家族
ある木製の部屋。昴は二人の男に取り押さえられて、カイは椅子に縛られ気を失っている真那に銃口を向ける。
昴「おい…やめろ!!」
カイ「も〜う、遅い」
木製の部屋に、銃声が響き渡り、昴の額に血が…
昴「…へ??」
昴の前に、一人の男が立っていて、真那を庇って背中を撃たれた。が、傷がだんだんと治ってゆく…
そして、その男の正体は…
昴「…とお……父さん!!!」
昴の父、藤宮 近侍だった。
近侍「心配させてごめんな、昴」
近侍は視線をカイに向ける。そして、強い口調で言った。
近侍「で、どういうつもりだカイ!!約束が違うぞ!!!」
すると、カイはフッと軽く笑い、言った。
カイ「金のためだ。金があればなんでもできるだろ?俺の役目は終わった。ここからは、合理的な方に」
カイは、昴に向けて発砲する。昴は、本能で顔を晒し、銃弾は昴の耳を掠った。
昴「っ!!」
その時、昴は少し青ざめた。
昴(な…なんだ??)
昴は気づいた。カイの銃によって殴られて怪我をした頭の血が、まだ止まっていたない。
昴(あれ…なんでだ……?)
昴が焦る中、近侍がカイに向かって拳を丸めて近づく。すると、昴を抑えていた男一人が立ち上がり、近侍を取り押さえようとする。
男「止まれ!」
近侍「黙れ」
近侍は男の顎を下から強く殴る。そして、男は失神して倒れた。
カイ「おいおい。それ以上近づくと、お前ら家族、痛い目合わせるぞ?」
近侍はカイの顔面を思いっきり殴った。そして、カイは鼻血を出して倒れる。
カイ「っ!!」
近侍「昴!!真那の縄を!!」
昴は、咄嗟に動いた。自分を抑えていた男を突き飛ばし、真那を椅子に縛りつける縄を解いた。
昴に突き飛ばされた男を、近侍が抑える。
近侍「よし。昴、真那をかつげ。」
近侍は男の首を殴り、気を失わせた。
近侍「逃げるぞ、昴」
近侍は、昴に向かって手を伸ばした。
そして、昴も近侍に向かって手を伸ばす。
が……
「バチンッ」
近侍「!?」
昴は、近侍の手のひらを叩いた。
昴「逃げるなら…姉ちゃんと逃げろよ」
近侍「昴……なぜ」
昴「俺はぁ!!…もう、誰も信じられない……母さんも…意刄木も…校長も…カイも…全員敵だ!!!」
近侍「……」
近侍は、ゆっくり昴に近づく。
そして、昴の頭を撫でた。
昴「…」
近侍「ごめんな…怖い思いをさせて……よく頑張ったな、昴」
その途端、昴の目から涙が溢れる。
近侍「すまない。こうなったのは、俺のせいだ」
昴「…え??」
近侍「俺も…いや、俺が不死身の人間だから、こんな事になってしまったんだ……」
すると、近侍は昴と真那の2人を担ぐ。
近侍「取り敢えず…今はここから出るぞ。ここで話してる暇はない!」
その時、カイが立ち上がる。そして、銃口を担がれる真那に向ける。
カイ「逃げんなよおい。俺の金、盗むなよ」
近侍「!?」
その時、近侍の目の前に、銃を持った津島が現れる。
昴「!?」
昴(まずい…挟まれた………)
昴は冷や汗をかく。が、近侍は冷静だった。
近侍「津島、頼む」
その時、津島はカイに銃口を向ける。
津島「妻に手を汚させるなんて…ほんと、悪い旦那ね」
津島は、カイの肩を撃ち抜いた。
「バンッ!」
そして近侍は、津島の横を通り過ぎ、木製の部屋を出た。
昴「!?…父さん!?どういう…」
近侍「母さんは仲間だぞー…まあ無理もない。あんな事をしてもらったんだからな…」
近侍は、走りながら話す。
近侍「これは、まだ父さんが子供の頃の話だ」
30年前
俺には、義兄が居た。当時7歳
近侍「ねえ義兄さん。一緒にゲームしy」
胡優「俺は研究で忙しい。どっか行っててくれ」
義兄の名前は「浦岬 胡優」。とにかくずっと研究をしていて、学校にも行かず、ずっと部屋で研究していた。
俺は、正直こう思っていた。
近侍(ただの引きこもりだな。)
しかし、あの日を境に、義兄に逆らえなくなった。
近侍「……っ、痛っ……」
俺は寝ている時、左手に針が刺さったような痛みを感じた。
そして、目を覚まし、左側を見ると…
近侍「!?」
胡優「!!」
義兄が、俺の左手に注射器を刺し、変な液体を入れていた。
近侍「な、なにすんだよ義兄さん!!」
俺はすぐに義兄さんを突き飛ばした。その時、義兄さんは笑い出した。
胡優「…ククッ……ハハハハッ!」
その時、胡優はポケットから、カッターを取り出した。そして、刃の先を俺に向ける。
