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時をこえて オカルト歴史旅  作者:


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2/4

酷い旅

何度目の旅だったか忘れたが、。最も酷い旅について記録しておきたい。


あまりに古い記憶で、かなり断片的ではあるが、覚えている限り、私は死に物狂いである漁村へ辿り着いた。


しかし、此処へ来た理由は漁村の者たちに助けを求めることではなかった。


それは、後でよかった。 


生命に変えてもやり遂げなければならないことがあったからである。


私以外に此処へたどり着いたのは、年若の姫と、その乳母(既に老婆であったが)、そして侍女たる私。


三人で急いで周りを見渡し、人目につかぬ場所を探し回っていた。


ある物を隠すために。


両手のひらに収まる程の薄べったい木箱。


これは大事な大事な宝である。


しばらくの間、これを隠さなければならない。


漁村の民にどうこう役に立つ物ではないが、決して汚されるわけにはいかぬもの。


それを私たちは隠さなければならなかった。


幸いにも、少し坂を上がった所に小高い山があり、急いでそちらへ向かった。


かなり疲れていたが、そんなことを考えている余裕はなかった。


山の入り口付近までくると、少し行った辺りに奥まった洞窟があった。と言っても鍾乳洞などの大規模なものではなく、窪みと言ったほうがいいかもしれない。


そこへ三人でぎゅうぎゅうに入り、岩と岩の間に腕を伸ばし、大事な木箱を押し込んだ。


これで、我々の使命は終わった。


さて、これからどうしたものか?


しかし、この場所に留まっていては木箱の在り処が知れてしまう。


とにかく落ち着いて今後の事を考える場所へ移ろうと、坂を下ろうとした時である。


坂の下から大勢の漁村の男らが、我々の上陸に気がついたのか、鍬など農具を頭上に掲げながら坂を駆け上がってくる。


一気に血の気が引く。


既に疲弊仕切った身体。そして村民の気迫に圧倒されて動かない。


まるでスローモーションかのように襲い来る男たち。


そもそも、偶然たどり着いた海辺の村であるから、土地勘もなく、知り合いの一人もいない。


三人に逃げ場などなかった。


そして、次の瞬間鍬の一撃を頭上に受けた。と思う。


そこで記憶を失った。


しかし、私たちは宝を隠した。


あとは、あれが渡るべきでない人間の手に渡らぬことを祈るばかり。


そして巡り巡って、800年ぶりに、再びこの漁村に戻ってきた。


数奇な運命とはこのことなのか、かつて撲殺された土地に産み落とされるとは。


しかし、それも数百年も前のこと…今更である。


幸いにも元々、深く考え込むような性格でもないから、何も知らぬといった風に、この土地で育ち、やがて地元の小学校へ通うこととなる。


そこで、ある年に地元の歴史を知ろう。という、どこの学校でもありそうなテーマの下、クラスメイトらと共に地元の郷土館へ赴くこととなった。


そうして、偶然目に入った資料からあることを知った。


この漁村に、はるか昔に落ち延びた姫が逗留したことがある。


ということである。


「そうか、姫は生き延びたのか。」


最初に一撃を受けた私にとって、あとの二人のことは知りようのないことであった。


しかしながら、本当に姫が生き永らえていたのかどうか神のみぞ知ると言ったところだろうか。


何故なら、私については何一つ記載されていなかったからである。


それに、その後の姫の動向も謎である。


そして最大の関心事である、あの頃に隠した宝の行方であるが、これは残念ながら不明である。


というのも、かつての山は切開かれ、山の入り口付近にあった洞窟も、今では私有地となり、立ち並んだ民家の内側にあるからして、もはや中を確認することは出来ない。


このような話を住民にしたところで、アニメやドラマの観過ぎだろうと一蹴されるか、頭のおかしな奴だと言われることは火を見るより明らかだ。


それに、この狭い漁村である。どこの誰かなど、すぐに知れ渡るであろう。


だから、このままで良いとする。


ただし、幸いにも、この漁村から宝が見つかったという話は聞いたことがない。


願わくば、あれが既に朽ち果てたか、もしくは隠されたままであることを。


しかしである。面白いことに、どうやらアレは発見されたことになっているらしい。


それは、この国の教科書にもハッキリと書かれていることである。


歴史書など、結局のところ人間の手で作られるものだと言うことを思い知った。

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