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男たちは、橋からリバーサイド・パステルカラーの所までどぶ川沿いに歩くと、そこから脇道に入って、貧民街の、さらに奥まったところへと入って行った。足元に、グレーチングのはまった溝が走っている。ここから臭ってくるのだろうか。どぶ川から離れているはずなのに、どんどんどぶ臭くなるような気がした。
二人は、古い三階建てのビルの中へ入って行った。入口の前は短い階段になっている。一階に窓はなく、入口は黒い重厚な、両開きの扉になっていた。電気は通っていないが、ネオンがあしらわれた看板がかかっている。
『LiveHouse GAREON』
昼前の裏通りとあって、周辺に人影は無い。
アキラは階段をかけ上がると扉に耳をつけ、中の様子を探った。防音扉だ。中の様子は聞き取れない。
扉を引いて隙間から中を覗き込んだ。ピンク色の間接照明で、中は薄暗く照らされていた。隙間に体を滑り込ませるように、建物に侵入し、素早く周囲に視線を走らせる。気付かれた様子はない。
その小さな部屋には、電気の通っていないジュースの自販機と、ガラス天板の丸テーブルが二つ。椅子が4つばかり倒れて転がっていた。辺りには、空き缶やコップ、いつのものやら分からないライブのポスターやチケットが散乱している。
右には男女共用のトイレ。正面に、もう一対の防音扉があった。二人は、この先に違いない。
念のため、トイレの中を確認する。防音扉を開けて中を覗いている最中に、トイレから出て来た男に見つかるような間抜けは犯したくなかった。中には、和式の便器が一つだけ。長く洗われた形跡の見つからないそこは、酷い臭いで充満していた。トイレットペーパーが、四角いタイルを敷き詰めた床に貼りつきながら転がって、レッドカーペット(ならぬ、ホワイトカーペット)のように道を作っていた。
元の部屋に戻って、防音扉を引いて隙間を作り、中を覗き込んだ。
それほど広くない部屋に色とりどりの照明。奥に高さ30cmくらいの狭いステージがあり、縁にスピーカーが三つ並んでいる。もう長い間使われていないらしく、床には白い埃が薄く積もっていた。
いた。顔に傷のある男と、坊主頭の男。ステージに立って何やら話しているようだが、ここからでは聞き取れない。締め上げて吐かせようか。いや、こっちは一人。向こうは二人。しかもワスプだ。拳銃くらいは持っているかもしれない。




