくなり始めているのでわからないのだが。
僕の番号が呼ばれるとCさんが受付へと案内してくれた。
受付へ行くと金髪のボブヘアーの二重と大きな瞳が印象的な女性が座っていた。
胸元には「天使B」というプレート。
そういえばと思い、Cさんの胸元にある「天使C」と書いたものと同じプレート。
なるほど!
この方たち天使は、神様は面倒だから
『A、B、C』で名前を決めたのか?
あんがい神様って雑なんだな。
なんてことを考えていると
タブレットを見ながらCさんがBさんに
「管理コードSS-EJ775855514M 海部陸太 92歳男性 犯罪歴なし減点0 人格、功績など加点徳ポイント12です」
と報告するとBさんは
「SS-EJ775855514M 海部陸太さん…はい。照会できました…って!うそっ!」
驚いた声にCさんが
「どうしたの?そんな大きな声出して、私の報告に間違いでもあったの?」
「い、いえ、今回のポイントの加算により、累計ポイントが100になってます。…転生チケットですがS級転生チケットになります…」
「嘘でしょ!?こんな一般人の貧相な爺さんが、そんなポイントになるわけないでしょ!?」
そう言ったCさんは受付カウンターの中に入り、Bさんが表示した画面を食い入るように覗き込んだ。
『一般人の貧相な爺さん』
(うん。うん。確かに生前足腰が悪くなるまでジョギングしていて、かなり痩せた体系だ。とりあえず誉め言葉として受け取っておこう…)
生前マラソンに打ち込んだ陸太にとって
「痩せすぎ」「ストイック」「化け物」「理解できない」--
こういった言葉はむしろ、誉め言葉になっていたーー
11/3 改稿しました。
タイトル修正と、陸太の心情描写を中心に加筆しています。
特に葬儀までの流れや、転生省へ来た時の陸太の心の動きについては、表現したかったことが全く書けていなかったなと思い修正しました。
私の勉強不足による改稿ではありますが、少しでも海部陸太という人が伝われば嬉しいです。




