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地獄で生きたければ。  作者: どら焼き戦線バルハザーク
大人編・南

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西での一ヶ月

 西での滞在時間は、一応大枠で一年らしい。

 けれど、今回は僕がいるからということで、半年近くまで縮めてくれたとのことだ。


 そんな僕は、もうすぐ一ヶ月が経とうとしていた。


 「あら、ベリオさんおはよう」


 「おはようございます」


 商人さん一家にお世話になる。

 ⋯⋯まさかこんな事になるなんて。


 「あっ、ベリオさんおはよー!」


 「おはよー」


 年齢はどうやら13歳らしい。

 僕からすれば立派な大人だ。

 

 けれど西ではそうではないらしい。


 18歳から大人なんだと。 

 ⋯⋯やっぱり独り立ちする理由があまりないのかな?なんて思ったり?


 「おはよう、ベリオ」


 「おはようございます」


 この一ヶ月、商人さんは大変だっただろうなぁ。


 生活の仕方から道具の使い方⋯⋯様々な事を教わった。


 というより、分からないまま使って壊された方が困るからなのかな?


 ──とご飯を食べる。

 出される物は毎朝似たようなものだけどこの美味しさは南で出すことは難しいと思う。


 南に戻ったらやるべきことが多くて精進する必要がある。

 

 食事が終わってすぐ、お見送りをする。


 商人さんが西で産まれる⋯⋯云々言っているのが理解出来た。


 ローラさんに少し見せてもらったら、中には本が大量にあった。


 ⋯⋯僕にとっては宝庫のような物ばかりだった。


 これらを体系的に学ぶ事ができるローラさんは恵まれた人というべきだ。







 行ったら僕の本番。

 最初の数回は商人さんが居たけれど、今は道も覚えたし、常識も頭に入っている。


 「さぁタリンバ安いよ安いよー!!」


 僕が足を運んだのは"市場"という場所。

 商人さんのような人達が大量に集まる場所で、西にある様々な物がここ、市場という場所に集まるらしい。


 「あっ」


 足を止めたのは雑貨屋さん。

 石などで作った腕輪や首に付けるものが売られていて、キラキラしていて見るのが好きだ。


 「お兄さん背がとんでもなく高いね!

 うちの娘なんてどうだい?」


 「⋯⋯ははは、僕にはもったいないでしょうね」


 「やーねー!もう!」


 外に出る際、商人さんに釘を刺された。


 決して顔を見せない。

 体格を隠せるような服を着ること。


 見る人から見れば毒にもなるからって。


 酷いとは思ったけれど、ローラさんを見ていると間違いではないのかも。


 「これ400ヒンね」


 400⋯⋯。

 食べ物が200だから、大体倍になるのかぁ。


 ここに来てずっと計算の勉強とこういうところで実践を繰り返している。


 通りの市場を見渡す。

 ここでは食べ物が安くて雑貨が高いのか。


 「ありがとー!」


 礼を返して市場に溶け込む。

 歩きながら、僕は常識が崩れ去るのを感じている。


 食べ物が⋯⋯安い。

 手首に付けた細やかな腕輪を見ながら、歩く。


 この雑貨の方が⋯⋯高い。

 なんでなんだろう?


 そう思うけど、答えは決まっている。

 


 ーー価値があります。



 商人さんに教わった事だ。

 お金という価値が付けられていて、その価値は希少さによって変わる。


 「はい160ヒンね」


 買った串という棒に肉が刺さっているパンナという食べ物を食べる。


 ⋯⋯凄い美味しい。


 でもこれが、雑貨の方が高い。

 僕からすればおかしい。


 食べ物の方が価値はある。

 ──けど。


 周りを見渡す。

 ここでは食べ物がいっぱいあって、雑貨の方が少ないというわけでもない。


 同じくらい溢れているのにもかかわらず、価値は違う。


 「恵まれているんだなぁ、ここは」


 ここ一ヶ月、市場に通いながら、僕は商人さんに借りを作らない為にも、独り立ちする為の計画を練っていた。


 どうやら普通は月に二十万ヒンほど稼げれば良いらしい。


 てことは、ご飯だけでもかなり売らないといけない。

 

 「⋯⋯⋯⋯っ」


 歩いていると、一人座り込んでいる人がいる。

 でも、周りはその人に関わる事もしない。


 「大丈夫ですか?」


 そう僕が声をかけると、周りの人達の視線が刺さる。


 何故か悪者みたいにこの人を見て、僕も同じような視線を刺してくる。


 「お腹⋯⋯空いた⋯⋯」


 「お腹?食べる?」


 正直、僕のお金ではない。

 だが関係ない。


 「いいの!?」


 顔を上げて、僕を見る。

 どうやら彼は男の子のようだ。


 「く、ください!」


 「うん、はい」


 良かったー、パンナ2本買っといて。

 ムシャクシャ食べるその光景は、まるで昔の僕達だ。


 少し懐かしくもあり。


 「⋯⋯忘れちゃいけないモノだ」


 「あっ、あ、ありがとうございます!

 こ、この御恩は⋯⋯っ、」


 僕は手で止めさせる。


 「気にしないで。

 そんな事をさせる為に僕はあげたわけじゃないから」


 「え?でも⋯⋯」


 そこへ。

 謎の集団がやってくる。


 「おーエヒリム⋯⋯ぁ?」


 髪色が⋯⋯輝いている? 

 

 「何だテメェ、この貧乏やろうとどういう関係だ」


 「あ、あのっ!!」


 気になる。

 

 「て、てかてめぇ⋯⋯デカくねぇか!?

 それになんで顔を隠してる!?」


 「少し聞いてもいいですか!?」


 「っ!

 て、てめぇなんなんだよ!!」


 「その髪⋯⋯どうやって輝いているんですか!?」


 気になって仕方がない。

 このお肉、食べかけだけどあげるから。

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