近侍「え…」
俺は、義兄さんに右目を切られた。
近侍「っ!!!?」
俺は右目を強く抑え、自分の部屋で叫んだ。
近侍(痛い…痛い…)
とにかく辛かった。しかし、急に痛みが引いてゆく。
近侍「…??」
数秒後、俺の右目の傷は治っていた。
胡優「あーーハッハッハ!!最高だぁ…成功だ!!!」
近侍「義兄…さん??」
俺は動揺した。いつもあまり喋らず、笑顔なんて見せたことのない義兄の胡優が、笑顔で高笑いし始めたのだから。
胡優「ハッハッハ…近侍、お前は最高だ……」
近侍「義兄さん…どういう……」
すると、義兄さんは俺に指を指した。
胡優「お前は、不死身になったんだよ!!」
俺は、一瞬理解できなかった。しかし、さっきの出来事があったため、説得力しかなかった。
近侍「俺が…不死身??」
胡優「そうだよ。俺の開発した薬によって、お前は不死身になったんだ!!やっと完成した…」
何故不死身の薬を作りたかったのか、俺は知らない。ただ、次の日から…
近侍「義兄さん…?」
俺の…いや、家族の目の前から、姿を消してしまった…
それ以降、行方不明だった。
俺は津島と結婚し、《《昴を産んだ。》》
そして、あの日までは、普通に…
2026年7月3日
「プルルルルッ」
俺のスマホに、知らない電話番号から電話がかかってきた。俺は無視してたんだが、
「プルルルル…プルルルル…」
ずっとなり続けた。俺は呆れて、電話に出た。
そして、すぐに切ろうとしたんだが…
「久しぶりだなぁ…義弟よ」
近侍「!?」
電話をかけてきたのは、胡優だった。
近侍「義兄さん!?」
胡優「話があるんだ…金、欲しくねえか?」
その言葉に、恐怖を覚えた。電話越しだが、義兄さんがニヤけているのが分かる。
胡優「お前、息子いるだろ。そいつをよこせ」
近侍「…は??」
胡優「よこしてくれるんなら、一兆やる。ただ、よこさないなら…無理やり奪いに行く。家の部屋の、どの部屋に隠れても、遠くに逃げても無駄だ。7月7日以降、覚悟しろよ…」
そう言われ、電話は切れた。
近侍(どういう事だ??何で…昴???)
俺は慌てた。何故義兄が昴を狙うのか、分からなかったからだ。
そして俺は、警察に電話をした。
近侍「…という脅しの電話を、義兄から…」
警察「う〜ん……少し、証拠が不十分ですね。念のため、パトロールは増やします。」
俺も、冗談の電話かと思った。そして、津島にもその事を言った。
真那と昴が寝た頃、一階のテーブルで、2人は話していた。
津島「怖いわね……何でそんな電話…」
その時、俺はふと思い出した。
近侍「あ……」
津島「?」
自分が、義兄さんによって不死身になった事。
それが絡んでるとしたら……
津島「そう言えば、お義兄さんの苗字、元々 《浦岬》なんでしょう?」
近侍「そうだが…それがどうした?」
津島「昴がいつも言ってる親友の 《意刄木》って子の苗字が、あなたのお義兄さんと同じなの」
その時、俺は青ざめた。以前、昴は…
昴「意刄木の父ちゃん母ちゃんって、めっちゃ頭良い科学者らしいよー」
っと言っていたからだ。
7月6日
「ピンポーン」
意刄木「はいはいはい。」
意刄木の家の前には、1人の男。そして、意刄木がドアを開けると…
意刄木「誰?」
近侍「初めまして、かな。昴の父、近侍だ。」
近侍は、意刄木の家に訪ねていた。ここに、自分の義兄が居ると思ったからだ。
近侍「急に来て申し訳ないね…君のお父さん、居るかい?」
意刄木「お前、本当に昴の親か?ならテストする。」
俺は思わずきょとんとした。まあ、無理もない。普通に考えて、知らないおじさんが親友の親と名乗って、信じられるはずがない。
近侍「どうぞ、なんでもテストしてくだかい。」
意刄木「昴に姉は居る?」
近侍「昴の姉の真那の事だな。今は、高校2年生だ。」
意刄木「次は、昴が自慢げに思ってる事は?」
近侍「一度も風邪を引いたことがない。本当に不思議な子だよ…怪我をしたと思ったら、いつの間にか治って…」
その時、俺は気がついた。
意刄木「本物の父親っぽいね。で、僕の両親は研究者で、長くここには帰ってきてないよ。今は兄が部屋に引きこもってゲームを…」
近侍「そうか……、じゃ、ごめんね。邪魔をして。」
扉が閉まる。近侍は、冷や汗を流していた。
近侍(まさか……まさか………昴は…俺と同じ、不死身なのか???)
