第3話 弟子
酷い目に遭った翌日、私は光球を見て顔を綻ばせていました。
「何をニヤニヤしているの?」
「いえ、すいません……久しぶりに魔法を見える形で体現出来ているので……」
「何言ってんの?魔法障壁だって見えてるだろうに?」
「……私にとっての魔法は火なんです。昔両親から褒めて貰えたこの魔法をもう一度灯せてるのが嬉しいんです。」
私は恐らく満面の笑みでグレイスさんに伝えています。
「はぁ……全く……フレアはその両親に追い出されたのにその魔法が憎くはないの?」
「え?」
言ってる意味が分かりませんでした。追い出されたのは私が未熟なだけですから……
「私が未熟なのが問題ですから……両親は悪くありません。」
「……優しいなぁ……それじゃあ私はそんなフレアをこれから鍛えてやるとしますかね。」
「えっ?私は検体なんじゃないですか?」
「あー、そうだったわね。でも、そこまで真っ直ぐな心なら私が師匠になって鍛えてやろうと思ってしまったのよね。」
「あの最凶魔女グレイスさんの弟子……よろしくお願いします!」
考える必要はない!即断即決で弟子になるしかないです!こんな機会ないのですから!
「じゃあ早速だけどついて来て。飛行魔法は使える?」
「はい!」
グレイス師匠は私の手を握りました。そして
「着いて来れるかしら?」
「えっ?」
次の瞬間!グレイスさんはもう空の上にいました。
「ほら、いくよ!ついてきて!」
「は、はい!」
私は急いで飛行魔法を使い地面を蹴りました。私が飛行魔法で追い付こうとしますが……全く追いつけません。するとグレイスさんが近づいて来て手を掴みました。
「この方が速いわ!」
「えっ?……わ!」
次の瞬間……今まで体感した事のないスピードを味わいました。もはや目も開けてられませんでした。そして足が地面に着地する感覚がして目を開けました。
「ここは……?」
「私が作った異空間よ。」
「異空間?そんな魔法聞いた事……」
「当たり前よ、私が作った魔法だもの!誰にも教えたりしてないし、私の隠れ家よ。」
空間を作る魔法なんて聞いた事もありませんでした。やはりすごい魔法使いなのでしょう。
「あの、どうやってこんな魔法を?」
「どうやってって?あー……部屋が欲しいなぁって思ってたら空間作っちゃってた。それが始まりでその後はそれを大きくしてたら一つの世界になってたわ。」
「あはは……」
という事はこの人は戦闘やその他魔法を行使する以外でこの空間を維持するための魔法を常に使ってるってわけです。絶対勝てません。はっきりわかりました。
「私に逆らえない理由がよくわかったでしょ?」
「はい……私では絶対勝てません。」
もはや清々しいまでありました。恐らく超えられない壁であり続けるでしょう。でも、逆にそうであってほしいとまで思えてしまったのです。
「はっはっはー!師匠は偉大なのだー……と言いたいがぶっちゃけ私のはチートというヤツだ!」
「チート?どういう事ですか?」
「まぁ詳しく話してあげるから家に入りましょ。」
グレイスさんはパチンと指を鳴らすと家が出来てしまいました。中にはテーブルに椅子に花瓶、キッチンに更にはお風呂までありました。しかし、なぜかそのどれもが私が今まで見てきた物とは全く違うものに見えたのです。
「す、すごい……豪邸ですね!」
「そうね。じゃあ飲み物淹れてくれるかしら?」
私は言われるがまま飲み物をコップに注ぎます。しかしコップも私が見た事ない形の物もあります。
「さーて、たぶんフレアはこの部屋にある物は何かしら使い方はあるけど形状や装飾に違和感があったんじゃないかしら?」
「はい、なんというか……文化が違う様に感じます。」
私は素直な感想を言いました。
「……そうね。ここは私が見てきた物で印象を具現化してるの。」
「それはつまり、ここにはグレイスさんの思い出の詰まった場所なのですね。」
「……そういう考え方もあるのね。でも、300年生きてるとしても文化が違うと思わないかしら?」
私は周りを見渡した。確かに見るからに合ってない物が多い、鉄でできた物、ガラスでできた物、私にはわからない物で出来た物まで多種多様でした。
「そうですね、私にはどういう素材で出来てるのかわからない物もありますね。」
「うん、何故ならここにある物の大半はこの世界の物ではないからね。」
「それはどういう事ですか!?」
確かに私の知らない物ばかりしかしこの世界の物ではないって言うのが分からず前のめりに聞き返してしまった。
「言ったまんまよ。私がこれまで生きてきた……いいえ、正確に言うなら私が生まれて死んで、生まれて死んでを繰り返して見た、聞いた、学んだ物がここにあるの。最初に会った時にフレアが使った防御魔法を壊せたのは壊すための魔法を知ってたからよ。」
「あの防御障壁を粉々にした魔法ですか?」
「そうよ、私の真の能力は死んだ後でも死ぬ前に身につけた能力を全て引き継げる。これが私の能力よ。」
私は言葉を失いました。そんな能力聞いた事もなかったからです。
「そんな能力聞いた事ないです。」
「それはそうよね。でも、証拠はこの家の中にある物……これが全てを語ってくれてるはずよ。」
言われた通りです。私の目の前に出来た魔法が全て語ってくれてます。
「あの、グレイスさんのお話し聞かせてくれますか?」
「……いいわよ。」
私の言葉に一瞬目を見開きましたが、優しく目を細めて了承してくれました。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回もお楽しみに!
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