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地獄で生きたければ。  作者: どら焼き戦線バルハザーク
子供編

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13/20

理解

 それからまたまた時間経って。

 と、見てほしい。


 「エオ!今日、僕計算出来たよ!」


 「おっ、じゃあちゃちゃ3個ねー」


 「えーずるいー!

 オレも問題できた!」


 「お、カイ。

 勉強苦手だったんじゃなかったの?」


 「ちゃちゃが欲しいから勉強頑張ったんだ!」


 「なら、これくらい渡さないとねー」


 懐から3つ半取り出して渡す。


 そう。僕は今、初めて遠征に行かなくても大丈夫な生活を少しずつ出来るようになっていってる最中。


 あれからすぐに僕は様々な実験を始めた。

 数、植える近さとか遠さ。

 様々な実験を重ねに重ねた。

 

 その結果、すぐに答えは出た。


 あの空飛ぶ小さな生き物は、"植えすぎると何故かやってくる"。


 ⋯⋯ということがまず分かった。


 ある程度しっかり空いていると、あの生き物は来ないのだ。


 だがそれも、今までの経験を思い返していくとすぐに答えは出た。


 最初に生えて枯れていった謎の草。

 それは、多分この土に何かしらの成長をさせてる為のものではないか。


 そう考えると繋がっていく。


 植物は土に埋めて土からの力で成長すると考えると、植えすぎると──成長する力が無くなってしまうからそれを防ぐ為の空飛ぶ生き物?と。


 結論はまだ正確なものじゃないけど、恐らく生き物には何らかしらの動き方があると思った。


 そして今、そうして毎日⋯⋯僕達には余ってしまうほどのちゃちゃを3日に一回、収穫できるくらい採れてしまうから。


 僕が思いつく限りの策をやってみた結果、毎日凄まじい速さでちゃちゃが育っていく。


 多分だけど大人より早い。

 大人もみんな体が細いし。


 そのおかげもあってか、僕達の縄張りは平和だ。


 前までは少し他と似たようなオーラがあったけど、今ではのんびりとしている。


 「ふわぁー、おはよーエオ」


 「おはよう、グラン」


 「眠いー⋯⋯ちゃちゃが食べられるから」


 少し人から攻撃性を抜く食べ物みたいだ。

 お腹は満たせるからいいのかな。


 「デンデラ?」


 少し離れているところに、デンデラが誰かと話しているのが見える。


 「ねぇねぇグラン」


 「んぁ?」


 「デンデラ⋯⋯誰と話してるの?」


 体を起こして遠くを見てくれる。


 「あー頭達だな。

 やっぱ気付いてんじゃねえ?」


 「あー、ちゃちゃのこと?」


 「さすがにな。

 鼻からちゃちゃの匂いが行き渡ると爆発しそうだろ」


 まぁこれだけ匂いが向こうに行ってればそうなっちゃうか。


 



****





 「頼む!」


 「⋯⋯ぁ?」


 気持ち悪ぃ。

 なんで急にコイツら頭下げてんだ?


 アルグの奴。

 ⋯⋯あんな短期野郎だったろ。


 それに。

 

 「お前は確か俺らと近かったよな?

 ウキ、だったっけ?

 あぁ、アセラんとこの後釜か」


 どいつもこいつも。

 

 「わ、分かってるんです!!

 でも、俺達にも少し分けてください!!」


 「散々てめぇらに攻撃されてどれくらい経ったと思ってんだ?


 ──ええ?」


 「っ、俺だってこんな事をしたい訳じゃねぇよ」


 デンデラに頭を下げながらアルグは言い訳を述べる。

 

 「なんだ?

 その理由は?」


 「限界が近い」


 「限界だと?」


 「今のままじゃあいつ崩壊するか分かんねぇ」


 「オメェのせいだろうが」


 「っ、だから!」


 ──こうしてんだろ。

 そうアルグは激高しながらも頭を上げようとはしない。


 「知らねぇよ。

 お前らが仕掛けた内戦の数は?」


 寝起きの無造作な寝癖を掻きながら訊ねるデンデラ。


 沈黙する中、30秒ほど経つとデンデラは自分から答えた。


 「109回」


 「「⋯⋯っ」」


 「俺は忘れてねぇからなァ?