その時、また扉が開いた。
意刄木「おじさん、やっぱ気がついた??」
近侍「!?」
俺は、背筋が凍った。意刄木君の冷たい目。そして、意刄木君がこちらに向けて手招きをし始めた。
意刄木「大丈夫。俺も知ってるよ。色々とね…」
俺はその言葉に、あまり怪しさを感じなかった。言葉自体は怪しい。ただ、偽りがないような…純粋な言葉に俺は感じた。
近侍「じゃあ、少し聞かせてもらうとしよう。」
俺は、意刄木君の家に上がらせてもらった。
すると、意刄木は小声で言った。
意刄木「歩く時、忍足で。兄がキレるから。」
近侍「はい。」
俺と意刄木君は、何とか意刄木君の部屋にたどり着いた。
近侍(フー、音を立てないって、意外と大変なもんだな…)
意刄木「じゃあ、本題の事について話していいですか?」
近侍「あ、お願いだ。」
意刄木「僕自身も、昴が不死身の人間って事は知っています。それに関する質問を、今日しに来たんじゃないんですか?」
近侍「あ、ああ。そうだ…」
近侍(やはり、昴も不死身の人間だったか……)
意刄木「そして、僕の父の義弟のあなたも、不死身なんですよね。盗み聞きしたんです。父と母が久しぶりに帰ってきた時にね。」
近侍「そうか…ひとつ聞きたい。もしかして昴は、私の不死身が遺伝したのか?」
意刄木「詳しい事は分かりません。そう言うのは、兄の方が分かるんですが…でも、その可能性が高いでしょうね。でもその場合、昴の姉さんも不死身の人間の可能性が……」
近侍「いや、違う。真那は、津島と津島の以前の夫との子なんだ。津島は、一回結婚して、離婚して、そして俺と結婚した。だから、真那と俺は血が繋がっていない。」
意刄木「そうですか…なら、遺伝した可能性が高いですね…」
意刄木君は俯き、何かを考えているように手で顎を支えた。
近侍「…これは君が知っているかは分からないが、数日前、君の父から電話があった。」
意刄木「え!?滅多に電話しない父が!?」
近侍「それは、昴をくれって言う電話だった。渡せば一億円やる…渡さなければ、強引に、と言っていた。」
意刄木「父が…そんな事……」
近侍「声は少し違うが、雰囲気が…子供の時の義兄に似ていた。だから俺は、その電話の相手は俺の義兄本人だと思っている。」
意刄木「…それが本人かどうかは、僕には分からない。でも、父はお金で人を動かすような人じゃないって事は分かる。」
近侍「そうか…だが、誰かが昴を狙っているのは事実だ。というより、不死身の人間を狙っているのか……」
意刄木「…昴は親友です。僕に考えがあります」
そして話されたのは、《昴 偽拉致作戦》だった。
意刄木「明日以降に、昴が拐われる危険性があるんですよね…ですから、護衛をつけます。」
近侍「護衛?」
意刄木「父も母も研究者なのは知ってますね。そして、研究を色々成功させているのです。医療関係のやつとか…ですから、お金はあるんですよ。」
近侍「つまり、雇うって事だな。護衛を」
意刄木「そう。そして、怪しい連絡があれば、始末する」
俺は、思わず声が出た。
近侍「し、始末??」
意刄木「昴は、俺に普通に接してくれたんですよ。両親が有名な研究者って事は、学校のほとんどの人が知っていました。なのに、俺は理科が苦手なんですよ…よくあるでしょう?親が有名な科学者なのに、子は理科ができなくてバカにされる。」
意刄木君はひとつため息を吐いた後、ゆっくりと言って。
意刄木「実際そうだった…でも、昴だけは…」
昴「俺も理科苦手なんだよー。同じだな!」
意刄木君は、少し涙を流しながら言った。
意刄木「親友って、こうやってできるんだよ思いました。普通の話ができる人。十人十色を、知ってる人。」
近侍「そうか…。」
意刄木「たった1人の親友を守る為なら、なんでも賭けれます。犯罪者になってもいい。」
近侍「……それはおすすめしない。人を殺して、良いことは…」
