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ヒザキの言っている意味が分からない。訊きかえそうとした、そのとき、
「アキラ。こっちへ」
ケンジがやって来て、アキラを呼んだ。
通されたのは、会議室だった。
入ると、既に五十代組の四人が、窓を背にして、一列に座っていた。左から、オニガワラ、アカハナ、マミヤ、ヨシダ。その前に、アキラは立たされた。ケンジは、マミヤに目配せして、部屋を出て行った。
上ったばかりの朝日が、窓から斜めに差し込んで、窓枠と壁の一部を照らしていた。五十代組たちの顔は、逆光になって暗い。
マミヤが、長机の上で指を組んだ。
「久しぶりだな、アキラ。思ったより元気そうで何よりだ。少し前、輸送隊のマサトくんが来て、お前の話をして行った。ユイが死んだことも聞いた。実に遺憾だ。そして、その輸送隊もワスプにやられて、壊滅したと聞く」
「皆殺しだよ。女性や子供まで。あの要塞みたいな基地が、あっさり破られたんだ」
「ぬぅ」と、オニガワラが唸った。
マミヤは目を閉じた。
「そんな…」
「やはり、噂は…」
ヨシダとアカハナが、色めきたった。
「そして次は、うちのハイブだと言うんだな」。マミヤが言った。「そもそも、お前たち若者組が奴らのメンバーを殺したときから、うちは狙われていた。ユイの身柄と引き換えに一旦は見逃されたものの、当のユイが死んでしまったのだからな」
「まったく、余計なことをしてくれたものだよ!」。ヨシダが、ヒステリックに高い声を出した。
「まあまあ、ヨシダさん」と、アカハナが宥めた。「何はともあれ、アキラくんがこうして戻って来たのは、有難いことではないですか」。オニガワラが、無言でうなずいた。「マミヤさんが言うように、そもそも、アキラくんがワスプのアジトに乗り込んだりしなくても、うちのハイブは襲われたかもしれないんです。これで、ひょっとしたら、今回もピンチを免れることができるかもしれない。いいや、私は、きっと助かると信じておりますな!」
いつも弱気なアカハナが、珍しく語気を強めた。
ただ、言っていることが、どうも引っ掛かる。自分一人が帰って来たことくらいで、戦況が変わるとも思えない。
戸惑うアキラを他所に、マミヤが続けた。
「今、この町を取り巻く状況は、劇的に変わろうとしている。輸送隊が無くなり、ファームとの取引は事実上途絶えてしまった。自分たちでの食料の生産には限界があるし、発掘にしても、生活に必要な物全てを揃えるのは不可能だ。そう遠くない将来、ハイブでの生活は破綻するだろう。この町のハイブ、ワスプは統一され、ヴェスパこそが町の盟主となる日も近い。当然我々も、彼らの軍門に下ることを考えねばなるまい」
「アキラくんは差し詰め、その手土産と言ったところです。君は、どうやら奴らのボスの恨みを買っている。君を差し出せば、いくらかの便宜を図ってくれるだろうという算段です」。アカハナが付け足した。
なるほど。歓迎の理由が分かった。




