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仲間

7月14日 研究施設


昴「俺の細胞が、欲しいんじゃないのかよ!」


デア「実は、代わりが居るんだよね。まあ、試作品だから。」


 2人の男に取り押さえられる昴。そして、デアは黄色の液体の入った注射器を、ゆっくり昴に近づける。


昴(どうする…でも、いっそこのまま…死んだ方が……楽なのかな……)


 注射器が、昴の右手に近づいてゆく。


昴(死ぬんだ…死ぬんだ……)


「ブスッ」


 注射器が、昴の右腕に刺さった。


昴「…?」


 しかし、何も変化はない。


男達「おい。どうした!?」


 黄色の液体は、確実に昴の体内に入っていった。


昴(し…っぱい?)


 その時、デアは急に扉の方に視線を向ける。そして、扉が勢いよく開いた。


デア「伏せろ!!!」


 そう叫んだ時には、男2人の腕に何かが刺さり、倒れていっていた。


 デアは頭を伏せる。そして、昴の頭を掴み、伏せさせる。その上を、大量の銃弾を通過した。


「ドドドドッ!!」


 部屋に響き渡るガトリング音。開いた扉のところには、1人の男。その手には、ガトリング銃。銃口は、デアの方に向く。


「手を挙げろ。」


 デアは、ゆっくりと手を挙げる。そのガトリング銃を持った男は、ゆっくりとデアの方に近づく。


 そして、視線を昴の方に向ける。銃口をデアの頭に押し当てながら、その男は昴に手を差し伸べる。


男「初めまして、昴」


昴「は…はい?」


 その時、2人の黒い手袋をつけた男女が入ってきた。


黒い手袋をつけた女「カイ!制圧完了したよ!」


黒い手袋をつけた男「奇襲大成功だな。」


 男の名前は「カイ」

 そして…


カイ「ゲヒルフェ、アリエ、ありがとう。」


 黒い手袋をつけた女の名前は「アリエ」、黒い手袋をつけた男の名前は「ゲヒルフェ」


昴「か…カイ??」


カイ「説明は後。逃げるよ昴」


 昴はカイに腕を引っ張られ、立ち上がる。その時、銃口が少しデアからズレた。デアがポケットから銃を取り出し、瞬時にカイの方に向けて立ち上がる。


「バンッ」


 その銃弾は、カイの頬を掠った。


カイ「アリエ、ゲヒルフェ、任せた」


 アリエとゲヒルフェは、デアに飛びついた。そして、取り押さえる。


 カイは昴の手を引っ張りながら、2人は部屋を出ていった…


 その頃、津島が閉じ込められている監獄。


 津島の居る牢屋の前に、1人の看守が立ち止まる。そして、津島に向かってこう言った。


看守「釈放です。」


 看守は、牢屋の扉の鍵を開ける。津島はゆっくり立ち上がり、牢屋から出る。


津島「ありがとう。」


看守「いえいえ。」


 津島は、不気味な笑みを浮かべる。その数時間後、監獄から津島が出てきた。監獄の前には、一台の黒いワンボックスが止まっていた。


 津島はその後部座席に乗り込む。


津島「さて…昴の様子でも、見に行こうかしら」


 すると、運転手も話し出す。


運転手「津島様。これで《《序盤の》》計画は終わりですね」


津島「えぇ。私の仲間…警察官や看守になりすまし、買収し…色々働いてくれたわね。あなたも、みんなよくやってくれたわ。」


 津島は、そっと窓の外を見る。


津島「これで一旦終わり。お金も手に入ったことだしね……」


運転手「…お子様、良かったのですか」


津島「……」


 津島は、一つ、軽いため息を吐いた……


 場所は、研究施設に戻る。


 カイと昴が研究施設の長い道を走り続ける。所々、倒れた黒いフードを身につけている人が居た。


カイ「制圧した奴らだ。殺してはない。眠らせただけだ」


昴「…なあ、カイって、あのカイか?」


カイ「あのカイって誰だ?俺は、お前とゲームで繋がってた《カイ》だ」


 すると、昴は走りながら何かピンときた様に言った。


昴「やっぱあのカイだよね!!」


カイ「それ以外のカイが居るのか?」