意刄木「もしもの場合ですよ…じゃあ、話を戻します。おそらく、あなた方の家には、既に監視カメラなどが取り付けられている可能性が高いです。」
近侍「へ?」
意刄木「もしくは盗聴器。どの部屋に隠れてもって言う発言、監視しているからそういう発言をできるんだと思います。」
近侍「いつの間に…」
意刄木「そこでの作戦。《昴 偽拉致作戦》です。盗撮か盗聴を利用します。まずは、あなたの義兄の提案にのってください。」
近侍「は??…つまり、昴を引き渡せって……」
意刄木「違u…じゃなくて違います。まず、提案に乗れと言いましたよね?しかし、私の父…あなたの義兄は、それをすぐ信じないでしょう。だから、盗撮または盗聴を利用します。こちらで武器を手配するので、あなた方家族の誰かがリーダーになり、昴を殺してください。」
すると、近侍は顔を赤くして、意刄木に殴りかかろうとしたが、寸前で止めた…
近侍「どういう事だ…」
意刄木「昴は不死身です。なので、殺しても殺せません。ですが、普通の家族はまず、そんなことはしません。ですので、昴を殺すところを見せつければ、信頼度が上がる。昴は苦しむかも知れませんけど、これが最善です。」
近侍「なるほど…だが、俺にやる勇気は…」
意刄木「別にあなたじゃなくていい。とにかく、信頼を上げることが大切です。その時、僕自身もその場に行きます。そして、昴を攫うふりをします。」
近侍「待て!万が一、お前が父親にバレたら…」
意刄木「黒いフードでも被ります。そして、昴を本当に殺しにかかるように演技します。」
近侍「攫った後は、どうするんだ…」
意刄木「父と母が前使っていた研究施設があるんです。今は無人なので、そこを使います。そこに取り敢えず、昴を閉じ込めます。」
近侍「!?」
意刄木「その間に、自分の父親の捜索。そして、昴を普通の人間に戻す薬の開発をします。」
近侍「へ…?」
意刄木「両親以外の有名な科学者を集めます。その工場は、昔に使われていた…もしかしたら、あなたを不死身にした薬のデータがあるかも知れません。そこから、元に戻るための薬の生成をします。」
近侍「…俺は、何をすればいい?」
意刄木「取り敢えず、あなたも危険な目に遭います。場所が特定されにくい様に、別の場所に居てもらいます。あなたがリーダー的存在にならなければの話ですが。」
近侍「その、リーダー的存在になった場合は…」
意刄木「まずは昴を殺すふりをして、昴の偽拉致に協力。その後は、その場の後始末や、後は警察への根回し」
近侍「警察への??」
意刄木「万が一捕まった時のためです。隠しカメラを設置し、昴を殺害する時と、昴が起き上がる…まあ、不死身の人間だと証明する映像を警察に渡します。後は、みんな大好きお金。」
近侍「まさか…警察を買収する気か!?」
意刄木「そう。まあ、警察に昴が不死身で、誰かに狙われているって事を…証拠があれば、警察は動ける。それで動かない様なら、金を使うってことです。不死身の人間を、そう信じてくれなさそうですからね。」
近侍「確かにそうかも知れない……」
意刄木「あ!そう言えば、僕の兄も、両親と同じで頭が良いんです!ですから、この作戦に協力させてもいいですか?兄がしてくれるかは知らないけど…」
近侍「いいけども…話を聞いた感じ、とても危険な作戦だな。それ以外の、安全な作戦は…」
意刄木「どう足掻いても、危険な作戦になると思います。1番被害が少ない方法が、大人しく昴を引き渡すですから。それ以外は、父と争う事になる。」
近侍「っ……分かった。妻にも相談してみるよ」
意刄木「あ!待ってください…この作戦の情報共有は、家の外で。家の中は、さっき言った様に盗撮、または盗聴されてる危険が高いです。」
近侍「あ!そうか…意刄木君、色々ありがとう」
俺は、意刄木君に向かってお辞儀をした。すると、意刄木君は照れくさそうに言った。
意刄木「いえいえ……、昴が…親友が苦しむのは、嫌ですから。何か怪しいことがあれば、連絡してください。」
