何事も言うのは簡単
「し、死ぬ⋯⋯!」
机に寝そべって思わず、僕は呟く。
「エオが休んでるー!」
通りかかった子供達に告げ口をされては、笑われているのが──現在南の頭となった僕、エオ。
戦争が終わってから結構時間が経ったように感じるけど、実際まだそこまで経っていないと思う。
「おっ、死んでんなぁ、エオの奴」
「グラン様、頭は本来労働などしない生き物でございます」
「見てみ?
アレが俺らの頭だぞ。
掟はアレが決めてんだから」
なんか近くで酷い言い草だなぁ。
「と言っても、俺も驚いたぜ」
「何がでしょう?」
「エオと一緒に聞いたが、この南の広さだ」
⋯⋯それはそう!!
「な、なんだよエオ」
ガバッと起き上がったせいで謎の注目を浴びる僕。
「あーごめんごめん」
「頭は寝てろよ」
そう、僕達は南を人として統べた。
けれどそれでは本当に統べているとは言えない。
僕が始めたのは現実的な他のみんなの把握をする必要があった。
本で勉強したように、烈都情鎧が出来てこそ頭として、王としての一歩だと。
まず、この土地の広さだ。
数字にすると難しいけど、すごく広い。
五十通りあるけど、僕が全力を駆けて走っても数日掛かる。
加えて、食、性は想像以上に深刻だ。
「一六番通りの統制が取れていません」
「誰か対応できねぇのか?」
「頭の指示が平和的過ぎて、こちらが困っています」
まず、畑の枯れ具合。
ここが一番の問題と同時に、僕のやり方が今の所一番良いことに気づいた点だ。
大人の畑が作った土は限りなく死んでいて、しかも採れる作物は詰んでいる。
まるで生きていないような食べ物ばかりが収穫される。
しかも、収穫感覚は僕達よりも遥かに遅い。
仮に収穫できたとしても、奪われながらなので本人もやる気がなく、まともな成長がない。
性についても、弱者が甚振られているのは変わらない。
男も女も変わらない。
けれど解決方法が思いつかない。
言うのは簡単だけど、今のところ出てこないのが僕の今だ。
力でやる事も出てくるし、命令でまとめる事も出来る。
でもそれでは、僕が違うと思った答えでしかない。
命令はつまり、聞かなかった場合は力で止めますって言っているようなものだ。
それではドン・ゴや貴族と呼ばれるような人たちと何も変わらない。
「あーわかんないー!」
「どうした、エオ」
「え?
解決方法が思いつかないんだよぉ」
「なんだなんだ、頭になったすぐ泣き言かぁ?」
笑いながら隣に腰を下ろすグラン。
「難しいなぁって」
「それはそうでしょう」
「チェシェ」
「はい、エオ様」
丁寧にお辞儀をするチェシェ。
「平和って⋯⋯難しいね」
「平和とは何を定義されるのでしょう?」
「定義⋯⋯戦わない?」
「戦わない⋯⋯ですか」
「やっぱりそういう反応になっちゃうかぁ」
「いえ」
チェシェがクスッと口元を隠して笑っている。
「面白い男の方だなと」
「なっ?
やっぱエオは変なんだよ!」
「なんでグランまで、そっち側にいるのさ」
「いや考えてもみろよ?
どう考えても話が通じない奴らに話をしようとしているお前の根気がイカれてんだよ」
みんなの薄々分かっていました、という気が僕に刺さってくる。
⋯⋯え?
そんな酷いの?僕。
「そらぁよ」
「あ、ケイ!」
「おう」
ケイともすっかり仲良くなれている。
他にもボルト、ナット、ソットという凄い夜を持つ人達とも話をする事で様々な情報を得ることができた。
特にケイは、デンデラの気質に似ているのもあって、距離を縮められている⋯⋯なんて勝手に思っている。
「隣で石投げて嗤ってる奴らに「ほら話そうよ」って言うようなもんだぞ」
「そんなに?」
「「「はい」」」
何かいいものはないのだろうか。
んー⋯⋯。