 その時、カイの視界に映る。こっちに向かってくる、拳銃を持った黒いフードを被った男女が…


カイ「しゃがめ昴。」


昴「え?」


 カイはライフルを構え、思いっきり前に飛ぶ。フードを被った男女は銃口をカイに向け、発砲する。


「ダダダダッ!」


 カイは地面に着地して、体を後ろにそらし銃弾を避ける。昴も、姿勢を低くしていたため銃弾は当たらなかった。


 カイはスライディングをしながら、フードの男女に接近し、銃口を向ける。


カイ「俺の方が、上手かな」


 カイは1人の男の股をスライディングで通り抜けながら、フードを被った男女達の腕に発砲した。


フードを被った男「くっ…」


 そして、バタバタと倒れていった。撃たれたところから、少しの血が流れているが、それほどでもない。


カイ「行くぞ昴。さっさと出よう」


昴「あ、あぁ…」


 昴とカイは、また走り出した…


「ガチャッ」


 研究施設の鍵の壊された扉から、昴とカイは出てきた。昴は息切れしている。


昴「ハァ…ハァ…」


カイ「取り敢えず出れたな。もうすぐ、俺の仲間が来る。」


 カイはそう言って、森の方に歩き出す。昴も、それについて行く。


昴「仲間…?」


カイ「そう。取り敢えず森に隠れれば、一旦安心だと思う。て言う事で、説明するよ。」


 木が生い茂る森の暗い影で、昴とカイはしゃがみ込む。そして、カイは話し出す。


カイ「まず、俺がゲーム内のカイって事は理解したな」


昴「うん。まさか、実在したとは…」


カイ「俺は二次元じゃねえ。まあ、俺は仲間だ。安心しろ」


 カイは昴に手を差し出す。昴は、その手を握り、2人は握手を交わした。


カイ「まず、なんで俺がここにいるかだ。それは、随分時間を遡る事になるんだが…まあ、なんだかんだあり、俺は昴の護衛みたいなもんになったんだ」


昴「…は?なんで??」


カイ「お前は、生まれた頃からの不死身人間だからだ」


 それを聞いた途端、昴の表情が変わる。


昴「…へ??なんで?デアは、薬で不死身になったって…」


カイ「嘘だな。なんでその嘘をついたのかは《《分からない》》が…証拠としては、俺はお前の情報を渡されている。お前、昔から怪我とかすぐ治るだろ。それが、1番の証拠だ」


昴「嘘だろ…」


カイ「真実だ。だからお前には、七夕のあの日、《危ない》って警告しただろ?」


昴「…え?」


カイ「まあ、ゲーム内も監視されてる可能性があったとはいえ、あの伝え方は分からなかったか。俺との会話の一行一行の頭文字を取ると、《危ない》とかの言葉になったんだよ」


昴「分かんね〜よそんなん」


カイ「で、今の状況は《プランB》だ。プランAは、その合図でお前が逃げれば成功だったんだがな」


 カイはため息をつき、下を向く。


昴「で、プランBっていうのは?」


カイ「この研究施設からの直接救出作戦だ。この研究施設には、俺の仲間が元々居たからな。位置情報を渡してもらい、俺の仲間2人と侵入したってわけよ」


 数時間前 研究施設の周りの森の影 夜明け前


 3人の男女が、木の影に潜んで、何かを話している。


アリエ「マジで行くの!?」


カイ「そうだ。お前らはサポートでいい。血に汚れるのは、俺だけでいい」


ゲヒルフェ「そうか…頼むぞ」


 3人はグータッチをする。カイはライフルを手に持ち、アリエとゲヒルフェは黒い手袋をつける。


カイ「じゃ、プランB実行」


 3人は立ち上がり、あの鍵の壊されていた扉の前に立つ。この時は、まだ壊されていなかった。


カイ「ゲヒルフェ」


 カイがそう言うと、ゲヒルフェは右手を挙げ、扉の前に立つ。


 そして、鍵に向かって振り下ろす。


「ガンッ」


 鍵にヒビが入り、ゲヒルフェは拳を丸め、鍵に向け一気に突き出す。


ゲヒルフェ「フンッ!!」


 それと同時にカイは扉を蹴る。すると、扉は綺麗に開いた。が…


フードを被った男「こんにちは。」


 開いた先には、銃を持った黒いフードを被る男。銃口をアリエに向け、瞬時に発砲した。


「バンッ!!」


 