 

 ⋯⋯エオは忘れてるだろうよ。

 お前らが俺達になんて言ったか。


 教えてやろうか?」


 「「⋯⋯⋯⋯」」


 「俺もエオを見習って無闇に攻撃はしなくなったが。


 だが、お前らがやって来た事をお前らが思い出せ」

 

 そう言い放つデンデラだが。

 その視線は二人ではなく。


 不敵に笑う一人の男へと向かっていた。


 ア・ダドマ。

 アイツはなんだ?


 女に快楽を与えてもらいながらこっち見やがって。


 それにアイツらの入手経路が不明だ。


 「それで?

 お前らは俺達に何を持ってくるんだ?」


 「「え?」」


 「あぁ?

 まさかなんの戦利品もなしで俺達からおこぼれをもらおうとしてんじゃねぇだろうな?」

 

 二人の目を背き具合を見たデンデラは呆れてものも言えない。


 嘘だろ?正気かよ。


 「もういいよ、君たち」


 「っ、」


 ダドマがズボンを履き、姿勢正しくデンデラの方へと向かっていく。


 「なんだ、今まで黙っていたてめぇが、俺になんの用だ」


 「ふん⋯⋯」


 鼻から息を吐き、ダドマはデンデラの髪、顔、と。


 上から下までを見ながら吟味している。


 「デンデラ。

 今回の作戦⋯⋯もしやエオ"くん"が作ったのかな?」


 「なに?」


 「君ではないよね?」


 なんだ?急に突然。


 「作戦?」


 「あぁ。

 君たちの作る不思議な食べ物の事だよ。

 多分、エオ"くん"が作ったと思っているんだけど」


 「どうだかな?」


 なんだ?コイツ。

 エオのことを名前に加えて呼び方が変わった?


 「エオがなんだ?

 お前に何か都合があるのか?」


 不敵にダドマは笑いながら顎に手を当て、デンデラを玩具を見るような目で見ては溜息混じりに言い放つ。


 「"君"に用はない。

 だが、しかしこのまま勢力が拡大されるといくらか困るのは事実。


 そうだね、エオくんにこう伝えてもらえるかな?

 

 ──"味を付ける事のできる粉"があるのだけど、君の食料と交換出来ないかい?ってね」


 押し黙るデンデラ。


 「君でも分かるよね?

 この価値は誰でも分かるだろうさ。


 まぁとにかく、"均衡"を保ちたいのだから、これくらいは"譲歩"するべきなのかね?」


 「背ぇ向けて逃げる気か?」


 そう挑発したつもりだった。


 ──っ!?


 その瞬間、デンデラの全身にバチンッ!と電流が息もしない内に迸る。


 「今──」


 こ、こいつ!?

 

 ダドマは少し捻ってデンデラを睨む。

 その瞳は、不敵さなど無く。


 ⋯⋯まるで大人と同じ力を放出させている。

 黒い稲妻が、デンデラの身体だけを狙い打ちして動けなくしている。


 頭を下げる二人は気付かない。


 「っ!!」


 「あまり舐めないでもらいたい」


 っ?どういう事だ?

 エオ、そして今までの子供の常識では、夜は12歳まで使えないんじゃなかったのかよ!!


 ダドマの肩に何かが乗っかる。


 「なんだよ、それ」


 突如デンデラだけに映る、世界に見せた⋯⋯2枚の黒い羽根。 


 そして、その正体は──凛とした造形の鴉。

 それが⋯⋯ダドマの肩に二羽。


 「少なくとも──"君"ではない」


 ただ見つめているだけ。

 なのに締め上げられるような感覚。


 ギュウウウと輪ゴムで無理やり骨でも折れそうな音にデンデラも掠れ声をあげる。


 「ッッ、ッァァ」

 

 「エオくん以外は、対等など失礼だよ」


 おいエオ。

 お前どんなやつと仲良くしてんだっつーの。


 「失礼するよ。

 女の子が僕を待ってる」


 背を向けて、消えていく。

 気付けば肩に乗っていた鴉は姿を消し、ただダドマの戻っていく姿がデンデラに映っていた。

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