長い僕達の生活の始まり
「よし!」
おでこの汗を拭い、僕は目の前にある新たな畑を見つめる。
「これで何個目だ?」
「多分50個目くらい?」
最近も毎日時間の限り読書しているせいで、引用をしてしまうんだけど。
最近お気に入りである著者ウリバさんによる本には、
【時間が足りなくなってきたら成長している証】と書かれていたので、少しずつでも人生の成長をしていると信じたい。
と、余談はいいとして。
僕はすぐに取り掛かる作業が大量にあった。
⋯⋯あれから時間にして半年。
本当にやるべき事が多すぎて、何度か倒れたくらいだ。
大きく分けて食、性、心。
僕はこうして分けた。
何故かというと、最初に最も荒れたのは食と性。
食べる物がないと嘆く人がまるで土の如く膨れ上がったというのと、僕も含めて段々と性への衝動が増えてきたのが目に見えて分かってきたから。
僕はそこまでだけれども、良くも悪くも周りの高まり方が尋常ではない。
逆にみんなには突っ込まれてしまったけれど。
お前は無さすぎて本当に男なのか?なんてね。
大人たちが盛んだったのも頷ける。
けれども、女の子への配慮と精神性が少ないんじゃないかな?と言うのが僕の中でずっと引っかかっていた事で、とりあえずみんなに呼びかけた。
ところがそれが猛反発。
まぁ当たり前だったものが変わってしまうのは非常に大変だと言うことも理解できるし、僕が当事者でないのも凄く関係しているんだろうけど。
しかも僕以外の全員が反発したので、難しいと考えてまずは理解をしようではないかという呼びかけに変えた。
僕個人は女の子も人間だし、したいしたくないの感情があるわけなのだから、片っぽの話だけではあまりにも大人とやり方が変わらないと思い、出来るだけお話ができる状態にもっていこうとばかりするのに時間が掛かりまくった──というのが実情だったんだけどね。
と、とにかく。
様々な対応をしていかないといけない!
ということで。
ここで僕の村生活の基本となった先生から与えられた知識や経験が凄く活きた。
まずは数字や整理だ。
この南はお肉、ちゃちゃを始めとした食物への適性が非常に高い事がわかった。
短くすると自然との調和が非常にとれている、と思ってもらえればと思う。
豊かな自然。
そしてそれに適した土地。
僕達はそれすら有効活用されずに人間だけで完結し、中身は人同士でただ潰し合っていた戦闘民族と同著者であるウリバさんに盛大に怒られていたのは凄く胸が苦しくなる。
「ふぅ、それにしても村とは大違いだ」
「確か枯れてない⋯⋯とかだっけか?」
そう。
もう一つ重要な話があった。
村では相当時間の畑を造る事になったけれど、今ではそのほとんどが二つの月が経つ頃には村基準の畑が完成する。
素直にありがたい。
「よし!次に行こう!」
*
「今日は──」
毎日、僕は同じ時間に集めてみんなに読み聞かせを行っている。
読書しているということもあるし、この南では恐らく、教えられる方ではあると思う。
「みんなで考えよう!」
僕にとって知識を教えてもらえることは非常に嬉しい事ではあった。
けれど、他の人が同じというわけではない。
ーーみんなそれぞれ色々あるから人間だよ
ベルさんの言葉はいつでも僕の心に残っている。
その意志を含めて考えるなら、やっぱりこれだと思った。
「みんなはお腹が空いたらどうするかな?」
「はい!」
一人の子供が手を挙げる。
「近くの畑からとる!」
⋯⋯知識よりも大切なのがこういう事だ。
「それは自分のじゃないよ?」
「でも取った方が早いよ?」
多分だけど、本能的なんだと思う。
──だからこそ。
「もし自分が畑を作っていると考えたら?」
「嫌だし、殺す!」
「そうだよね?
でも、作ってないとなんで取ろうって事になっちゃうんだろう?
⋯⋯みんなで考えていこう!」
みんなに考えてもらう。
僕は仮の答えも出さずに。
「お腹が空いて考えられないから?」
「あんまり考えてないから?」
そうそう。
こういう風に考えていければ、もっとこの南は良くなっていくのではないか?
⋯⋯僕はそう思う。




