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地獄で生きたければ。  作者: どら焼き戦線バルハザーク
大人編・南

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調査<3>

 いつからだろう。


 「──ッァア!!」


 教わった回し蹴り(レッドリィ)


 「そうだ!

 男はその顔をして戦うべきだ!!」


 いつからだろう。

 僕が何かがおかしいと感じた時って。


 「ッラ!⋯⋯っッ!?」


 ──嗤ってる。


 顔に当たったのに!

 全然効いてない!


 すぐの事。

 それは重苦しい音の連動。


 見た時には、拳が⋯⋯そこにはあった。


 「ガハッッッ!!」


 この世界で初めて貰う──大人からの拳。


 「ハァ⋯⋯ハァ」


 滑りを足の力で止めて、なんとか仰け反るだけに収める。


 ──倒れずに済んだ。

 

 「中々やるな。 

 さすが理想を喋る男だ」


 強い。

 この人──凄く強い。


 「お前みたいな奴はなぁ、こうなるのが当たり前なんだよ、馬鹿がよ」


 いつからだっけ?

 僕が世界を変えたいって思ったのって。


 そしてなんでだろう。

 こんなにも僕が腹が立ってるのって。


 「うるさいです」

  

 「あァ?何キレてやがる」


 喉が焼けそうだ。

 咳込むと、掌にある血。


 「⋯⋯これが、血」


 多分だけど、凄く腹が立っているのは、半分この人が"本当"の事を言っているから。


 昔、僕達が一生懸命働いていた頃。

 女の子達は何かと理由をつけて遠征には行かず、ただ当時の頭にくっついているだけだった。


 正確には"それだけ"で許された。


 「なんだ、お前これだけ能力も使ってねぇのに強え奴なんて久しぶりに見たぞ」


 足が痛い。

 股に力が入らない。


 「⋯⋯っ」


 さっきのあの人の連撃、僕と同じ⋯⋯能力ではない夜の体術のようなものだ。


 「俺以外はノビてんな。

 すげぇすげぇ」


 そう肩に短剣を乗せながら、歩き回る。


 「能力なら手放しに褒められたもんじゃねぇが、見るからにまだ大人になって少しのガキだな。


 ──にしてはとんでもねぇ才能だ」


 顔を見れば分かる。

 この人、僕を嘲笑っている。


 ⋯⋯しかもバレてる。

 だからこの人は余裕そうなんだ。


 こういう事も覚えていかないと。

 僕は──世界を変えるんだから。


 「イイなァ。

 その瞳、その眼光。


 ギラギラしてやがる。

 俺も大人になって数年だけだったよ。


 ⋯⋯そんな顔できたのはよ」


 あれ!?

 いない!?


 「そうか、お前、何処かの勢力のレクイエレか」


 速い!!


 「レクイエレん⋯⋯がッ!?」


 背中が痛い。

 そのまま遠くの壁まで膝で押し付けられる。


 「ッ⋯⋯ッヵア」


 「折らねぇでやってんだよ。

 お前みたいな根性のある奴は久しぶりに見たからよ」


 「ックゥゥゥウウッ!!!!」


 潰されないようにしないと⋯⋯!

 このまま押しつぶされたら、死ぬ⋯⋯!!


 「おぉ、ソレだ、ソレ」


 この人の言ってることは多分合ってる。

 

 「俺がお前を殺さないのはその若い特有の根拠のない自信と自分ならやれるという覇気」


 僕がこの世界に降り立った時。

 何も出来なかった。


 何も知らなかった。

 そして今も。


 「ックゥウウウ!!!!」


 「レクイエレについて何も知らないのか」


 そうだ。

 僕もまた、まだまだ無知で、世界について何も知らない⋯⋯ただの子供だ。


 「フンッ、仕方ねぇ。

 "講義"してやる」


 貴方は敵なはずでは?


 「ッガアア!!」


 まただ。

 見えない。


 見下ろすと、既にそこにこの人はいて、僕のお腹に拳がめり込んでいる。


 「レクイエレとは、夜の力の開放段階を示す言葉」


 「ッグゥゥ⋯⋯ッハ!!」


 つ、強い⋯⋯!

 駄目だ、倒れそうだ。


 「夜の解放に二つの種類が存在している。

 一つは大人の誰かに注入されて開放する普通のやり方」


 意識が⋯⋯飛びそうだ!

 無理やり拳を投げるように打ち込むけど、全く当たらない。


 「そしてもう一つ」


 ──んグッッッ!!!


 「ァああああ!!

 あっ⋯⋯くっウウウ⋯⋯!!!」


 「強い感情や魂の解放がある人間に起こる──自力での開放。


 歴史に名を残してきた人間はどれも共通して自力で開放している人間に限る。


 今の勢力争いでも頂点に立とうしている奴のほとんどが、自力で能力を開放し、その頭角を現している。


 俺がお前を勢力に属していると判断したのは、その兆候が見られないからだ」


 のたうち回る。

 勝てない、──強い。


 「かつて最強と呼ばれた人間たちも、例外なく自力で能力をこじ開けた。


 お前は、どうだ?」


 僕は開けてもらった。

 だから、才能がない?


 「その様子なら、大したことはなさそうだな」


 見上げれば、長い脚が僕を殺そうと振り上がる。


 「本当、救えねぇ奴」


 ここで終わり?





























 ──違う。

 

 「ッ、」


 立て。

 立ち上がれ。


 「コレだからこの世界は止められねェ」


 振り下ろされた一撃を間一髪で回避する。

 

 「もっと足掻け。

 ⋯⋯もがけ。

 この世界で叶えたくば、向き合え」


 「貴方は何故、」


 「その先は、自分で確かめてみろ」


 身体が思うように動かない。

 でも、なんでだろう。


 今なら──何でもやれそうな気がする。


 「ほう?」


 ーー⋯⋯エオ。


 「迎え撃ってやる。

 それが大人の努めだ」



 ──ドガンンン!!



 「んっ?」


 なんの音だ?

 見るとそこには、自分の左足に纏う黒い雷。


 これって⋯⋯トリスさんの。


 「お前、」


 そんな事は今いい。

 

 「行きます!!!!

 もう一人の、先生」

 

 「──先生か。

 悪くない響きだ」



 ーーエオに早えだろうが、俺の技を教えてやる



 「翔鳳(プリースト)!!」


 雷が僕の言葉に反応している。


 進む!!

 絶対に!!!


 「来い──クソガキ」


 なんで笑っている?

 なんで、そんな顔で僕を見るんだ。


 僕はこんなに、怒っているのに。


 「ハァァァアアア!!」


 閃光が、僕の目の前を切り裂く。








































 ──翔鳳(プリースト)足刀蓁脚(ブライト)!!!

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