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地獄で生きたければ。  作者: どら焼き戦線バルハザーク
大人編・南

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出来たっ!

 ──拝啓、ベルさん。

 

 「「「「おぉっー!!!」」」」


 「エオぉぉぉ!!」


 ──僕は今、誰よりも輝かせていただいてます!


 大柄の男たちに担がれ、僕は大歓声と共にこの通りを満喫する。


 「最高だぜ!

 俺達の苦労の二ヶ月が終わったー!!」


 あれから二ヶ月の時間が結局のところ掛かった。


 水を運びながらみんなの体を持たせ、毎日、毎日⋯⋯小さい知り得る事を増やしていきながら、新たな壁に当たる。


 そう、まさに、ベルさん。

 人生とはそのようなものではないでしょうか。


 今、僕はまた一つ成長した気がします。


 「やっと見つかったー⋯⋯一安心だよ」


 「見たか⋯⋯!

 我らが頭は、湧いてくる水を見つけたぞー!!!」


 「「「「「うぉぉぉおおおおお!!」」」」」


 音頭を取り、大熱唱を始めるケイ。

 何処からしくないのは、あまりにも時間が想定より掛かったからではないか、ということだろうか。


 「これでもうしばらく土なんて見たかぁねぇ!」


 「グラン、僕達は畑仕事をやるんだよ」


 「言うなエオ!」


 笑いを抑えられないのは許して欲しい。


 「⋯⋯⋯⋯」


 空を見上げながら思う。


 そう。

 僕達の根底は"創る"こと。


 戦う為ではなく、

 傷つける為ではなく、

 奪う為ではなく、


 みんなと結び⋯⋯創る為である。


 奪う⋯⋯それは、目の前にある世界の自然も含まれる。


 ただ使うのではなく、新たに芽吹く次代の種を植える。


 我々の一存で傷付け、奪うのではない。

 

 こうして作れれば、全員が満たされる。

 まずは人が人から奪う事を無くす。


 そして次は、この世界から奪うことを無くす。


 敬意ある行動を見せなければならないと思うのが⋯⋯今の僕の考えだ。


 きっとこの通りも、飢えで苦しむのではなく、畑が作れれば、みんなが新しい風によって笑顔を取り戻せるはずだ。


 それは小さな歩みに他ならない。

 だけど僕達は進み続ける。


 託された物。

 託された魂がある。

 託された達成すべき⋯⋯背負うもの。

 

 「まだまだこれから⋯⋯っておおいー!!」

 

 突然押され、土に倒れる僕。

 見上げると、酒に酔ったグラン達。


 「おい見ろよ!

 我らの頭が酒に酔わねぇで独りぼっちぞ!


 誰か満たして差し上げろ!!!

 下もまだ頭なのに女が群がらないぞ!

 何してる!一番の働き者がなんで──」


 「いやぁぁああ!グラン!

 僕はいいよ!みんなで楽しみなよ!」

 

 まずい⋯⋯グランの太い腕が首を絞めてくるっ⋯⋯!


 「ええっ!?

 頭が一番楽しまねぇといけねぇぞ!

 ⋯⋯ほら飲め飲め!!」


 「あーあー、遂に頭まで行っちまった」


 なんか聞こえてくるよ?


 振り返るとみんな俯いて僕をチラチラ見てる。

 え?みんな?


 なんで僕のところまでやって来させたの!?

 知ってて!?


 「みんな!?」


 「「「「「⋯⋯すんません、頭」」」」」


 「「わっはははははは」」


 あー、似た者同士⋯⋯やることなす事一緒なんだなぁ。

 

 グランとケイ。

 全然違うんだけど、酔うとほぼ一緒みたい。

 

 「⋯⋯助けてえええええ!!!」

 






 「やっと抜け出せた⋯⋯」


 首を触りながら僕は通りを歩く。

 ここは三十八番通り。


 大きな水源を見つけてまだしばらくだけど、みんなの力で運びながらなんとか喉をどうにかしながら、少しずつもう畑の雛形は作っているので引いているっぽい。

 

 まだまだこれからだけど、一番の災難は去った⋯⋯かな?


 「頭ー!」

 

 畑で僕に手を振るのはこの通りではよく見る大人の人だ。


 「ガムパさん!」


 ガムパさんは地形に人より少しだけ詳しくて、僕達が危ない所に行かないよう支えてくれた人だ。


 「お疲れー」


 「頭の方こそ!

 今日は酒盛りですか!?」


 「僕はお酒はあまり呑まないんだよね」


 そう肩を竦ませると、ガムパさんは鼻で笑う。


 「⋯⋯まぁそんなような気はしていましたよ」


 「自覚はしているよ」


 僕があまりに面白みのない人間であるって事は。

 

 「酒盛りして女侍らす事が頭という頭の人間が多いですからねぇ⋯⋯今までにいない人間なのでしょうからみんな不思議がっているんでしょうね」


 ガムパさんの言う通りだろう。

 それも悪いということではないだろうね。


 「けど僕にはやりたい事があるんだ」


 「⋯⋯これは、頭だから言えるんですけどね」


 縁に座るガムパさん。

 僕も隣に失礼して、共に空を見上げる。


 「最近、生きていて楽しいと思えるようになったんです」


 「っ、」


 「頭が来てからです。

 俺達からしたら、頭。


 ⋯⋯貴方が眩しい」


 夜風が僕達の髪を舞い上がらせる。


 「世界が違って見えるんですわ。


 空ってこんなに輝いているんだ⋯⋯ですとか、目の前にある飯はこんなに美味そうにしてたんですとか、今回の水も、こんなに透き通っていたんだですとか。


 まぁなんて言うんでしょう⋯⋯止まっていた俺達の時間が動き出したって言うんすかね⋯⋯はは」


 頬を伝う一滴の水。

 それを拭って、ガムパさんは笑って僕を見る。


 「いやぁ、何が言いたいっていうか⋯⋯俺達はそんな貴方だから付いて行きたくなるんだろうなーって思ったんすよ」


 「⋯⋯ガムパさん」


 「だから自分を下げる必要はないです。

 ただ、他の人間からしたら、自分と同じような人間らしく見えないからそう思うだけですわ」


 「褒めてもらって気が大きくなる前に、一緒に農作業でもしようかな」


 「⋯⋯ははは。

 さすが新しい頭は言うことが違いますねぇ」


 面と向かって褒められるって、なんだか痒いなぁ。


 だけど、もっと。


 「頭、植え終わりましたぜ!」


 「良かったー!」


 みんなの笑顔を見る為に、今日も頑張ろうと思える。


 それが、僕達人間の本来あるべき姿なのかもしれないと、そう思った。

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