報酬
「頭、結構な良いお知らせが多い」
何回目かの分からない集会。
多種多様の様々な話を聞いている内に、最後のまとめでケイが僕に話してくる。
「ん?どういう事?」
「まず、夜の開放についてだ」
そう言って淡々と木板に書き進めていく。
「そもそも夜を開放できるやつってのは結構少ない。
一見大人になれば開放していると思っているガキも多い事だが、それは一部。
本来なら成果を上げないと注入式の夜は貰えん」
⋯⋯あ、そうだったね。
僕達は結構貰えていたから気付かなかったけど。
「んで、頭と俺で進めた夜注入を始めた種。
⋯⋯これが去年だ。
現在、その恩恵がまさにドンドン舞い込んできている」
「──というと?」
「ふっ、食糧の生産量だ」
集まっている全員の頬が釣り上がる。
今、実は一番キツイと思っていたモノだ。
子供が落ちてくるのを防ぎ、改善を図ろうとしていたのが上手く行っていたのも束の間。
僕達はその奥の問題である⋯⋯逆に増えすぎ問題に衝突した。
1日に降ってくる子供は、通りに対しておよそ三十前後。
それが五十通りあるから、結構いる。
それが日に降ってくる人数だから、数日でとてつもない増え方をしていく。
今まで死体が転がっていても放置される理由がある意味分かる。
処理している場合じゃないのもあるんだろうと思う。
「生産量って?」
「一応俺達で定めた掟として、幹部のみ夜を開放した新人たちから夜の能力を把握する事を義務としたが、ここ数ヶ月、数人の新人から、食糧関連の夜を保有する者が現れた」
「大事になってきますね」
「そう。まさにチェシェの言う通り。
今ブチ当たってるこの食糧問題を解決しなければ、前と同じ末路を辿る。
頭の行動のおかげで、今はとにかく間に合ってはいるが、その内天井にぶつかる。
前から恐れていたがこの保有する夜がかなり強力だということが判明した」
全員の顔が険しく張り詰めていく。
そのままケイは続ける。
「主に、生産量が増える場所を特定する夜、どれくらい良い食物の状態が⋯⋯見える?夜。
最終的な生産量増やす事のできる夜を確認した」
「すげぇじゃねぇか。
これなら、一瞬でブンって収穫量を増やせそうだな」
「そうだ。
これによって俺達の生活は楽になるのだが」
そこでケイは僕に視線を向けてくる。
「今までの古い考え方をぶつけとこうと思ってな」
「ん?何が?」
「つまり。
ざっくり言って、このガキ共は戦争世代から初めて離れた世代と言える。
だから俺達のようにある種好戦的ではない。
頭みてぇに穏やかなガキでよ。
南ではあんま見たことないタイプのガキでよ?
びっくりしちまったんだが。
⋯⋯悪い」
「いいよいいよ」
当たり前だ。
そうやって僕達人間はドンドン考え方が分かれていく。
「脱線しちまったがまぁそれで、要は俺達の考え方であると、このガキ共は俺達を除く普通の奴らより能力が高い事になる」
⋯⋯なるほどね。
「良い能力の人にどう対応するかって話?」
そう訊ねると無言で頷くケイ。
「俺としちゃあ、今までの考え方であれば、やりたい放題させてやるのが流れだが」
「それについては僕からの意見を言わせてもらう」
難しいけれど、少しずつ変えていく。
「まず、能力の優劣は残念ながらある。
それは先に言う」
「「「「⋯⋯⋯⋯」」」」
「けどそれは場所によって決まる。
生活に必要な夜。
戦いに必要な夜。
それは長所だ。
必要に応じてその夜は長所にもなるし、短所にもなり得る」
「そりゃそうだわな」
「戦闘になればこの子たちはただ守ってもらう事しか出来ない。
けどこうして食糧問題になれば、大活躍。
だから、基本的な僕の考え方は、頑張ったら頑張った分の対応を僕達がすることが早いと思う」
「具体的には何をするのでしょう?」
「例えばそういう彼らに必要なのは土地だよね?
恐らく彼らからすれば、こっちから食糧を渡すのは微妙だと思うんだ。
自分たちで見つけてここなら早いのにとか、質の高い物を育てられるのにただ食料をあげたって嬉しくない。
だから、少しの土地を渡してあげて、自分が好きにしていい用の場所をあげるとかして余った分をこっちで少し分けてもらうとかいいと思うんだけど」
「⋯⋯なるほどな。
そいつに適切な報酬を渡すってことか」
「ただ、基本は一緒だ。
それは譲らない。
じゃないと全員がまた忘れてしまう。
みんながみんな、助け合って生きているということを。
だからこそ、それに並んで、更に頑張った分を足そう」
「了解だ、頭。
その方針で行く」
「うん」
みんなの反応は悪くない。
──よし!
「夜の能力については後で俺と頭、グランなんかで把握する。
追って詳細はまた」
この南も、少しずつ良くなっていく。
もっともっと、良い風になるように⋯⋯頑張らなくちゃ!