近侍「分かった。」
お互いの連絡を確認し、俺はまず、津島に連絡した。
津島「あら、どうかしたの?」
近侍「大事な話がある。家の中では話せないから、あの公園に来てくれ」
津島「?」
数時間後、あの公園…俺と津島がよく子供の頃遊んでいた公園に、2人は集まった。
津島「懐かしいわね…それで、話って……」
近侍「昴と…俺の事で話がある。実は、俺は……不死身の人間なんだ」
津島「……へ???」
その後、俺が不死身になった経緯、昴の事、意刄木君の作戦についてを話した。
津島「……そんな………」
近侍「この作戦を実行する。それで、そのリーダー役を俺が津島のどちらかがやらないといけないらしくて…だから、俺がやる……」
俺の手と足は、とても震えていた。津島も、それには気がついていた。
津島「…私がやる」
近侍「…え?」
津島「あなた昔から、優しすぎる…だから、昴を傷つけることは、できないと思う。たとえそれが、昴の為だとしても…」
近侍「でも、その場合津島が」
津島「どちらかがやるなら、やれる人の方が良い。安心して、私の心配よりも、昴の心配。」
近侍「……………分かった。頼む、津島。」
津島「はい。頼まれました」
そして、作戦が開始した。
7月7日
昴の家の周辺には、数人黒いフードを被った男女…SPが巡回していた。そして、1人のSPが何かに気がつき、小型マイクで連絡をする。
SP「意刄木さん。不審人物2名を確認しました。」
意刄木「なにっ!?…マークしておけ。怪しい行動をしたら、取り押さえろ。俺は、全SPに連絡する」
SP「了解。」
しかし、不審者2人はこちらの動きにすぐに気がつき、SPは取り逃してしまった。
SP「すいません。逃げられました」
意刄木「そうか…また見かけたらすぐに行動しろ。責任は、俺が背負う」
そう言う護衛を、意刄木君はしてくれたらしい。
そして、7月9日
津島が昴を発砲し、昴が逃げるところまでは、順調だった。
意刄木「では、俺達は昴を追います。近侍さん達は、残る2人と僕の避難施設へ。津島さんも、今一緒に昴を追いましょう」
近侍「分かった。ありがとう」
そして、意刄木君達が出て行った直後、家に誰かが侵入して来た。
近侍「!?」
近侍(なに!?聞いてないぞ!?)
侵入して来たのは、3人の男女、その中の1人が、ライフルをこちらに向けている。
黒いフードを被った女「伏せて!!」
そして、ある紙を投げ渡しされた。その瞬間、男はこちらに向かって乱射して来た。
黒いフードを被った男「逃げろ!!!」
俺は、真那の盾になりながら3人の男女を突き飛ばし、外に出た。何発も当てられたが、俺は不死身だから、死ななかった。
近侍(頼む…2人は、無事でいてくれ…)
近侍はすぐに、自分の車に真那を乗せて、車を走らせる。真那は、ショックで気絶していた。
そして、投げ渡された紙に書いてあったのは、意刄木君が言っていた避難施設までの地図だった…
その後、俺は連絡を受けた。
家に残っていたあの2人が死亡した事、そして、昴が抵抗して、意刄木君含めた黒いフードを被った男達が《《負傷》》した事。
近侍「負傷?」
津島「えぇ。重症だけども、一命は取り留めたわ。」
昴も居る病院に、3人は搬送されていた。後ろから追いかけて来た津島が、救急連絡したらしい。
津島「昴は、精神状況が悪いって。体は大丈夫だけども、ひどいパニックを起こして、体力が尽きちゃったって。」
近侍「そうか…これから、どうするんだ?昴をそのまま、意刄木君の言っていた所へ連れて行くのか?」
津島「そうする予定よ。じゃあ、元気で」
そこからは、何があったのか俺は知らない。が、昴がなんとか意刄木君の言っていた俺たちとは別の避難施設に来たと言う連絡を受けた。
そして、意刄木君は…
意刄木「僕は、これから 《デア》と名乗ります。」
近侍「え!?どうしてだい!?昴と会うんだろう!?」
