↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化決定!】外れスキル《毒消し》で世界一の料理を作ります!~追放令嬢の辺境カフェは今日も大人気~  作者: 青空あかな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/40

第29話:狼男と赤ずきんのお話

「『うびゃああああい!』」

「うわぁっ!」


 ホットサンドを食べた瞬間、狼男さんたちは激しい雄叫びを上げた。

 それはもう窓ガラスが割れるかと思ったよ。

 久しぶりだな、この感じ。

 最近は静かなお客さんが多かったから懐かしかった。


『おで、こんなにうめぇホットサンドは初めてだぁ! どぅやっだら、こんなうまいもん作れるだぁ!?』

「なんておいしいお料理なのでしょう! わたくし、感激してしまいましたわ! 実家のシェフでもこれほどのホットサンドは作れません!」


 お二人とも興奮のあまり口調が変わってしまっている。

 そんなに喜んでくれるのは嬉しいけど、勢いに気圧される私がいた。


『この肉はなんだべかぁ!?  噛めば噛むほど旨みが増すし、それでいて後に残りすぎない絶妙な脂の乗りだぁ!』

「わたくし、それほどお肉は得意じゃないのですけど、このお肉ならいくらでも食べられてしまいますわ!」

『「いったい、何の(お)肉を!」』

「そ、そちらは<ヴェレーノ牛>のお肉を使っております。リブロースを豪快に切り出しました」


 狼男さんも赤ずきんさんも、口々に感想を述べまくる。

 それはもう称賛の嵐だね。

 いや、ほんとに嵐のようなんだ。


『キノコの香り高い風味も素晴らしいだべな! 肉の味にほんのりと混ざり合う様は、まさしく食材の融合だぁ!』

「わたくし、キノコも苦手なのですけど、あなたのお料理を食べて大好きになりましたわ!」

『「いったい何のキノコを!?」』

「ド、<ドキドキノコ>という食材を使いました。ちょうど周囲の森に生えておりまして、私も焼いた後の香ばしい香りがとても好きです」


 お料理が好評なのは良かった。

 赤ずきんさんの怖い雰囲気も消え去っているしね。

 が、お二人の顔は私の目の前だ。

 特に、狼男さんの牙が恐ろしいことこの上なし。

 できれば、もう少し距離を保っていただけませんか?


『それに、このトマトぉ! 辛いべぇ! なんじゃ、このトマトはぁ! 一口食べたら止まらないんじゃよ!』

「わたくし、トマトも苦手なのですけど、これからは毎日食べようと思いますわ! 今まで避けていたのがもったいないくらい!」

『「いったいどんなトマトを!」』

「ト、トマトには<ホットマト>を使いました。おっしゃる通り、ピリっとした辛さがおいしいトマトです。ホットサンドに合うかと思い……」


 説明するたび、強烈に感嘆するお二人。

 ハイテンションの余韻で、私まで食べられないだろうか。

 心配すべきは赤ずきんさんではない。

 私だったのだ。


『極めつけはこのゼンマイだなぁ! ほろ苦さがそんじょそこらのホットサンドとは訳がちげえ!』

「わたくし、ゼンマイも苦手なのですけど、実家の薬草園でも育てさせるようにしますわ! 苦いイメージがあって遠慮してましたが、これほどおいしいとは!」

「『いったいどんなゼンマイを!』」

「ど、<毒ゼンマイ>でございます。洗っただけでシャキシャキする食感と、その薄っすらとした苦さが他のゼンマイにはありません」


 二人はガツガツとホットサンドを食べる。

 こんなに喜んでくれるなんて嬉しいな。

 頑張って作ってよかった。

 お客さんの笑顔を見ていると、私まで元気になるね。

 一度キッチンに戻ると、ロールちゃんとネッちゃんが出迎えてくれた。


「二人とも、なんか別人みたいに変わったね。この変わりようは怪しい……」

『おいしい料理を食べると人が変わるって本当ニャねぇ』


 ロールちゃんはまだまだ警戒心が抜けないようだ。

 貴重品もらったら手の平返すのかな。

 その光景が簡単に思いつくよ。

 お食事が終わったところで<ポイズンハーブ>のお茶を出す。

 狼男さんも赤ずきんさんも、満足気な様子でお腹をさすっていた。


「食後のハーブティーでございます。<ポイズンハーブ>から煎じました」

『いやぁ、お茶まで飲ませてくれるんかいな? ここはすんばらしいカフェだぁ』

「実家で飲む物より何倍もおいしいですわ。シェフたちに飲ませたいくらい」


 お二人とも笑顔でずずず……とお茶を飲んでいる。

 最初はどうなることかと思ったけど、喜んでくれてよかった。

 静かに下がろうとしたら、狼男さんに話しかけられた。


『実は、おでたちは倦怠期でなぁ。このままじゃ別れるんじゃないかと思ってたんだ。あっ、申し遅れたべさ。おではオルーフってもんだ』

「わたくしはクリムと申します。どうぞよろしくお願いいたします」

「レベッカ・サンデイズでございます。よろしくお願いします」


 みんなで握手を交わす。

 この二人は恋人同士なのか。

 クリムさんが不機嫌だったのも、倦怠期と聞いて納得できた。


『さっきから、なんだか胸がドキドキしてたまらないんだぁ。これはきっと、クリムのことが好きでしょうがないんだべなぁ』

「わたくしも胸がドキドキしてますの。これはきっと、オルーフさんの魅力に改めて魅せられているんですわ」

「胸がドキドキ……」


 それはきっと、<ドキドキノコ>や<ホットマト>の影響だと思います。

 どちらも、多少なりとも胸がドキドキする成分が含まれておりますので……。

 と言うとまずそうなので、黙っておくことしかできなかった。


『おではクリムのことが大好きだべさー!』

「わたくしもオールフさんのことが大好きですー!」


 人目もはばからず、ガッシ! と抱き着くお二方。

 う~む……目のやり場に困るな。

 夜ならまだしも、今はまだ真っ昼間だ。

 ネッちゃんの教育にもよろしくないし。

 止めるかどうしようか悩んでいたら、ロールちゃんがすっ飛んできた。


「すみません! うちはそういうお店じゃなくてっ……!」

『ああ、悪かったなぁ。お代はちゃんと払うべさ。ほら、これで足りるかいな?』

「おいしいお料理をありがとうございました」


 オールフさんはとんでもなく美しい水晶のナイフを、クリムさんは真珠のネックレスを差し出す。

 即座に固まるロールちゃん。

 目をパチパチ。

 ……まさか、この反応は。


「はわわ……ありがたく頂戴しますね! はわわ……」


 私が断る間もなく、どちらもガバッと回収してしまった。


『じゃあ、おでたちはそろそろ帰るべさ。絶対また来るかんな!』

「今日という日は一生忘れませんわ! 皆さまもお元気で!」

「「ありがとうございましたー!」」


 オールフさんとクリムさんは手を取り合って森へ向かう。

 それを見送る私たち。

 “カフェ・アンチドート”六人目のお客さんたちも、笑顔でお見送りすることができた。

お忙しい中読んでいただき本当にありがとうございます


【読者の皆様へ、青空あかなからのお願いでございます】


少しでも面白いと思っていただけたら、ぜひ評価とブックマークをお願いします!

評価は下にある【☆☆☆☆☆】をタップするだけでできます。

★は最大で5つまで、10ポイントまで応援いただけます!

ブックマークもポチッと押せば超簡単にできます。


どうぞ応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i000000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。