↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
76/163

76

 傷の男は、銃のグリップを握る手を整え、改めてアキラに狙いをつけた。

「馬鹿な。ゲートが開く時間を知ってるのは、ボスと俺たち6人だけだ。おまけに、向こう側には、厳重に見張りをつけてあるんだ。通れるはずがねぇ」

 こいつらも、ゲートを知ってる?そんなの、聞いてないぞ。

 とはいえ、目下の問題は、どうやってこの、拳銃を突き付けられた状況を凌ぐかだ。何か使える物はないかと、アキラは左右に目を走らせた。椅子、テーブル、トイレのドア…。残念ながら、銃弾を防げそうな隠れ場所は一つもない。

 そのとき、踵の後ろで、動く気配がした。さっきのデブが目を覚ましたらしい。要領の悪いデブだ。これは、使えるかもしれない。

「俺が、どうやってこっちへ来たのか、教えて欲しいかよ?」

 二人は顔を見合わせた。

「言ってみろ」

 アキラは、半歩前に踏み出した。

「動くな、オラァ!」。傷の男が怒鳴る。「その場で言え!」

 デブは、上体を起こし、頭を振っている。まだ、意識がはっきりしないらしい。前の二人に、こちらの考えを勘付かれるわけにはいかない。なんとか気を逸らさなければならない。

「あんたらが、さっきから言ってるの、ストラス・ゲートのことだろ?紫色した丸いやつさ。俺も持ってるんだ、それ」

「こりゃあ、驚いた。まさか、ゲートがもう一つあるとはな」。坊主頭が感心している。「こりゃあ、野放しにはできないぜ。何処にある?場所を言え」

 言えるかよ。

「待てよ。こいつが、もともと向こう側の奴なら、ゲートを通ることができないはずだろ?こんな下品なガキが、ボスと同じようにこっち側の出身だとは思えないし、ひょっとして、こっち側に協力者がいて、俺たちと同じようなことをしているってことか?」

 ボス…、タクミがこっち側の出身だと?!

「もしかしたら…」と、傷の男がアキラを見て、「天然かもしれないな」

「そんなわけないだろ」と、坊主頭が否定した。「こんなデカいガキが。どう見ても、十歳未満には見えねぇ」

「いや、理屈で言えば、そうでなくても天然はいる。ごくごく稀な存在というだけさ」

 背後でゆっくりとデブが立ち上がった。

 それを見た坊主頭が、ハッとする。

「立つな!ナオ!」

「え?」

 とぼけた顔で訊きかえすデブの前で、アキラは体勢を低くした。

「クソッ!」。傷の男は撃てない。

 当たり前だ。今ぶっ放せば、仲間に当たる確率の方が高い。

 その隙に、アキラはデブの背後に回り込み、首に腕をかけて、その後ろに身を隠した。

「酷い臭いだな、お前。この世界の奴は、臭いに敏感なんだぞ。風呂には毎日入るようにしとけ」

 そして、傷の男たちに向かってデブを突き飛ばすと、背後の扉を開けて、外の町に飛び出した。

「逃がすな!追え!」

 傷の男の怒鳴り声が聞こえたが、こうなったら、もう捕まるはずがない。なにしろ、足の速さには自信がある。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。