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子供の時は天才魔法使いと呼ばれ可愛いがられ、成長につれ無能になり蔑まれ、今は最凶魔法使いの弟子になり(歪ですが)溺愛されてます。  作者: ねこ


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第7話 探求

 作ってくれてるのはアップルパイだそうです。めちゃくちゃ時間がかかるのに作ってくれるのは嬉しいのですが……夕食になりそうですね。


「さて、解説だったね。」

「あれ?アップルパイというのは?」

「あぁ、まだ焼き上がるまで時間がかかるのでな。まぁこれでも食べて話を進めよう。」


 うさぎの形をしています。もしかして私を喜ばせる為に?


「深く詮索て食べろ!」

「は、はい!」


 しゃりっとした食感の後にくる果汁はとても甘かった……これがりんごという食べ物……そのままでもこんなに美味しいのにそこから加工するなんて……凄まじい探求心です。


「さてと、解説ね。簡単に言うと水と塩がくっついたから溶けた。その水を火にかけて取り除いたから塩が残った。これが結論ね。」

「その仕組みを知りたいのですが……?」


 私の頭に本日2度目の鉄拳制裁が落ちました。


「今から話すから聞きなさい。」

「あい……」

「水を直接燃やす事は出来ない、むしろ火を消してしまうわね。そこでお皿という物で水を溜める。そしたら火で炙れる。さぁここからね。」


 グレイスさんは水を飲んで口を湿らせました。ようやく聴けます。


「水をめちゃくちゃ細かく観るとこういう形になるの。」


 グレイスさんはどこから出したのか黒板に絵を描きました。それは中くらいの丸に小さな丸が2つくっ付いてる絵でした。


「水っていうのは酸素分子1個と水素分子2個から出来てるの。これはまた今度深く教えてあげるから今はこう言うものだと思ってて欲しいわ。」

「はい!」


 また新しい言葉に私のワクワクは止まりません!むしろ学生時代よりワクワクしてます!


「じゃあ続きね。この水の中にはこの絵の様な物がたくさんあるの。そしてこの分子たちは常に動いてる。だから形もすぐに変形してこうやって波にだってなれる。で、これを凍らせると……」


 グレイスさんはビーカーに入ってる水を揺らして動く様子を見せた後、中の水を凍らせてしまいました。


「カチカチになって動かなくなる。こうなるとさっきみたいな波なんかも起こらない。これは分子同士が互いに引っ付いて動けなくなってるから。だから熱を加えてあげると……」


 そう言ってビーカーの氷を溶かしました。その時間僅か数秒です。そしてまた先程の様な水に戻りました。


「じゃあ本題ね、この水を先程の様に燃やし続けると水はどうなった?」

「無くなりましたね。」


「そう、これは気化と言って水はある程度の温度に達すると水蒸気という状態になって今も部屋の中を漂ってるの。でも、塩は違う、塩は水より気化する温度が高いのよ。だからお塩は残ったってわけね。」


 そう言ってお塩をお皿の中でかき回す様に回してるグレイスさん。後で何かに使うのでしょうか?


「さぁ、解説は終わったし、アップルパイの焼き加減見てくるわ。」


そしてグレイスさんは調理場へ向かいました。私はというと、ノートを見て復習します。新しい言葉と疑問に思った事をノートの端にメモしていきます。学生時代にもしていましたが、わからない事はノートの端にメモとして、本文は絵も交えて書きます。復習する時に役に立ちますから。


