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潔癖巫女は一途な毒に溺愛される  作者: 泉花


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5.ぜってぇ守る


「私たちが信じるのは穂乃花ちゃんよ」


育葉と夏生が手を繋ぎ、反対の空いた手で私を抱き寄せる。


「勾玉は預けた。千種ねぇと絢芽ねぇによろしく。それと八恵にも」


私が奪い取った勾玉に熱がこもる。


二人の言葉に感化して、私は汗なのか涙なのかわからないしょっぱさに唇を丸めた。


「うん。千種ねぇにも、絢芽ちゃんにも八恵ちゃんにも会いに行く。そしたらまた姉妹全員で……!」


「えぇ、また会いましょう」


「全員で八ツ俣を封印するぞ! もちろん、全員生き残る! なっ?」


「うんっ!」


受け取った勾玉の重みが増す。



これで勾玉は四つ。


育葉と夏生、植実と守里の勾玉だ。


私の勾玉はおそらく八恵が持っている。


私が暴走して力を使ったとき、最後まで意識を保っていたのは八恵だったから。



(暁月村に行こう。深琴が信頼してる巫女様に会ってみたい)


これからの道に迷うことのないよう、進路を定めた。


姉たちが離れると誇らしげな気持ちに黄金の月を見上げた。



「穂乃花」


深琴が私の肩を引くと、簡単に腕の中に収められてしまう。


相変わらず空気の読めない軽々しいスキンシップだと、再び深琴の顎を手のひらで小突いた。


「いてっ……。やっぱり穂乃花は手厳しいなぁ」


「なに勝手に触ってるのよ」


「んー、いやぁさあ。なんかオレも気持ちを示したくなったわけよ」


育葉に想いを告げた珀斗に影響を受けたようだ。


星空の下、熱い吐息と一緒に私の耳元を甘い声が撫でた。


「人柱にさせねぇ。ぜってぇ守る」



全身に電流が走る。


特に下腹部がじんじんとして、急に恥ずかしくなって股をすり合わせた。


「いつか耳飾り、つけてくれな」


頬に触れるのは片割れの瑠璃の耳飾り。


心地よい冷たさに穂乃花は身を震わせ、喉の詰まりを流したくて唾を飲み込んだ。


(ホント、なんなの? 深琴ってやっぱり助平よ)



この心臓は正常ではない。


育葉の想いが移り気に私の胸を撫でただけだ。


(千種ねぇが鏡をもってるはず。全部そろえばきっと……!)


八ツ俣を仮封じした鏡。


長女の千種がどこかで待っているはずだと、受け取った勾玉を握りしめて一途に祈った。



「ぶっちゃけ聞くけど、その巫女さまって千種ねぇだよな?」


夏生が直球に首を傾げて深琴の顔色を窺う。


「私もそうかなーって思っていたの。千種ちゃんなら新しい道を見出していそう」


「その通り! 巫女様の名前は千種様だ! 千種様は穂乃花たちの姉なん……姉?」


深琴はハッとして顔面蒼白になり、私の反応をおそるおそる尻目に見る。


「いやっ、巫女様が八ツ俣封印に関わった巫女とは聞いてたけど! 外から来た巫女様で……しかも穂乃花の姉だなんて聞いてねぇ!」


「ごめん。言ったつもりだった」


肝心なことを聞いていないので、話がスッキリしないわけだと肩を落とす。


千種ならば人柱の運命から脱するための道を探してくれる。


千年前は人柱による封印しか道がなかった。


それだけ時間が経過すれば、千種なりに新しい道を見出していてもおかしくない。


ようやく希望がはっきり見えてきたと、私は月の眩しさに綻んで笑いかけた。


「「千種ねぇによろしくね」」


「うん!」


育葉と夏生に思いを託され、私たちは暁月村を目指す。


今度こそ八ツ俣を封印して、みんなで幸せになるんだと未来に希望を抱いて。


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