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地獄で生きたければ。  作者: どら焼き戦線バルハザーク
大人編・南

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 一瞬だった。

 

 「っ⋯⋯ハァ⋯⋯ら、ラォ⋯⋯ン⋯⋯スヴ⋯⋯愛して⋯⋯頼り⋯⋯ない兄貴で⋯⋯ごめ⋯⋯」


 「お兄⋯⋯ちゃん⋯⋯僕⋯⋯昔⋯⋯」


 ハッとしたその時、僕はガル間際の肉塊二人を抱えて泣いていた。


 あの場所が何だったのかは分からない。

 けれど。


 今、見ているこの場所は──多分本物だ。


 「リオン!ラオン!!」


 「「帰りたい⋯⋯家に⋯⋯」」


 分かってる。

 二人とも、星に還りたいって事は。

 

 「ごめん!ごめん!!後は⋯⋯」


 ──ポスンッ。


 「っ、」


 ガル同然の二人。

 そんな二人の拳が、僕の胸に軽く押し込まれていた。


 「「託す」」


 その拳からは、凄まじい熱量の夜が僕を包み込んだ。


 「俺⋯⋯の⋯⋯夢」


 「お兄⋯⋯ちゃんの⋯⋯夢⋯⋯」


 「「エオ⋯⋯頼む」」


 「はい!頑張ります!

 全力で世界に足を向けて寝られるように!!!」

 

 そう言うと二人は笑った気がした。


 返事を聞いて安心したのか⋯⋯手が、胸からこぼれ落ちた。


 「っ⋯⋯!」


 これで二回目だ。

 

 「「「「頭ー!!!!」」」」


 向こう側から走り込んでくる二人の勢力の仲間たち。


 「エオー!!!!」


 ⋯⋯グランの声。

 でも、今身体が少しも動く気がしない。


 「エオ!」


 「グラン」


 僕の姿を見て、何故か泣いている。


 「どうしたの?」


 「っ、マジでお前は⋯⋯!!」


 抱きつかれる。

 強いなぁ。


 グランなりにしんぱ──


 「えおー!!!!!」


 「ぐえっ」


 更に強い力で僕を抱きしめるニバ。

 ⋯⋯あ、どこかの骨が変な音を立てたような。


 「よがった!!

 よかったよ!!!」


 「⋯⋯⋯⋯」


 そうか。

 ⋯⋯そっか。


 周りは崩壊した建物に囲まれ、赤黒い血が舞っていた。


 「僕、勝ったのか」


 泣いているニバと子供が僕を囲む。

 それを見て、僕は笑う。


 「そうだよ!エオは勝ったんだよ!!」


 「エオ強いよ!!」


 「うん⋯⋯頑張った⋯⋯」


 笑っているとグランと子供たちは肩を貸してくれて立ち上がる。


 「ごめん、今体にピクリとも力が入る気がしないや」


 「おう、頭になる男なんだから仕方ねぇ」


 ──と。

 

 「ん?あれ?」


 ジュウウっと。

 僕の体が軽くなっていく。


 「お、おい!」


 グランが怒っているのを目の前の女の子が手で制す。


 よく見ると、燃える手で僕の身体を触る女の子が二人いた。


 「エオさん、でしたね」


 「は、はじめまして」


 静かな雰囲気の女の子だ。

 うちの村にはいない系統の子だ。


 「戦い⋯⋯見ていました。


 頭が負けてしまったのは想定外で少し⋯⋯いえ、かなり驚きましたが、どちらが勝っても不思議ではない──心が熱くなるような闘いでした。


 頭を見るに、満足だったようなので、ありがとうございます」


 「まさか頭が負けるとは」


 「二人は、嫌じゃない?」


 「思うところはありますが、貴方のような男の人は見たことがないので、悪くないかと」


 二人の手は僕の傷や身体の重さみたいなものが身体から抜けていくような感覚だ。


 「こ、この力は?」


 「私達はお二人の側で肉体的にも精神的にも回復させる女でございました。


 夜は回復をさせることができます」


 それって⋯⋯す、凄いものじゃ?


 「凄いよね?それって」


 一人の短い髪の女の子が僕を見上げる。


 「はい」


 「だ、だよね」


 「恐らくですが、どこに行っても食いっぱぐれないかと。


 他の女には悪いですが、男と体の対話の必要はない人生を歩めると思います」


 すぅぅっとその夜は消える。


 「どうでしょう?」


 ニバとグランは目を真ん丸にさせて僕を見る。


 とりあえずその場で飛んでみる。

 

 「⋯⋯なんともない」

 

 「なら良かったです。

 クレナ、私達の新たな将である"エオ様"に夜を」


 「さ、様なんていらないよ⋯⋯なんか偉そう」


 「偉いのではないのですか?」


 「ええ⋯⋯偉いと、お、思います」


 そんな真っ直ぐ言われてしまうと⋯⋯ぼ、僕も反応に⋯⋯。


 「私はチェシェと申します。

 こちらはクレナ」


 「あ、これはご丁寧に」


 頭を下げようとすると、チェシェに止められる。


 「私達が貴方に仕えようと感じたのは、その精神性です。


 しかし、貴方は今や⋯⋯」


 チェシェは振り返って手を向こうに差し出し、僕に見せるようにしてくる。


 「これだけの通りの人を従える王になったのです。


 そんな将となる男が、簡単に頭を下げるものではありません」


 そこには、とても数え切れないほどの──圧倒的なまでの数の圧力を受ける。


 「う、うん!」


 「ご理解いただけて何よりです」


 チェシェはそう一礼すると、僕達の後ろへと動く。


 「エオ!」


 なんでかニバが何故かすごく怒ってる!?


 「え?」


 「ニバも戦えるよ!!」


 「そう⋯⋯だね?」


 なんで怒ってるの!?

 僕、何もしてないよ!?


 「もうっ!知らない!!」


 フンスと鼻息を漏らして消えていくのを眺める僕を、グランが声を出して笑っている。


 「笑うところじゃないよ!?」


 「エオお前⋯⋯本当そこだけ変わらねぇよな」


 何故か子どもたちにも笑われている。

 絶対に褒められてない!!


 「ご、ごめん!

 誰か理由を⋯⋯!!」


 とりあえず戦いは終わった⋯⋯よね?

 そうだよね?


 そう思った瞬間。


 「おやおや、あの時の子供が⋯⋯立派になったものだ」


 聞こえる声。

 この、太い声。


 「まさか⋯⋯こうなるとは」


 




































 ──ドン・ゴ。

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