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あの巨大な装置が消えてしまった。それどころか灯も、フクロウの面をかぶった爺さんも。黒板も、テーブルも、ひび割れた食器もない。
だだっ広い地下室の奥に、ストラス・ゲートだけが紫色の光を放っている。
ここが、別の世界?
色々消えてしまっただけで、部屋そのものは、たいして変わったような気がしない。入口の階段の下に、どうやら木箱のようなものが積み上げられている。装置があった場所だ。なんだろう?灯が少ないせいで、よく見えない。
ハッとして、振り返った。
そうだ。もし、ゲートが消えてしまったら、この部屋は真っ暗になってしまうではないか!荷物は、一万円札が詰まったアタッシュケースだけだ。ランプか何かを持って来なければ、暗闇に取り残されてしまう。
もう一度ゲートをくぐろうとした、その瞬間、紫色の光を放つ球体は急速に縮み、ふっと消えてしまった。
真っ暗だ。
ゲートが放っていたブーンという音もすっかり無くなり、地下室は静寂に包まれた。
まいったな…。
手さぐりで、どうにか壁を探り当て、壁伝いに入口の階段の方へ進んでいく。途中、床にあった、あの木箱に躓きながらも、どうにか階段までたどり着いた。
その頃には、だいぶ目が慣れていて、一階のドアの隙間から差し込むわずかな光が見えるようになっていた。
階段を上り、ドアノブに手をかける。
鍵が、かかってる。
なんの、これしきと、ノブをガチャガチャやったり、戸板を叩いたり、体当たりを食らわせたりしてみるが、さっぱり開く様子はない。頑丈な扉だ。
「コノヤロウ!」と、思い切り蹴りを入れたアキラは、勢い余って、逆に階段を転げ落ちた。途中、二度に分けて頭をぶつけたのだから、二回転したということだろう。三回目は、下に積んであった木箱だった。
全身を打ちつけて、アキラは悶絶した。
死んでもいいとは思ったが、こんな間抜けな死に方はごめんだ。
と、階段の上でガチャガチャと音がして、ドアがゆっくり開いた。
誰か来たと思って首だけ起こし、そちらを見る。光を背にした人間のシルエットが、懐中電灯の光をアキラの顔に当てた。




