14 方向性の違い
「……おはようございまーす」
多少気が重かったが今日は朝早くからログインした。
明日から仕事なので今日中にやれるところまで進めるつもりだ。
本当は来週の休日にダンジョンに挑む予定だったのにな……。
旅の仲間が秒で集まっちゃったからしょうがない。
日本ではおはようございますの時間帯だが、木の洞の外は薄暗かった。
世界中の人が参加しているので、ラブピ内の昼夜の切り替わりに決まった時間はない。
なので参加できる時間帯が限られている人が、ずっと同じ時間帯のラブピしか楽しめないという事はない。
季節によって陽の長さも変わってくるので冒険の際は気をつけようとは思うが、うっかり夜に突入して困る予感は今からひしひしとしている。
「キャン!」
「おはよ」
「ぴちゅ」
「キュッ」
「フォーン」
「クー」
「コフッ」
ダクスからはじまり、次々と木の精霊が挨拶してくれたのでひとしきり全員の素晴らしいモフを堪能する。
天国か。
昨日家にみんなと戻ってきた際、チカチカさんに『木の精霊コンプリート』を軽く報告したのだが、あっという間に出会えた事については何も言われなかった。
というか「よかったね」としか言われなかった。
外にいた精霊3人は「はるが来た」という理由で私の所まで来てくれたみたいなので、もしかしたらチカチカさんが3人に教えたのかもしれない。
これはわかりにくいデレなんだろうか。ツンとくればデレだしね。
しかし外の地獄の(見た目)ダンジョン100階層を考えるとな……。いくらあってもデレが足りない気がする。
「チカチカさん。今日はナナの創作能力見せてもらった後ダクスのレベル上げして、その後ダンジョンに挑みますね」
昨日一緒にレベル上げをしてもよかったのだが、何度もダクスを踏んでしまいそうになったのでレベル上げは別にする事にしたのだ。
「その胴長犬のレベルは上がってる」
ここで管理人から意外なお言葉が。
胴長犬て。間違ってないけどさあ……。
「ダクス、レベル上がってるの?」
「キャン!」
「なにそれ。なに仕様?」
私がいない間にレベル上げができるのならとてもありがたい。
さっそくステータスを確認する。
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名前:ダクス
種族(ミニチュアダックスフンド ロングヘア)
Lv:3(↑2)
HP:18(↑10)
MP:25(↑10)
攻撃力:7(↑2)
防御力:8(↑2)
知力:6
精神力:8(↑1)
素早さ:9(↑1)
器用さ:5
スキル:《追跡Lv:1》《体当たりLv:2》
称号:《はるの心の友》
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ちょっと待て。
目をぱちぱちしてもう一度ステータス――特にスキルの項目を凝視する。
うん、見間違いじゃない。
「ねえ、《体当たりLv:2》ってなに……?」
まじでなに。
「キャン!」
「ふんふん、特訓で」
「キュッ」
「水を避けずに」
「ぴちゅ」
「……みんなに体当たり攻撃を繰り返したと」
「キャン!」
胸を張って勇まし気なダクス。
「……優しさ」
ダクスの体当たり稽古に付き合ってくれたモフモフ達に改めてぎゅっと抱きつく。
面倒見良すぎ。
「ダクスレベルアップおめでと」
ダクスのおでこをツヤが出る勢いで撫でさする。
でも言っておきたい事がある。
「あのさ、体当たりって痛くない? ダクスがはじき飛ばされるのあんまり見たくないんだけど……」
はじき飛ばされるのが前提だが間違ってはいないと思う。
まだ《噛みつき》とかのスキルの方がありえそう。というかそもそもダクスは可愛さ担当だから。
欲を言えば斥候職で頑張ってもらいたかった。
「キャキャン!」
「平気かあ~」
本人の性格とステータスの悲劇的な組み合わせの良い例だな……。
まあ先はどうなるかわからないしいいか。
昨日収穫した果物をもそもそ食べ、謎ポーションを補充し、ナナの創作エリアに向かう事にした。




