逆転姉妹も乙女ゲームの世界もズルい
学校が始まる。
まさかまた学校に行くことになるとは思っていなかった。
制服だけど、コスプレしてるようで恥ずかしい。
まあ、今の姿だと、中学生なり立てが背伸びして高校の制服着てるほうのコスプレって感じだけど。
「コルネリア、どうしたの? 大丈夫?」
隣に居たアンジェリカが相変わらずのイケメンスマイルで迫る。
周りの女子たちがきゃーとか言っている。
っていうか、近い。
最近、すごい近い。
なんだ妹よ。あまえんぼ期か。んなわけないかもういい年だ。
前世もいれたら。
「ネーちゃん! おはよう!」
後ろから声を掛けてくるのは、平民出身ながら魔法の実力トップクラス、お嫁にしたい女の子人気ナンバーワンのミーアだ。
「おはよう、ミーア」
「も~、ミーちゃんって呼んで。お揃いお揃い」
「あ、あはは……」
ミーアが近い。
そして、アンジェリカも近い。
最近、この二人が近すぎて小さな私潰れそう。
「ねえちゃん……私のこともあんちゃんって呼んでいいよ」
いや、それはなんかひとつの屋根の下でくらしてそうだから……まあ、間違ってはないんだけど一つの屋根の下で暮らす姉妹なんだけど、姉妹というより兄弟……。
「おはようございます」
更に遅れて、運が悪すぎて逆に守ってあげたい女の子ランキングナンバーワンのエリザがやってくる。エリザも転生者で、ガチの乙女ゲームマスターなので、私たちは頭が上がらない。
「おはようございます、神様仏様エリザ様」
「ちょっと、ここではそういうのやめてコルネリア」
「相変わらずかわった呪文ね。おはようございますエリザさん」
「う……主人公オーラぱない……おはよ、ミーア」
「おはよう、エリザ」
「アンジェリカ様……おはようございましゅ」
ちなみに、エリザはミーアにとってかわって主人公ポジションを得ようとしていたが、もうどうでもいいらしく、先日、アンジェリカ親衛隊長争奪バトルで隊長の座をもぎとってきたらしい。親衛隊長バトルってなんぞ?
学内美女四天王が揃って登校する様子はすでに名物となっており、賽銭をする者達まで現れ、更に、生徒会の自主的な挨拶運動の参加率は90%を超え、もうほとんどアンジェリカ達以外は校門にずらーっと並び、アンジェリカ達を迎える形になっていた。
四人の仲睦まじい様子をほほえましく見守る学生や先生たちであったが、四人の思いは違っていた。
(アンジェリカさん攻略の為には、コルネリアさんと仲良くならねば、でも、コルネリアさんは私に冷たい。なので、まずは、ミーアさんに協力してもらうためミーアさんと仲良くならねば!)
(アンジェリカさんがいつもいつも私とネーちゃんの邪魔をしてくるから、早いところ、エリザさんに猛アタックを仕掛けてもらわないと。そして、私も引かない。必ず勉学や魔法で一位を取り続け、良い職に就き、ネーちゃんの隣に立って見せる)
(なんか……最近、お姉さまエリザにモテすぎじゃない? っていうか、みんなにモテすぎじゃない? 凛々しさと無邪気さのギャップがいいってみんなに言われてない? 分かるけど! も~お姉さまズルい!)
(なんか……最近、ねえちゃんミーアと仲良過ぎない? ミーちゃんネーちゃんってナニソレ? っていうか、みんなのアイドルになってるよね? かわいいのに、家庭的でしっかりしてて頭いいってそりゃモテるわ! 分かるけど! も~おねえちゃんズルい!)
そんな四人を別の所から見つめる男が一人。
彼の名は、ライト=ロマネスコ。
乙女ゲーム『姫騎士と盾の守護者』の攻略キャラである。
その横に一人の眼鏡をかけた女。
彼女の名はメイ=ガーネ。
乙女ゲームでは情報通として活躍する女友達キャラであるが、実は国の諜報部の一人である。
「何故、俺たちの周りには人がいない?」
「私の眼鏡魔法によると、それは、あの姉妹達が人気だからかと」
あの事件の日、ライトも反乱をおさめるべく出撃していた。
が、裏道を駆け抜けていくアンジェリカ達に引かれて暫く気絶していたのだ。
本来の乙女ゲームでは、ライトに助けられたミーアがときめくシーンがあるのだが、ない。
ないので、ミーアは、ライトにときめいて、ない。
「くっそ~! 許さないぞ! 王家の力でやつらをつぶ……」
「「「「ああん?」」」」
何故かは分からないが不快な魔力を感じ、四人は振り返る。
慌てて、ライトは空を見上げ明日の天気を心配し始める。
「恐れながら、私の眼鏡魔法によるとこちらが潰されかねないかと」
「なんだよ、も~楽しい学園生活のつもりがぶち壊しだよ~!」
その様子に、ミーアを除く三人は気づいていた。
四人の行動がどこまでこの世界に影響を及ぼすのか心配ではあったからだ。
「ねえ、アンジェリカ姉さま。あの王子様とあの眼鏡の子がくっつくエンドとかないの? それが一番平穏じゃないかしら」
「いや、流石にそれはないでしょ……」
「ありますわよ」
「え?」
乙女ゲームマスター恵梨香こと、エリザが答える。
「えっと、確か、主人公が誰とも結ばれず単独でラスボスを倒すと、実はアンジェリカが生きていて、白銀の剣と対を為す黒曜の剣を手に入れて闇堕ちしてるっていう話をいきなり現れた太陽の女神と名乗る女から聞くんです。で、裏ボスである魔女騎士の闇アンジェリカを倒す時、情報部のメイと王子が協力してくれて、二人は結ばれたっていうレアエンドが。あ、これ携帯ゲーム版じゃなくて据え置き機への移植版ですけど、ってあれ?」
「エリザさん、アンジェリカ様、ネーちゃん、何の話を」
「う」
「う」
姉妹は顔を見合わせる。
「「うそでしょ~! 移植版とか」」
まだ姉妹の乙女ゲームは始まったばかりのようだ。
「ズルい~!!!!」
END?
終わりました!
初めて連載作品を終わらせることが出来ました。
最後までお読みくださり本当にありがとうございました。
時間あれば、元々書きたかった短編にしたりとか、結局削りまくった話と学校生活編を盛り込んだ長編とかやりたいなあ、という願望はあります。
次はこちらの連載中の作品を最後まで書ききる所存なのでよければ
『恋人を奪われパーティーを追放された親切おにいさん「あの時助けていただいた〇〇です」が揃って恩を返しに来て気付けば前パーティーを追い抜いてざまぁしていましたとさめでたしめでたし』
https://ncode.syosetu.com/n3949hc/