 これも、想定内だった。


 銃弾は、アリエの顔面に向かって突き進む。その時、カイはライフルの銃口を持ち、ライフルの手持ち部分を振り上げる。


 その手持ち部分は銃弾に当たり、銃弾は弾き飛ばされる。


カイ「よっと。」


 すると、ゲヒルフェが両手で黒いフードを被った男の首を掴む。そして、膝でそいつの腹を蹴った。


フードを被った男「うぐっ…」


 男は銃を落とし、倒れる。そして、アリエとカイは施設内へ入って行く。それに、ゲヒルフェもついて行く。


 廊下の奥から、「侵入者だーー!!」っと大声が聞こえた。


 そして迫ってくる銃を持った黒いフードを被った男女。アリエが前に出る。


 アリエはポケットから、丸い物体を取り出し、男女に向かって下投げで飛ばす。そして、床にその丸い物体がついた瞬間…


「ボンッ」


 その丸い物体から白い煙が大量に放たれ、男女は視界を失われる。アリエとカイとゲヒルフェは黒いサングラスをかける。そのサングラスをかけると、3人の視界は煙が無いかのように、ハッキリ人が何処にいるか確認できた。


 そしてカイは銃口を上げる。そして…


「ダダダダダダッ!!」


 その弾は、全弾命中した。その場にいた黒いフードを被った男女は、白い煙が晴れる頃には、全員深い眠りについていた。


 カイ達はどんどん前に進む。が、どんどん銃を持つ黒いフードを被った男女が押し寄せる。


カイ「チッ。めんどくせーな!!」


 そう言うと、前の方に今は居るゲヒルフェは少ししゃがむ。それにカイが気づき、カイはゲヒルフェの背中を飛び台にして、高く飛ぶ。


 そして空中から、広範囲に乱射する。そして一気に30人ほどの黒いフードを被った男女は倒れた。


 カイはひらりと着地し、また2人と走り出す。


カイ「ほんと、どんだけいんだよ」


 すると、扉の開いた部屋が遠くに見えた。


アリエ「多分あそこの部屋。《《あいつ》》の位置情報がそこだから」


 アリエは手元のスマホを見ながら、そう言った。


カイ「オッケー。まだまだ来る黒い奴らは任せた。」


ゲヒルフェ「承知。」


アリエ「は〜い。(ちょっとめんどくさい)」


 そして迫ってくる黒いフードを被った男女。カイは横の方にジャンプし、壁を走り抜け、集団を回避する。そして…


ゲヒルフェ「ほいっ」


 集団の中に、四角い物体を投げ入れる。集団の視線は、その物体に集まる。


ゲヒルフェ「ごめん、それただの鉄の塊だ」


 ゲヒルフェとアリエは、集団の先頭に立っていた人達を押し倒す。すると、ドミノ倒しの様に倒れて行く。


ゲヒルフェ「アリエ」


アリエ「分かってますよー」


 アリエはスマホを取り出し、何かのアプリを開く。そして、何かをしている。


 そして数秒後、倒れた集団が居る床が急になくなって、集団は一斉に落ちていった。


 そしてアリエは、落ちて行く人達に向かって言った。


アリエ「ごめんね〜。この施設のトラップ、ハッキングしちゃった。てへっ」


 そして、また新しい床が現れ、2人も前に進んで行った。


 その頃、カイは昴の居る部屋を襲撃。アリエとゲヒルフェとも合流し、逃げてきた。


カイ「そして、今に至るというわけだ」


昴「なんか…すげえな……」


カイ「そうだろ?これが、お前のゲーム友達だ。」


 すると、カイは顔を上げる。


カイ「車が来たようだ。行くぞ昴」


 カイと昴は立ち上がり、森を抜ける。そこには、一台の黒いワンボックス


カイ「さ、乗って」


 昴は、なんの躊躇い(ためらい)もなく、車の扉を開けた。


昴「…は??」


 昴の視界に映ったのは……


「おかえり、昴」


 自分の母親、津島だった。


 その時、昴は後ろからライフルの手持ち部分で殴られ、気を失ってしまう。そして、車の中で倒れてしまった。


津島「ご苦労様、カイ」


カイ「いえいえ。作戦通りに行って、何よりです」



 バタンッ…………


昴「…?」


 昴は、目をゆっくり開く。自分は布団を被っている。自分のベットの上だ。


 そこは、昴の部屋


昴「…夢??」


 昴は、ベットから起きる。そして部屋のドアを開け、下へ降りる。


昴「…っ……」