意刄木「だからですよ……僕が今ここに居る事は、不自然な事です。昴には、事前に僕が死んだと伝えます。」
近侍「だが…普通に親友として会って、事情を説明するのは…」
意刄木「あ!これには理由があります…薬が、完成したんですよ」
薬…それは、不死身の人間を、元の人間に戻す薬だった。
近侍「本当か!?」
意刄木「ですが、条件があるんです。まずは、体温を上昇させる…血行の巡りを良くすることが、絶対条件だそうです。ですから、あえて意刄木と名乗るのでは無く、デアと名乗り、昴をキレさせます。」
近侍「そうか…だが、これからはどうするんだ?これから、意刄木君は、昴と親友として接することができないんじゃないか?」
意刄木「もう僕が、デアだと昴に言ってしまってるので。後…僕に構わず、まずは昴を優先してください。もうこれから、薬を打ち込みます。その後は、普通の人間に戻る…銃弾が心臓に当たると、死ぬんです」
近侍「確かに、これからが1番危険かもしれない…か…」
意刄木「まあ、何かあったら、また連絡します。」
その数十分後、連絡があった。津島から…
津島「近侍、聞こえる?」
近侍「津島!!捕まったって聞いたが、大丈夫なのか!?」
津島「それより、避難施設が襲撃された。私たちの仲間がなんとか昴を救出してくれたんだけど…」
近侍「なら良いが…」
津島「今から、緊急でそっちに昴を避難させる事にした。」
近侍「分かった。この施設への連絡は」
津島「した。…でも、」
近侍「でも?」
津島「私、いつまで悪役してれば良いの!?しつこい敵みたいで、昴が怯えたりしてて…今は眠ってるけど…」
近侍「…そろそろ、打ち明けても良いんじゃないか?」
津島「じゃあ、昴が起きたらそうしようかしら。」
そして、無事に到着した。そして俺は、カイと会った。
津島「この子が昴を助けてくれた、カイ君よ」
カイ「どうも。」
それから、カイ君が主導で昴の避難の話が進んでいた。
カイ「昴とかの対応は、後はおまかせ下さい。お二人とも、疲れてるでしょう?」
近侍「あぁ。じゃあ、お言葉に甘えるよ。」
その判断が、間違っていた。
そこから、カイが昴に向けて発砲、真那を人質に…俺は銃声に気がつき、津島を起こして、すぐさま向かった。
近侍「そして、現在に至るって事だ。昴」
避難施設の外に、昴と真那を降ろす。そして、黒いフードを被った男女が駆けつけ、2人を車に乗せる。
近侍「俺も一緒に逃げたいが…津島が心配だから、一旦残る。」
昴「え!?でも…」
近侍「安心しろ。このフード集団は、俺たちの仲間だ。見てみろ」
すると、昴は気がつく。全員、学校の先生や、生徒だった。
近侍「お前を助けるために、協力してくれている。だから、俺たちの事は、安心して信頼しろ。じゃあ、また後でな」
近侍は、そう言って車のドアを閉める。そして車は、施設から離れて行く…
近侍は振り向き、また施設の中へ入って行った…
その時、銃声が聞こえた。
「バンッ!!」
近侍「!?」
近侍は冷や汗をかきながら、ひたすら走る。
近侍「ハッ…ハッ…ハッ……」
近侍の走るスピードは、どんどん落ちて行った。
扉のところで、倒れる1人の女性。胸元から、出血している。
近侍「あ……ああああああああ!!!!!」
近侍は、咄嗟に駆け寄る。それは、間違いなく、津島だった。
近侍「津島…津島!!!」
部屋の中には、銃弾を拳銃に堂々と入れているカイが、立っていた。
カイ「ざんね〜ん。ちょっと遅かったかな。…言ったでしょう?家族、痛い目に遭わせるって」
津島の心肺は、すでに停止していた。
近侍「クソがぁぁぁぁぁ!!!!!」
次回予告
カイ「じゃ、さようなら」
第1章 完結
昴「は?嘘だろ…」
さようなら。そして…
カイ「言ったろ?ワンセルフでやろうって。」
謎の少年「カイ」の真実…
近侍「俺に構うな!!」
バンッ!!
昴「絶対に、このまま終わらせらない」




