色々変な話
「と、いうわけなんですわ」
分からない。
いや、正確には分かるんだけど。
「つまり、ある一定の時期から突然武器が?」
──ここは、十番通り。
中でも十二番通りは、様々な素材が集まる場所。
僕が知らないまだ見ぬ様々な素材が眠る場所でもあるし、現状で最もこの南を表している場所でもあるということ。
その中でも僕が最初に目に入ったのは武器と防具だった。
「これは実は俺にも分からんのです」
既にかれこれ数時間ほど喋っている⋯⋯という名の、相手からしてみれば断れない拷問に近い時間を与えてしまっている。
僕だって早く済ませてあげたい。
⋯⋯単純に疑問なんだ。
"なんで僕達には夜があるのに、武器や防具があるのだろう?"と。
いや、普通の疑問ならば分かる。
僕が言いたいのは、
"夜の威力に耐えられる訳がない防具を作っている人間がいる"という事実と"何故武器が生まれたのか?"という話を聞きたいんだ。
なんだけれど。
今までも聞いている通り、なんとか分かるのはある時期から突然"武器が増えた"というくらいの話である。
普通に考えれば、特殊系統である夜の保有者が生まれ、それによる作製なのか?ということも頭には浮かんだ。
けどそれもおかしい。
今まで何人もの夜保有者と会話やある程度能力を見せてもらってきたんだけど。
やはり全員特殊な見た目と強度、そして威力が発生するということだ。
「ちょっと借りるよ?」
「うえっ?勿論」
手に取る。
どうやらこれは"ロングソード"と呼ばれる鉄剣らしい。
握る柄に視線が向くと⋯⋯
ーーエオ!
お前もやってみるか?剣術
「⋯⋯ふふ」
デンデラ。
今何をしてるのかな?
意外ともう僕の事は忘れて、新しい世界で王様にでもなっているのかな?
様々な本で度々出る単語、それは君主や王。
頭ではない別の意味を持つ単語のようだけど。
きっとデンデラなら、あっと言う間に制圧でもして世界を従えて戦っていそうだなぁ⋯⋯なんて思い浮かべてしまうし、想像できてしまう。
⋯⋯と、違った。
僕は鉄剣を握って力任せに剣術などない、ただの力で試し斬りが出来る人形を上から下へとただ下ろす。
──カキンッ!
すぐ聞こえたのは、剣身が折れた音。
土に付く前に僕の腕力のせいなのか、土には一切の傷が入らない。
「さすが頭!」
「あーそうだよね」
キョトンとした顔で僕を見つめる鍛冶師さん。
手に持つ握っている欠けた剣。
見つめながらやっぱり何かがおかしいんじゃないかって思う。
「耐久性がなさすぎる」
そう。
僕達にとってはこの鉄剣⋯⋯。
"意味があまりにもない"──。
「鍛冶師さん、これってどうやって⋯⋯?」
「あー、なんと言いますか、夜が教えてくれると言いますかねぇ」
聞けば夜で作られている。
でも急に増えるのだろうか?
制作方法もなく?
「⋯⋯⋯⋯」
なんだろう?
何か違和感がある。
夜で作られた剣ならば、もっと"強い"のでは?
「ありがとうございます!」
それから僕は色々な話を続け、拠点へと向かう。
「んー」
なんだろう?
何かが"変"なんだよね。
戦利品と考えていた僕達の子供時代にもあったものだから、何かもっと理由があると思うんだけど。
「子供達用?」
⋯⋯にしては"多すぎる"。
結局のところ、答えが出ない。
聞いてみようかな。
*
「おぁ?」
「ケイはどう思う?」
「んー!」
腕を組んで吐息混じり。
「分かんねぇけど、最近話題の西に答えはありそうだけどな」
聞いていた他のみんなも似た反応だ。
「だってよ?
言うならばそこまで弱い剣をなんでこんなところに流してるんだ?って話だ」
「確か防具もだっけ?」
「うん」
グランの問いに頷く。
「確かに。
俺達武器なんて持って戦ってねぇもんな」
「私達に武器があまり意味がありませんから」
「チェシェ良いこと言うじゃん」
「姉様、もしかすると、西はとんでもなく弱い人間たちなのでは?」
「「流石にそれはないんじゃねぇの?」」
聞いていた男二人の馬鹿にしたハモり。
だが、それも全然ありうる話でもある。
「西は文明とかいうやつが高いんだろ?
だとしたらこっちに何のために来てんだろうな?」
目的が分からないのはそう。
「でもよケイ、分かんねぇぞ?
見えないなんかで俺達の脳天バチコーン!って来るかもだぞ?」
あ、確かに⋯⋯先生も言ってたような。
「あー⋯⋯ありそうだな。
俺らとの夜が違う可能性もあるし」
「「「「「んんー⋯⋯⋯⋯」」」」」
全てがありそうでしか僕達の話は進まない。
──そんな中。
「みんな!!」
勢い余って僕達が座る机の角に膝を思いきりぶつけるニバ。
「おいおい⋯⋯お前急ぎすぎだろ」
手を貸そうとグランが立ち上がろうとするのをニバが必死に見上げる。
「少し前の通りが!!!」
そのたった一言で。
僕達の空気は風が吹くよりも一瞬で、鋭く張り詰める。
「なんだ?」
「⋯⋯ニバ、ゆっくりでいいよ」
「う、うん!」
乱れた呼吸を直し、ニバが落ち着いて言う。
「と、突然⋯⋯あの通りの人たちがバタバタ倒れたって」




