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いや、俺のことはいい。しかし…、
「降伏する…、ということか?馬鹿な。奴らは、そんなに甘くはないぞ。仮に、それで皆殺しを免れたところで、自由を奪われる。奴隷だ!」
「殺されるよりは、マシでしょう」。アカハナが言った。
「お前らはいい。だが、女性はどうなる?子供たちは?!」
「どの道、このままじゃ殺されるんだ!」。ヨシダが叫んだ。
「逃げればいいじゃないか!みんなを連れて、荷物をまとめて、奴らの手が届かない所まで!」
アカハナは、赤ら顔を真っ赤にして、
「無理だ!ハイブの外で冬を越すなど。それに、逃げた先にワスプがいない保証が何処にある?!」
「もういい」。言い争いを、マミヤが止めた。「悪いな、アキラ。もう、決まったことなんだ」
「そんな!」
「入れ」の声と共に、会議室のドアを開けて、男たちが入って来た。先頭にケンジ。ヒザキ、スーコもいる。
「だから、お前はガキだって言ったんだ。今戻って来れば、こうなることは分かりきっているだろう」。ヒザキが辛辣に言った。
「そのときが来るまで、反省牢に放り込んでおけ」
マミヤの指示を受けて、男たちが両側からアキラの脇に腕を通した。
「待ってくれ!マミヤさん!考え直せ。奴らは、タクミは、そんな理屈の通じる相手じゃない。奴らから助かるためには、逃げるしかないんだ!」
マミヤが手を振って、行けの合図をすると、アキラは強引に会議室から引っ張り出された。
「お前たちもいいのか?!このままじゃ、良くて奴隷だ!殺されたって不思議じゃない!女は犯される!子供は殺される!」
「黙れ」。ヒザキが言った。
「ケンジさん!ヒザキ!ノゾさんを殺した奴らだぞ!奴らに下るってことは、同類になるってことだぞ!」
「スーコ、黙らせろ」
ヒザキが低くそう言って、スーコがアキラの前に立った。両腕を掴まれて動けないアキラのみぞおちに、逆手に拳を打ち込んだ。
「グェッ」と呻いて、胃が引っくり返るような苦痛に、倒れ込もうとするが、両側から掴まれていては、それすらできない。
アキラは引きずられるように、一階に連れて行かれた。
廃油のランプに火が灯されると、ネズミが数匹逃げて行くのが見えた。アキラを、錆びの浮いた鉄筋で組まれた牢屋の中へ押し込むと、ケンジが南京錠をかけた。
誰かが廃油のランプを吹き消すと、一階は闇に包まれた。