 昴の目に映った光景は、台所で皿を洗う津島(母)。パンを食べる真那(姉)。仕事に向かおうと玄関の前で靴を履く近侍(父)だった。


津島「あら、おはよう昴」


真那「さっさとお前も食え〜」


近侍「じゃ、3人とも。行ってきます」


 その時、真那は驚いた顔をする。


真那「す、昴??」


 昴の目から、涙が溢れていた。


真那「なんで泣いてんの??」


 昴はハッとし、涙を袖で拭く。


昴「いや、なんでもな」


「バンッ」


 パリーンッ………




カイ「いつまで寝てんだよ。起きろ」


 昴は、木で作られた狭い部屋で、目覚ました。昴は慌てて顔を上げる。目の前には、片手でライフルを持っていたカイ。昴の左側の床には、銃弾で所々小さな穴が空いている。


昴「………」


 昴の目からは、ハイライトが消えていた。


カイ「お前、何されたか分かる?俺、敵なんだ」


昴「……」


 昴は、もう慣れていた。裏切り慣れていた……


母親の発砲、意刄木がフードの男の1人、そして死んだ。校長の指示に従ったら、拉致された。そして、今…


昴「俺を、どうするんだ。」


カイ「目標は達成されたんだよ。金を貰うだけ貰って、貴重な人材は他の研究施設に渡す」


 カイはゆっくり昴に近づく。


カイ「合理的だろ?こうやって金稼ぎするんだ。金を貰ったらまた取り返して、他に渡すの繰り返し。お前らは、道具だ」


 すると、昴は立ち上がる。そしめ、カイに殴りかかろうとする。が…


カイ「下手に動くな」


 カイは、銃口を昴の頭に突きつける。が、昴の動きは止まらなかった。


「ドガッ」


昴「っ!!」


 昴は、銃口で頭を強く殴られ、頭から血を流しながら倒れる。


カイ「あ〜もうめんどくさいな。」


 カイは、スマホで誰かに電話をかけだした。


カイ「じゃ、よろしく」


 そして、電話を切った。


カイ「昴、お前は、俺に争うな。俺たちの指示に従え。な?」


昴「…」


 昴は、カイを視界から逸らす。


カイ「…そうか。じゃ、お前の意思を無くしてやる」


 その時、部屋の扉が開く。そして、椅子に拘束された女1人が男2人によって運ばれてきた。その女の意識は、今はない。


 

昴「…は??」


 その椅子は、昴の前に置かれる。その女は…


昴「姉…ちゃん……」


 昴の姉 藤宮 真那だった。


 そしてカイが、真那に銃口を向ける。


カイ「今から、こいつを殺す。」


昴「は?なんで…は!!!????」


 昴は起きあがろうとするが、男2人に取り押さえられる。昴は、必死に振り解こうと暴れる。が、男2人は強かった。


「ガチャ」


 もうすぐ、引き金が引かれる。


カイ「大切な人が死ねば、俺を恨むだろう。が、それ以上に、もう何にも気力を持てなくなるだろう?その方が、扱いやすい」


昴「おい…やめろ!!」


カイ「も〜う、遅い」


「バンッ!!」


 昴の顔に、血が飛び散る。


昴「…へ??」


 カイの発砲する寸前、誰かが部屋に侵入してきた。そして、気を失う真那の前に立つ。


「バンッ!!」


 そして、そいつは撃たれてしまう。


 しかし、傷がすぐに治っていく…


昴「…とお……父さん!!!」


 真那の前に立って庇った男。そして、もう1人の不死身人間。


 藤宮 近侍だった



次回予告


「よく頑張ったな、昴」


 もう1人の不死身の人間 藤宮 近侍


「すまない。こうなったのは、俺のせいだ」


 そして、本当の過去が明かされる。


「俺が…不死身??」


 そして集まる、藤宮家の4人。


「ほんと、悪い旦那ね」


Exist 第4話へ続く

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― 新着の感想 ―
不死身という能力を「最強の力」ではなく、研究対象として狙われ、傷つけられても逃げられない恐怖として描いているのが印象的でした。 特に、母親、幼馴染、ゲーム仲間と、昴が信じた相手が次々に裏切っていく展…
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