「出来たよー!ほらアップルパイ!食べてみて!」


 グレイスさんが満面の笑みです!恐らく渾身の出来なのでしょう!私は切ってくれた1ピースを取ります。そして口に入れました。


「な、何ですか……これ……美味しすぎます!」

「調理において焼くって行為は甘味を引き出してくれたりするのよ。これも科学の1つね。」


 そう言ってグレイスさんも一口食べました。そうして食べ終えたら今度はまた魔法の時間です……が、1つ聞きたい事があったのでグレイスさんに聞いてみます。


「あの、グレイスさん。」

「なにかしら?」


「私の魔法は火の魔法なのでしょうか?」

「この世界の分類では火の魔法ね。でも、科学の観点から見たら火ではないわ。」

「どういう事ですか?」


 私は前のめりで質問してしまいました。なので落ち着けという意味で思いっきり唇から魔力を吸い上げられ膝から崩れ落ちてしまいます。これでグレイスさんとは3回目のキスとなりました。


「まぁ落ち着きなさい。フレアのは大きく分かれば火の魔法よ。でも、今までの火の魔法とは仕組みが違います。」

「は、はい……」

「まず火の魔法の特徴は高温で明るくし、燃やす物よね?」

「はい、そうです。」

「そしてフレアの光球は確かに高温で明るくしてる。でも、その光球は燃やせない。」


 燃やせない……その言葉に私は息を呑みました。


「燃やせない……でも、1度グレイスさんの手を……」

「ええ、火傷にしたわね。でも、あれは火傷だけど高温で皮膚が焼けたみたいになったの。正しく言うとあれは被曝した……が正しいわ。」

「被爆……?」


 またわからない言葉でしたが、何やら嫌な予感がします。


「さっき分子という言葉を覚えてる?」

「はい……確か水素分子と酸素分子とか……」

「そうそう、その分子を高速でぶつけて原子を分解させる。これを核分裂っていうんだけど、恐らくそれに近い事をしてるわ。」


「核分裂……それと被爆に何か関係が?」

「簡単に言いますね。火傷なら皮膚表面からダメージを受けます。ですが核分裂は人の細胞を貫通します。そして1度壊れた細胞は普通の医学ではもはや治りません。私の様に細胞に魔力を貯めてるなんて反則技を使わない限りはただただ死を待つしかないのです。」


「そ、そんな危険な魔法なのですか!?」

「そう……でも、フレアの光球はまだ安全よ。」

「それはどういう事でしょうか?」


 私は息を呑みます。こんな危険な魔法をまだ安全という理由を……


「守りの魔法……無意識に使ってるのよ、フレアは。」

「えっ?」

「本来ならこの核分裂反応が起こる時には体に危険な目に見えない光が出てるものだけど……全く出てないわ。それは光球が弾けた時もそう。恐らく全くの無意識ね。心が常に誰かを護りたいという気持ちがその魔法に自然と保護魔法を備え付けたと思うわ。」


「えっと……あの……もし保護魔法がかかってなかったら?」

「私たちまとめて被爆して死んでたわ。私は8度目の転生コースだったと思うわ。」

「あの、笑って言ってますが……笑えませんよね?」


 しかし、ここで1つの疑問が出ます。


「あの、その光ってどうやって出てるか出てないか分かったんですか?」

「私の手が焼けた後、急いで測定出来る魔法を使ったわ。というより人体に危険なものを発見する魔法だけど……それが反応したのは私とフレアの魔法だけ。だけど他の物には反応しなかった。そして1日経って吐き気などの体の不調もない。だから安全と判断したの。もし、その魔法が無作為のものだったのなら私はフレアの命を奪う判断をするしかなかった……底なしの優しい性格だった事で命を救ったわね。フレア……」


 さらっと笑いながら怖い事を言いつつも目は笑っていませんでした。


「さぁ……少し休みなさい。夕食にまた起こすからさ。」

「夕食は私が……」


 グレイスさんは私の鼻に指を置きました。


「頭使ったんだから今はゆっくり休みなさい。」

「……では、お言葉に甘えて……」


 私はゆっくりとメモに取った事を復習しようとしたところ急な眠気に襲われました。恐らく休まない私を眠らせるための魔法なのでしょう。私は解除の魔法をかけようとしましたが間に合わず寝てしまいました。

 ここまで読んで頂きありがとうございました!

次回更新もお楽しみに!


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