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アキラは、これまであったことを、ぽつぽつと話し始めた。
ワスプと戦う正義の組織、輸送隊。彼らなら信用できるという気持ちも、何処かにはあった。だが、本音を言ってしまえば、『もう、どうにでもなれ!』だ。いまさら、守る物など一つもない。恋人を助けるため、ハイブから別れ、そして肝心の恋人は、ユイは死んでしまった。自分で頭を打ち抜いて…。
「たった二人で、ヴェスパのアジトへ殴り込みをかけたって?!自殺行為どころの話じゃないぞ。お前ら、どういう根性してるんだ!」。マサトは、手を叩いて喜んだ。「もう一人は?死んだのか?」
「ショウゴは、囮になってくれたんだ。俺が、ユイを助け出す間、敵の目を引き付けようと…。そこで別れて以来、会っていない」
「まぁ、十中八九死んでいるだろうな」
遠慮なく、そう言い放ったマサトには反感を覚えたが、正直言って、アキラも同感だ。
「お前、これから、何処かへ行くあてがあるのか?」
アキラは黙った。
強いて言えば、あの世かな…。
自殺するつもりもなかったが、生きていく気力もない。放浪者にならざるを得ないし、だったら自分は死ぬだろうという、変な確信があった。
「ここにいるか?」
「え?」。驚いて、マサトの顔を見る
「志望者は腐るほど来るが、誰でも受け入れるわけじゃない。俺は、お前が気に入ったんだ。輸送隊は若い連中ばかりだし、実入りもいい。言っておくが、今の世の中、ここほど恵まれた所はないぞ」
思わぬ幸運に、アキラは戸惑った。放浪者になると確信した矢先のことである。輸送隊に入れば、明日をも知れない放浪者の生活どころか、ハイブの発掘作業からも解放される。もちろん、物資の輸送の際には危険も伴うが、その分、輸送隊の装備も整っている。万全の準備をもって、憎きワスプと戦えるというものだ。マサトが言うように、断る手はない。
「少し…、考えさせてくれ」
理屈では分かっていても、心の整理がつかなかった。
マサトは肯いて、「恋人を失ったばかりだ。すぐには、決められない気持ちも分かる。だが、今の世の中、死んだ者を一々引きずっていたんじゃ、重くて前に進めなくなってしまうぞ。傷が癒えるまでは、ここで好きにしていていい。それまでには、答えを出すんだ」
「ああ。…ありがとう。マサト…、さん」
「マサトでいい。一応俺は隊長だが、ここでは、みんな横並びだ」。さっきまでの、真剣な表情を崩し、歯並びが悪いのを見せて、にかっと笑う。「あとな、ここにいれば、女だってイロドリだ。もてるんだ、輸送隊」
そう言って、ゲラゲラ笑った。
少々呆れて口元を歪め、アキラも笑顔を作った。




