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話し好きの高畑の講義は、二時間に及んだ。
研究室を出たアキラは、黒田の自宅があるマンションに向かい、ついでに喫茶店も見たが、黒田がいる様子はなかった。
こんなことをしていて、見つかるのかなと思いながら、八つを過ぎて腹が減ったので、牛丼屋に入って、並盛りを2杯食べた。
こっちに来てからは、やけに職が進む。そのおかげもあってか、腹と肩の傷の治りも早くなった気がした。
しかし…、とアキラは思う。考えてみれば、ストラスは、こちらの世界に来ることはできない。それならば、殺したかどうかなんて、確かめようがないではないか。嘘をついたところで、ばれないかもしれない。そうして解毒剤をもらったら、もう、こっちのものではないか。
だが、アキラが逃げ出さないように毒の注射までするような用心深い奴が、その可能性を考えていないとも思えない。あの適格者を見分ける望遠鏡のように、やはり、ストラスは黒田が死んだかどうかを調べる術をもっていると考えた方が自然だ。
その日は、そのまま望巳の部屋に帰った。まだ夕方の6時前だったが、望巳は家にいて、アキラは、ほとんど何の収穫も無かったことを告げた。
「まぁ、焦っても良い結果は出ないさ」と、望巳はアキラを励まし、「ほら、明日からは、これを使え」と、新品の携帯電話を手渡した。
そこには、既に望巳と直子の番号が登録されてあり、望巳は、簡単に使い方をレクチャーした。
「ありがと。ノゾさん。でも俺、ノゾさんみたいなやつがいいな」
「贅沢言うんじゃない。スマホは本体も使用料も高いんだ。それに、使い方が複雑だから、お前には遠分、無理だよ」
「ちぇ」
「それとだな。直子と話した結果。しばらく、お前をうちに住まわせることになった」
「ホントに?!」
「お前を一人で外に出しておくと、何をやらかすか分からんからな。今から、物置にしてある部屋を片付けるから、ほら、手伝え」




