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花の妖精

「綺麗……」


ミーアは、その少女の身体から立ち上るオーロラのような四色の光を見て呟いた。

赤、青、緑、黄。

四大属性、火、水、風、土の色だ。

普通、一人の人間は一色しか持たない。

彼女は四色とも持っていて、しかも、美しい。


「ん!? というか、さっきコルネリアって? ええ!?」


四色の光を浮かべた少女が振り返り、笑いながら語り掛ける。


「ああ、名乗ってなかったわね。私は、コルネリア。コルネリア=エシャロット。よろしくね、桜色のお姫様」


にやりと悪戯っぽく笑うコルネリアに、ミーアは再び顔を真っ赤にする。

しかし、それもつかの間、コルネリアの背後から三人の短剣を逆手に構えた男が飛びかかる。

ミーアはそれに気づき悲鳴をあげるが、コルネリアは一言。


「〈緑の蕾(グレナバド)〉」


一気にコルネリアの周りに緑の風が集まり、男たちの短剣を跳ね飛ばす。


「な、なるほど……噂に名高いエシャロットの天才は本物のようだな」

「あら、あなたのような人にも知られているのね。光栄だわ」


最初に手を貫かれ、剣を飛ばされた男が右手の甲を押さえながら立ち上がる。

コルネリアが微笑みながら首を少し傾ける。

こういう場でなければその可愛らしい仕草だけでミーアは倒れそうだった。


「その魔法は、アロリア仕込みか。しかし、一度使うと消えてしまって補充迄時間がかかるようだな」

「かもしれないわね」


ミーアがそのやりとりにハッとし、コルネリアの方を見ると、確かに、コルネリアに浮かぶ光が三つ、と、少しずつ浮かんでくる薄い緑の光が見えた。


「その年で、その胆力か。大したものだ。だが、気持ちだけではどうにもできないぞ!」


男が手を挙げると、方々からコルネリアを狙って矢や投げナイフが放たれる。


「〈黄の蕾(イエラバド)〉……〈青の蕾(ブラバド)〉! く……!〈赤の蕾(レダバド)〉!」


方々からの攻撃を魔法でなんとか防御するコルネリア。しかし、その身体から浮かんでいた光は徐々に消えていく。そして、最後の赤い光が消えたとき、男が飛び込んでくる。


「弾切れ魔法使いが接近戦で何が出来るかなあ!」


男は拾いなおしたのか、血の付いた剣を構え、斬りかかろうとする。

ミーアは思わず、目を背けた。

が、コルネリアは臆することなく握った左手を見せ、


「残念ね、まだこっちに弾はあったの」


と、コルネリアは左手に何かを握ったまま、男に投げつけた。

砂だ。こざかしい。

所詮は子供だったかと、男は勝利を確信して剣を握る逆の手で砂を防いだ。

その瞬間、目の前にはふんわりとしたウェーブがかった金髪の美少女、コルネリアが手を伸ばしていた。

一瞬判断に迷った男は、指を掴まれる。そして、コルネリアがあらぬ方向に小さく曲げると声をあげながら男は痛がった。



『いい!? 大事なのは指を掴むこと!』

前世の夜のお店で、先輩であるレイナさんが教えてくれた。

帰り道とかで男に追われて、戦うしかなくなった時の対処法。

『まず、砂を投げる。そしたら、まあ、普通、手で防ごうとするでしょ。その開いた手の指! そのどれか一本を掴んで折り曲げる! これで私は今まで変質者を撃退してきたのよ』

いや、私みたいな幸薄そうな女狙わないっすよ、とか言ってたら、違う、幸薄そうだから、まあ襲ってもいっかーって勘違いしてくるのよ。私も一緒! とか言ってたな。

ありがとうレイナさん(源氏名しか知らないけど)あなたの護身術役に立ちました。



「〈黄の蔦(イエラアイビ)〉」


コルネリアは男を土魔法で拘束した。すると、男は口を歪ませながら


「ちい! やっぱり天才という噂通りか……けどな! 俺達も負けるわけにはいかねえんだよ!」


弾かれて倒れていた男たちが、もっていた怪しげな薬を口に入れる。


「瞬間強化薬ね」

「そう! この薬で俺たちがお前を倒す! 切り札はとっておくもんだよなあ!」


筋肉をパンパンに膨らませた男が飛びかかる。


「そうね、その言葉には賛成だわ。〈四つ花(クアドラプルフラウ)〉」


コルネリアの身体にあっという間に四色の光が浮かぶ。


「〈睡蓮(ウォーター・リリィ)〉」


飛びかかった男は突如現れた透きとおった水の花に手をとられる。気づけば、足も、腰もとらわれていた。そして、徐々に男に水の花は集まっていき、ごぼごぼと気泡を口から吹きながら男は気絶した。


「〈石雛菊(ストーン・デイジー)〉」


黄色の光が地面に突き刺さると、光は地面を走り、他の男たちの足元に辿り着いたかと思えば、彼らの足を石で包み込んだ。


「まだまだ! 〈太陽花(サンフラウ)〉!」


赤の光はコルネリアの掌の上で丸くなったかと思うと一気に円形に広がり、男たちの身体を焼いた。


「とどめ、ね。〈風花(アネモネ)〉」


緑の光が縦横無尽に踊り、一気に広がると弾かれたように男達がふっとび、倒れこんだ。


「すごい……」


ミーアは、四大属性の連続使用という世界でも珍しい魔法よりも、その魔法が放たれた後の、魔素(マナ)が色を保ちながら空を舞う様子に感動していた。


「妖精みたい」


色とりどりの光の雪降る中、妖精は、貴族らしい美しいカーテシー、その一方で、悪戯っ子のようなにやりとした笑顔で、ミーアを虜にしたのだった。


お読みくださりありがとうございます。




楽しいだけで書いています! が、もし同じように楽しんでいただけているならば、嬉しいです!


あと多分4話です!終わらせます!


また、ブックマーク登録や評価してくださった方ありがとうございます。

少しでも面白い、続きが気になると思って頂けたなら有難いです……。


よければ、☆評価もしていただけるとなお有難いです……。

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