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地獄で生きたければ。  作者: どら焼き戦線バルハザーク
大人編・南

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商人、再び

 「おーい、エオー」


 水が戻って、しばらくの事。

 

 「グラン、おはよう」


 「おうー元気か?」


 畑で僕はいつものように作業していると、グランがズンズンとやって来る。


 「うん!」


 「ふっ、手伝う」


 僕達の生活をあえて言葉にするなら、かなり安定に入ったと言ってもいいと思う。


 今では毎日子供も大人もみんなが畑に入り浸って育て、配る。


 最初の方はそれこそ少ないものだった。

 みんなが本当に食べられるのか?と疑いの目が止まらなかったのを思い出す。


 「ありがとう」


 「エオー!」


 咄嗟に見上げた僕とグランは、その声の主を見て大慌てで叫ぶ。


 「「うわぁぁぁぁ!!」」


 上から人が降ってくる。

 ドボンと、僕達三人は畑に浸かる。


 「ハッハハハハハハ!!」


 「おい、馬鹿女!

 汚れちまったじゃねぇかよ!」


 「⋯⋯なんだと!?」


 「おはよう、ニバ⋯⋯元気な朝だね」


 「ほら、グラン!

 エオは笑ってくれてるよ!」


 「馬鹿お前、気ぃ遣ってるんだよ」


 ニバ、グラン。

 他のみんなもだけど、以前と比べれば、みんな身体が小さくて脆かった。


 けれど今は、ご飯を食べられるようになったおかげか、身体が大きくなった。


 ニバは女の子らしく、胸が膨らみだしてきたし、グランもドンドン身体が大きくなってきた。


 本来、僕達はみんな身体が大きくなれるし、笑える日々をこうして送れるはずだったんだよね。


 「馬鹿が、てめぇこの畑で何人分のガキが飯食えると思ってんだ!」


 「分かんないけど私達?」


 相変わらずニバは勉強が苦手みたいで、数をまだ10までしか数えることができない。


 逆にグランは僕と同じか、それ以下くらいの頭がある。


 だからか会話がちょこちょこ面白いんだよね。


 「ったく馬鹿女が!

 この畑で20人は飯食えんだぞ!

 お前折角植えたモンぶち壊してどうすんだ!」


 「いいじゃん!

 もっと頑張ろ!」


 「ぷっははははははは!!!」


 「どうしたエオ」

 「エオが笑った!」


 駄目だ面白過ぎる。


 「二人は本当に仲がイイね」


 「「誰がこの男(女)と」」


 「息ぴったりじゃん」


 「はぁ⋯⋯」


 グランがそのまま、立ち上がることなく⋯⋯空を見上げる。


 「俺達、本当にやったんだな」


 「え?」


 僕を見てグランが口を吊り上げて鼻で笑う。


 「みんなが笑える日々」


 感情のこもったその一言で、僕とニバも見上げる。


 「だね」


 「うん」


 僕達三人はずっと語った。

 ⋯⋯毎日。


 と言っても主に僕がだけど。

 二人が聞きたいって言うから、恥ずかしいけどずっと話した。


 どうやったら上を向いて歩けるようになるのか。


 どうやったら、みんなが戦わないように出来るのか。


 どうやったら⋯⋯みんなが笑える日々を作れるのか。


 どうやったら──ふふっ、満たされるようになるのかって。


 「これで終わりってわけじゃないけどよ」


 「うん」


 「始まりってやつだろ。

 これを崩さないように色々やってくって事だろ」


 そうだ。

 僕達はまだ立ち上がり方を覚えた動物と何ら変わらない。


 これから必要なのは、歩き方。

 それとどうやって歩くか。

 なんの為に歩くのか。

 

 「俺達の夢、場所、全てを守る為にはもっともっと必要な事が多い」


 「間違いない」


 「もっと頑張るしかないじゃんね」


 「あぁ。

 そうだ、エオ」


 「ん?」


 「ケイのところはどうだったんだ?」


 「あぁ⋯⋯」


 結論から言うと、僕は正式に決闘場という名前で認める事にした。


 勿論良い面も悪い面も見たけれど、やっぱり一番の決め手は、彼らの表情だった。


 ──"生きていた"。


 あれ程分かりやすく。

 あれ程僕も乗せられてしまいそうなあの場所に。


 というよりも、僕もその気持ちは分からないとは言ったものの、覚えている。



 ーーイイじゃねぇか、エオ。

 男じゃねーか。


 

 男ならば、一度は昂る心。

 きっと彼らにとってはあの拳で交わす事が言葉のやり取りであり、"体言"なのだろうと。


 ただししっかりと駄目なことは駄目だと言うことはしっかりとしたけどね。


 「そうなのか」


 グランに一から説明すると、にやけながら僕の肩を叩いてくる。


 「エオも男たるものが分かるようになったのか」


 「えぇ⋯⋯?」


 「止めてよ!」


 僕とグランの間に入ってニバが声を張り上げる。


 「エオはそんな野蛮な男じゃないもん!

 ね?エオ!?」


 「ま、まぁ⋯⋯」


 「はぁ!?

 女なんてそこら中で喋ってるだけで何もやんねぇ奴らじゃねぇか!」


 「拳で語ったってなんも生み出してないじゃん!」


 「まぁまぁ」


 割って入って僕は苦笑いで止める。


 「みんなそれぞれあるんだよ」


 「「エオが言うなら」」


 ⋯⋯ふっふふ。

 面白い二人。


 「エオー」


 するとまた一人。


 「あれ?ケイ?」


 見上げるとそこに居たのはケイと。


 「ダンライオス、お久しぶりです」


 丁寧にお辞儀をして現れた、商人さん。

 慌てて僕も立ち上がって挨拶をする。


 「久しぶり!

 商人さんも元気だった!?

 ⋯⋯あ、汚れてるのは色々と」


 「問題ないですよ。

 頭自ら働いているのはいつ見ても新鮮ですがね」


 高笑いをして話してくれてる。


 「わざわざ南に何かあったのでしょうか?」


 「いえ?

 食糧と生活に必要だと思ったものを」


 あぁ、前言ってくれてたやつか。


 「すぐに準備するから飲み物でも飲んでてくれると助かります!」


 もっと早く言ってよ!

 全身汚れまみれで時間掛かっちゃう!


 「はは、面白い御仁だ、あの方は」

 

 ⋯⋯もうっ!

 

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