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地獄で生きたければ。  作者: どら焼き戦線バルハザーク
大人編・南

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天王仁現世降臨

 きっとみんなには分からないのかもしれない。

 

 「何故人は奪うのか」


 今一度考える必要が。


 「何故僕達に夜が与えられるのか」

 

 不思議と、僕自身の中にある恐怖が、消えていく。


 「僕達人間とは何か」


 この場にいる一人一人、歩きながら確かめていく。


 ベルさんが求めたモノ。


 ⋯⋯そして僕が求めたもの。


 「考える必要が──ある」


 確かな自分の眼は全員に向く。


 「なんでそんなことを?」


 また一人の問い。

 僕はにこやかに言う。


 「そんな事というのは?」


 「そんなどうでもいいことをだよ」


 「それは、"どうでもいい"ことなのかな?」


 「っ、」


 「僕も、貴方も、ナルも、最初のお兄さんも。


 ご飯を食べる事、女を抱く事、奪う事、これらが生きる事であり──娯楽になっていたよね?


 そんなご飯を⋯⋯食べることがどうでもいいことなのかな?」


 僕はうろちょろしながら問う。


 「っ、うるせぇよ」


 「うるさくないよ。

 お兄さんが焦って声を張り上げているのが答えだ。


 みんな、目を背けた。

 みんな、下を見ている。


 きっと、この場に来てくれた人達は、新しい頭はどんな人間かを見に来たのだと思う。


 けれど、もしかしたら⋯⋯という気持ちがあったんじゃないのかな?」


 みんな、気付けば僕を見ている。

 そうだ。それで良い。


 「みんなに聞きたい。

 なんで僕達は人から奪うの?」


 僕の歩く音が響く。


 「なんで?

 ⋯⋯⋯⋯そう。

 そこに僕達の──愚かで、醜く、そして希望がある。


 ──輝ける」


 色々なことを学んだ。


 「人から奪うのは自分に余裕がないから。

 そして人の気持ちを考えないからである」


 毎日。

 色々な本を読んだ。


 「「「「⋯⋯⋯⋯」」」」


 「これを魂抜心冷(こんばつしんれい)と言う。


 僕達は人から奪い、遂には大切な自然までもがその標的になりかけている」


 世界にいる、無数の賢者達。

 

 「「「「⋯⋯⋯⋯」」」」


 まだ見ぬ偉大な人間が。


 「僕達に与えられた夜は、なんの為なのか。

 それは、攻撃をするためではなく、知の為だ」


 「「「「⋯⋯⋯⋯」」」」


 「そしてその知は、一人一人」


 目の前の男に手を置く。

 隣へ、また隣へ、隣へ⋯⋯。


 「みんなが、みんなに宿ったこの力は、人を痛めつける為ではない!」


 「「「「⋯⋯⋯⋯」」」」


 「みんなを守る為にある。

 この地獄で──華を開く為にある!!!」


 「「「「⋯⋯⋯⋯」」」」


 「⋯⋯そして、それを気付かせるためにある。

 もし本当に痛めつける為であれば──全員力は同じで良い」


 「「「「⋯⋯⋯⋯」」」」


 「人から奪うことの為に夜があるのであれば、もっと破壊的な力がある!

 

 ──違う。


 僕達が、この世を夜という力を使って華を開かせる為の様々複雑なやり方でやってみろという挑戦状を叩きつけられているのがこの夜の答えである!!!」


 「「「「⋯⋯⋯⋯」」」」


 「だがそれだけでは潰されてしまう!

 それを分かっているからこそ、人々に突破力を与え、前に進めるための夜を人に与えた。


 それだけの事である。

 決して痛めつける為ではない!」


 「「「「⋯⋯⋯⋯」」」」


 「人間は変わる。


 けれど、昔から変わらないものがある。


 それは自然である。

 動物である。


 彼らは見えない夜の存在を崇めている。

 空を見上げ、与えた者に。


 そして生きている事に感謝を言っている」


 「「「「⋯⋯⋯⋯」」」」


 「人は人に依存をしている。

 王だと、頭だと。


 ──違う。


 権力、独り占め、夜の強さ。

 そんなモノは偉大でこの世よりも広く大きい夜の根源の存在に及ばない。

 

 人一人の価値など大したことはないのだ。


 けれど我々は一人一人目の前にいて、違うから感情が芽生える。


 比べてしまう。

 どちらの方が強いのか、優れているのかと。


 本来、我々は人に依存することはなく、動物や自然と同じく、共存し、この世の全てに感謝する事が当たり前だった!


 我々は驕っている。

 偉いと思っている。


 それを分かっているからこそ試している!!


 見よ!」


 少し刺激的かもしれないけど、やる。

 僕の視線は一人に。


 今だ。


 「天は──」


 手を上げ、僕は空を仰ぐ。


 「見ている。

 今の僕達を。


 愚かな僕達を。

 悪事を行う人間を、本来ならばいつでも処せると」


 本来はここで、炎が⋯⋯






































 ──ドゴォォォォォォン!!!


 ⋯⋯⋯⋯へっ?


 「彼に何があったかは分からない。

 けれど、天は見ている」


 軽く炎を撒こうと思っただけなのに!?

 な、なんか雷が本当に墜ちたぁ!?


 しかも⋯⋯。


 「お、おい!」


 ペチペチ叩いている。

 さっきのお兄さんだ。


 「死んでる⋯⋯」


 雰囲気は完全に僕の言ってる事が正しいみたいになっちゃってる。


 お、思ったより、まずい?

 し、刺激があり過ぎるような⋯⋯。


 「これは強制ではないし、命令ではない。

 けれど、奪い、女だからという理由で扱いが物以下になるのはおかしいとは思わないか?


 ⋯⋯では僕達も物ということになってしまう。

 

 全ての人間に力があり、様々な適切な道があり、それを複雑な道という人の生を歩む。


 それが僕達であり、奪うことよりもまず感謝をすべきだ。

 

 僕が求めているのは、何も戦うなと言っているわけではない。


 それでは動物とは変わらない。

 

 ──少なくしよう。

 ──優しくしよう。

 ──今のような争いを作る心の精神そのものを改めよう。


 僕が伝えたい、守って欲しい事はここにある。


 食だってそうだ。

 隣にいるそこの女が、美味しいご飯の作り方が分かるかもしれない。


 普段君が見下している弱い男が、誰よりも強さを、もしかしたら掃除が出来るかもしれない。


 もしかしたら今までにないほど、誰よりも物作りが出来るかもしれない。


 心を通わせ、攻撃せず、人にも、自然にも、動物にも、愛を持って行動すべきである。


 その為に僕は、頭になって畑を作った。

 ⋯⋯今でもそうだ。


 無い者から少しずつ分け与えている。

 ある者はある中で行動すればいい。


 みんなで良い物を作れればそれを分け与えればいいじゃないか。


 奪うのではなく、創る。


 攻撃するのではなく、高める。

 奪われて憎むのではなく、更に高める。


 僕達は考える事ができる。

 僕達は一度行った事を振り返る事ができる。

 僕達は、次がある。


 僕がやりたいのは──」


 笑う。


 「「「「⋯⋯⋯⋯」」」」


 ねぇ。デンデラ。


 僕の目には沢山の人の眼差しが向いている。

 そして同時に、空が見える。


 やっぱり、世界は美しいものだね。

 ねぇ、やっと、ここまで来たよ。







































 「全員が創り、送り合い、笑い、幸せに満ちたこの世を作る為である」

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